「服はあるのに、今日着る服がない」というのはよく聞くお悩み。解決するために、新しいアイテムを購入したり身体を変えようとする前に、「着こなし力」に注目してみてはいかがでしょうか。
持っている服を最大限に活用するためのポイントを、ファッションのプロが教えてくれる本『手持ちの服でなんとかなります』(サンマーク出版)が、2022年1月に発売されました。著者は、パーソナルスタイリストの杉山律子(すぎやま・りつこ)さん。
今回、特別に全3回で「着こなしのコツ」を抜粋してお届けします。今回は、キレイな着こなしのためのポイントについてお届けします。
自分と服がキレイに見える 「いいシワ」を作り出す
次ページの写真のワンピース。1枚でそのまま着ることもできますが、ウエストマークしてシワを作り、動きを出してみました。袖もたくし上げて手首を見せ、たるませることでより表情をつけています。
比べるとよくわかりますが、シワを出して着たほうがスタイルよく、素敵に見えませんか?
下に仕込んだボトムスにも注目してください。
これがぴったりしたレギンスやタイツだったらどうでしょう? 私の場合、O脚を気にしていて、ぴったりしたボトムスだと、そのフォルムがリアルに出すぎてしまい、人様にお見せできません……。
左の写真で穿いているテーパードパンツだと、ほんのちょっとの隙間があることで、脚の形がカモフラージュできますし、「じつは、細いの?」と錯覚して見せる効果があるんです。
大人が着て素敵に見えるには、フィットしているよりも、少し余裕があるくらいのサイズ感が不可欠です。身体と服の間の隙間感、服の中で体が心地よく動かせるほどの余白感、これがとっても大事です。
これを私は「ちょいゆる」と呼んでいます。その効果はマイナス3キロ&マイナス3歳ぶんくらいと見積もっています!
20代後半以降になると、どんなにスリムな人でも、思わぬところに贅肉がつきます。その肉感をなるべく拾わないことが老けないように見せるコツであり、服をきれいに着こなすための大前提です。
洋服の生地にもよりますが、NG写真のように1枚でワンピースを着るとゆったりして太って見えてしまうことがあります。
服を着たときは、前からだけでなく、後ろもしっかりチェックが必要。
ブラジャーやブラトップなどのカップ付きのキャミソール、お尻など、大人ならではの肉感は背面に出ることがほとんどです。下着のラインは響かせないようにしましょう。
鏡でチェックするだけでなく、少し動きながら動画で自撮りしてみると、客観的に判断しやすくなります。
私自身、前後に体をゆらしたり、しゃがんだりして動いてみて、肉感をチェックしています。仁王立ちしたときには気づかない肉感が発見されることも! モデルのようにスタイル抜群でない限り、自分の体型に合わせて、服を「着こなす」ことは必要不可欠。
手持ちの服で肉感が出てしまったり、ピタピタなものがあったら、そのまま着るのはやめて「カバー」してしまいましょう。トップスならロングカーディガンを重ねたり、ボトムスならチュニックやロングブーツが便利です。
ちなみに、近ごろよく見かけるリブニットのパンツは、サイズ選びが難しいアイテム。生地がちょっと肌に触れるだけで肉感が出てしまいます。そういうアイテムの場合は、ちょいゆる程度では追いつきません。ダボダボかも?と思うくらいでちょうどいいのです。
服選びが「しんどい」あなたへ
『手持ちの服でなんとかなります』(サンマーク出版)。好評発売中。1,540円(10%税込み)