絶対に子どもがほしいというわけじゃないし、かといって絶対に子どもはいらないというわけでもない。
「どっちでもいい」からこそ、産む/産まないの区切りをつけたいのに、考えれば考えるほど「産み時」がわからくなってしまうという人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、3人の「どっちでもいい派」の働き女子を集めて、座談会を開いてみました。
座談会に参加してくれたのは、こちらの3人。
佐々木さん(仮名):29歳・未婚。「産んでも産まなくてもどっちでもいい」けど、結婚するなら彼の海外赴任についていかなくてはいけない可能性大。そうなったときに、出産のタイミングはどうなるのか悩み中。IT企業の営業職から2年前に転職し、現在はEC事業のプロモーション部門を担当している。
竹田さん(仮名):30歳・既婚。「産んでも産まなくてもどっちでもいい」ので、いつでも産める状況に身を置くために、産休制度が整っている会社に昨年転職。同じタイミングで結婚。もともとは、土日も仕事に追われるベンチャー企業の営業職。現在はメディアのコンサルタント業務に携わる。
小林さん(仮名):35歳・既婚。「産んでも産まなくてもどっちでもいい」と思っていたものの、34歳で不妊検査を受けたことをきっかけに「子どもをつくらなくちゃ」にシフトチェンジ。広告営業としてバリバリ働いたのち、28歳のとき、結婚を機にメーカーに転職。30歳で新規事業を立ち上げ、現在は管理職。
【第2回】産みどきと転職・異動はどう考えている?
【第3回】34歳で婦人科に行くと卵子年齢38歳と言われ…
産みどきを迷う分岐点は?
——出産しても仕事を続けたい女性にとっては、ちょうど仕事が面白くなってきた時期に、それを一区切りして産むという選択をとるのは難しいですよね。
小林:仕事は目の前にある。でも赤ちゃんは目の前に顕在化してない。だから、出産に関して仕事より優先度が上がるわけがないんですよね。30代は20代よりお金もあるし、20代のころはつらかった仕事も今は楽しい。だからこそ、子どものことを考えるのが後回しになってしまうのは仕方ないですよね。
佐々木:たしかに、前の職場でも、30代の女性はみんなバリバリ働いていて楽しそうでした。子どもがいる人は全然いなくて、みんな仕事に夢中。まわりの環境もあって、私もその会社にいるときはあまり子どものことを考えてなかったですね。27歳のときに今の会社に転職して、29歳になって産む/産まないを考え出しました。
——佐々木さんの今の職場って、妊娠・出産経験者は多いですか?
佐々木:いえ、結婚している人が3、4人で、妊娠や出産経験のある人はゼロです。社員の半数は女性で、ほとんどが20代。将来的にこうなるであろうというロールモデルがいないんです。もし自分が妊娠・出産したら、その道を自分がつくっていかなければいけないんですよね……。通常の仕事にプラスして、制度を整えたりしなくてはいけないので、自分にそんなことができるのかな? 大丈夫かな? と心配です。
竹田:その点、うちの会社は大丈夫なんですよね。わりと社員のライフスタイルを考慮した働き方を認めてくれる会社で、上長もやさしいので、「いつでも産休とっていいんだよ」と言ってくれるし、産休をとるときにはみんなが「がんばれー」と送り出すような社風です。産休をとったあとに復帰した方の前例も多々あるので、私の場合、実は現状では産み時に関してそこまでの悩みはありません。
産むなら会社に貢献してから
——竹田さんの場合、福利厚生も充実しているし、産後も問題なく働き続けられる環境だから、いつ産んでもOKという状況なんでしょうか?
竹田:はい。でも私は昨年12月に転職で今の会社に入ったので、会社に貢献してから産休、というのがベストかなとは思います。転職してすぐに産休に入ると印象よくないかな、と(苦笑)。
佐々木:貢献というのはどれくらい?
竹田:まずは、自分の目標の売り上げを達成すること。あとちょっと、あと一歩というところまできている感じです。
小林:竹田さんの話を聞いていると、28歳で転職した当時の自分をみているみたい(笑)。当時の私は、結婚して働き方を変えるために転職して、いつ産んでもいいやと思っていて。それで30歳のときに新規事業を立ち上げて5年が経ち、今言えるのは「タイミングを逃してしまった」ということ。
佐々木:タイミング……!
小林:私の経験から言わせてもらうと、仕事に区切りをつけることはできないんですよ。子どもができてからどう仕事を続けるかという問題に向き合おう、と思っていても、子どもができなかったりすることもありますからね。私は今、不妊治療中なんですけど……その話はあとでしますね。
卵子年齢が38歳と言われて焦った
——ちなみに、みなさん、もともと子どもは欲しいと思っていたタイプですか?
佐々木:どちらでもいいという感じです。まわりには晩婚の人が多いんですけど、最近少しずつ子どもがいる人が増えてきました。その人たちが赤ちゃんを育てている姿をみて、いいなと思ったりはしますね。
あと、いまの彼(30歳)と結婚を考えはじめたので、ぼんやりとではなく、現実的に考えなきゃいけないなとは思います。彼は年齢的に結婚したがってるし、子どももほしがっているので……。
竹田:特に強い希望はなかったのですが、そのうち子どもを産んで母親になるんだろうなぁというイメージはありました。性格的に、「いつまでに結婚したい!絶対こどもが欲しい!」という強い意思があるタイプではなく、その時々を楽しみながら、流れに身をまかせるタイプなのでいずれは結婚して、子どもを産むんだろうな……って。
ただ、子どもができれば、自分中心の生活から家族のことを考えた生活に変わるだろうと思ったので、仕事もプライベートも自分のやりたいことをやりきってから、ということだけは決めてました。
小林:私は仕事が楽しかったので、ぜんぜんほしくなかったタイプです。事業が子どもっていう感じで、この子がどれくらい育つんだろうくらいに思っていました。でも、34歳で不妊検査に行ったら「卵子年齢が38歳」と言われて焦りましたね。事業は40歳を超えてもできる、でも子どもはいましかできないんだと。
だから、不妊治療をはじめた当初は「ほしい」ではなく、「つくらなきゃ」という義務感みたいなものだったと思います。それが、友達の赤ちゃんを実際に抱いてみたとき、はじめて「ほしいな」「自分の赤ちゃん抱きたいな」と気持ちが変化しました。
——今回の3人を見ていると、29歳の佐々木さん、30歳の竹田さん、35歳の小林さんとフェーズの遷移が見て取れて興味深いです。次回は、「どっちでもいい」からこそ悩む、転職や部署異動についてお聞きします。
(構成:須田奈津妃)