「令和の共働き婚」第1回

姓も生き方も選べる社会に…100人100通りの家族の形がある【青野慶久×川崎貴子】

姓も生き方も選べる社会に…100人100通りの家族の形がある【青野慶久×川崎貴子】

「川崎貴子の「令和の共働き婚」」
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婚活サイト「キャリ婚」を主宰する川崎貴子さんが「令和の共働き婚」をテーマにそれぞれの分野で活躍するプロと対談する連載。第1回目のゲストは、夫婦別姓訴訟でも注目された「サイボウズ」社長の青野慶久(あおの・よしひさ)さん(48)です。全3回。

姓も生き方も自分が選べる社会に

川崎貴子さん(以下、川崎):共働きがメジャーな夫婦の形になっているのにもかかわらず、男性の育休の取得率は5.14%*と低い状態です。結局、女性たちが仕事もやって子育てもして家事もやってとワンオペで曲芸師みたいなことをやっている。男性が悪いわけではなく、男性も男性で長時間労働が当たり前だったり、「男らしさ」の呪縛に捕らわれたりして、子育てしたいのにできないという救いがない状況になっているのが今の日本だと思います。

ところが、青野さんは会社の社長である一方で、育休を取ったり姓を変えたりと、“女性がやるのが当たり前”になっていることに積極的に取り組んでいらっしゃっていて、今日は青野さんの行動力の源をぜひお聞きしたいと思って来ました。

*参照リンク:http://www.gender.go.jp/public/kyodosankaku/2018/201806/201806_02.html

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青野慶久さん(以下、青野):僕の行動力の源、ですか? 理由はいろいろありますが、「学習欲」が強いのだと思います。

例えば、世の中のほとんどの男性は名字を変えるという経験はしたことがないと思うのですが、やったら分かることはたくさんあって、それを知りたいという気持ちが強いんです。

既婚の女性はほとんど経験しているのに、男性は経験してないというのならなおさら。一つのネタとしてもいろいろ話せそうだし、姓を変えた僕ではないと分からない体験や大変さも語れる。まあ、予想以上に大変でしたけど……。

川崎:私は再婚をしているのですが、初婚の際は相手の姓に変えました。仕事では旧姓の「川崎」をそのまま使っていたのですが、パスポートの氏名変更など、とにかく事務手続きが大変でした。

だから、再婚の際は、夫も「川崎」姓になっても構わないということだったので、夫に姓を変えてもらいました。

青野さんは戸籍上は奥さまの「西端」姓ということですが、事務手続き以外のアイデンティティの部分はいかがでしたか?

青野:僕は仕事でも子供のPTAでも「青野」を使いまくっているので、「アイデンティティの喪失感」のような心理的な変化はそれほどなかったですね。

それよりも、やはりパスポートなどの事務的な部分が大変でした。海外出張の際も、周りが「青野」でホテルを予約してくれることがあるのですが、出張先で「パスポートの名前と違う」と、トラブルになることがあるので、常に昔のパスポートと今のパスポートを2冊、持ち歩くようになりました。

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川崎:「たかが事務手続きだろ」という人もいるかもしれないですが、すごく大変ですよね。

青野:正直、2001年に結婚をして、妻の姓に変えた当初は何も思っていなかったんです。でも、徐々にこれは大変だということに気付きました。免許も戸籍姓にしないといけない、次はパスポートと……。

そのあたりをいじってしまうと、銀行口座、証券口座、クレジットも変える必要が出てくる。「もう怒った! 『青野』を捨てて全部『西端』じゃあ!」と、一気に「西端」にしたんです。そうしたら、今度は使い分け問題が持ち上がり、今に至るという感じですね。

ただ、この問題を男女の不平等の問題として扱おうとする人もいるんですけど、僕は反対なんです。

川崎:どういう意味ですか?

青野:例えば「96%の女性が姓を変えるから、その割合を男女平等で50対50にしましょう」と言う人もいる。でも、割合を均等にすればいいということではなくて、大事なのは選択肢があること。僕は「姓を変えたい人は変えてもいいし、変えたくない人が変えなくてもいい選択ができるのが全員ハッピーなのだから、そこを目指しましょうよ」と言いたいんです。

川崎:フェミニズム的な文脈に乗せると論点がズレてきますね。伝えるべき人に伝わらないというか……。

青野:男女かかわらず、結婚を機に姓を変えたい人もいるし、「変えたくない」という人と同様に、「変えたい人」の意思や思いを尊重する社会であってほしいと思います。

もしかしたら、結婚して姓を変えることで子供の頃の思い出にケジメをつけたいという人もいるかもしれない。そういう人たちに「変えるな」というのも本末転倒なので、選択できるようにするのがみんなにとって幸せなのではないかと思います。

川崎:同感です。

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100人100通りの家族の形がある

青野:僕たちの言葉で言うと、「100人100通りの生き方がある」というところでしょうか。いろいろな人生のストーリーがあるのだから、それぞれに合わせた選択肢を用意しようと。

共働き家庭とそうではない家庭についても同じことで、「今の時代は共働きが良いよね!」と押し付けることはしたくないなと思います。

川崎:「夫婦のあるべき形」に選択肢がなかった、画一的だったが故に、結婚に二の足を踏んできた人も多く存在すると思います。

青野:共働きも「共働きならこうでなければならない」という形はないと思うんです。共働きにも、いろいろな共働きがあるから。

川崎:「家庭生活の多様性」ということですね。家族もカップルもそのときの状況に応じて変化するものですよね。子供がいたら、子供の成長に合わせて親も変化するし、臨機応変にいろいろなものを取り入れられないと本当に行き詰まってしまう。

会社っぽい言い方になってしまいますが、変化に寛容でないとイノベーションも起きない。そこは家庭も企業も一緒だなと思います。

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※次回は9月26日(木)公開です。

(構成:ウートピ編集部:堀池沙知子、撮影:大澤妹)

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川崎貴子の「令和の共働き婚」

人生100年時代。私たちの母親世代とちがい、結婚したら共働きが当たり前になった「令和」の時代。婚活サイト「キャリ婚」を主宰するなど、1万人以上の女性の人生をマネジメントしてきた会社経営者の川崎貴子さんが、「令和の共働き婚」をテーマに有識者と対談し、自分たちらしい結婚や家族のかたちについて考えていきます。

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