ジェーン・スー×能町みね子トークイベント第2回

「男って」「女って」は信用ならない…【ジェーン・スー×能町みね子】

「男って」「女って」は信用ならない…【ジェーン・スー×能町みね子】

ジェーン・スーさんの対談集『私がオバさんになったよ』と、能町みね子さんが自身の5歳当時を描いた私小説『私以外みんな不潔』(共に幻冬舎)の刊行を記念したトークイベントが4月、「代官山 蔦屋書店」(東京都渋谷区)で開催されました。

『私がオバさんになったよ』の最終章に登場したのが、能町さん。同書は、ジェーンさんが過去に対談したことがあって「もういちど話したかった」という人との対談をまとめた一冊ですが、能町さんとは初対談で、「人生は有限。会いたい人には会ったほうがいい」というジェーンさんの思いが結実した対談だったといいます。

その“延長戦”として実現したのが、このたびのトークイベント。「大勢が苦手」という2人の友達付き合いについて、パートナーとの生活について、男女差別についてなど、トークの内容を3回にわたってお届けします。

【前回は…】BBQもホムパも異業種交流会も…距離の詰め方って難しい

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“主夫”のパートナーとの同居生活

ジェーン・スーさん(以下、ジェーン):その後どうですか? 生活のほうは。

能町みね子さん(以下、能町):順調で、何も起こってないんです。私が働き、相手(ライターのサムソン高橋さん)が家事をする。洗濯、炊事、掃除の99%を向こうがやる。たまに申し訳なくなるけど、向こうはそれでいいと言うから、「いいのかな?」と思いながらもう1年になる。

ジェーン:向こうが卑屈になったりしません?

能町:それがないんです。私も男の人に対して、「働いて女よりも稼ぎたい」とか「女にデカい顔されたくない」と思ってるに違いないという偏見があったんです。でも、向こうがゲイだという理由も多少はあるかもしれないけど、彼にはそれがまったくないんですよ。むしろ、なるべく働きたくないという考え。

ジェーン:私たちが望む人物像ですよね。

能町:そうなんです。私は「働かなくていいよ」と思っているんですけど、向こうは一応パートもしているんですよ。パートとライターをしていて、今はほぼパートがメイン。

ジェーン:パートしているとしていないとでは、大違いだと思います。私のパートナーは今は外で働いてなくて、家事を全部やってもらっているんです。給与を発生させてはいるんですけど、やっぱり彼から「外で働いて稼ぎたい」という思いは少し感じますね。

最初はたぶん「ラッキー!」「得意なことだけやればいいぞ」と感じていたと思うんです。でも、今は家族以外の人から求められるということを必要としてるんだろうなと思います。それも、友達とかではなく、契約を交わして、仕事という形で頼りにされることを。そういうプレッシャーを苦手とする人が主夫に向いてると思ったけど、ゼロじゃダメなんだなと思うようになりました。

能町:じゃあ今は、「ちょっと働こうかな」みたいな感じに?

ジェーン:そうですね。でも、40代半ばの男の人が、家事をやりながらちょこちょこっとできるパートってあんまりないんですよ。女の人なら、いっぱい見つかるのに。

ジェーン・スーさん

ジェーン・スーさん

男性の「ちょっと働き」場所が必要

能町:今の夫(仮)というか、「アキラ」と呼んでるんですけど、アキラとこういうふうになる3年くらい前まで彼は建築系の仕事をしてたんです。それを辞めて、2、3カ月タイとかに行って。帰ってきてから2年くらいは無職だったと言ってたかな。さすがにお金が尽きたので「働こう」と思った時に、アルバイトですら100件くらい落ちたらしい。

ジェーン:女の人の社会進出はもちろんかなえられなきゃいけないけど、男の人の「ちょっと働き」ができる場所もつくっていかないとマズイですよね。

能町:40〜50歳くらいの人がコンビニへ行って「働きたい」と言ったら、たぶん偏見の目で見られちゃうんですよ。「この人、50歳にもなって何やってんだ」って。

ジェーン:女の人は50歳でも「子育てが終わったんだな」と見られて、いっぱいパートの口があるんだけど、男はキツい。

能町:幸いパートが見つかったからよかったですけど。今は(東京都)北区に住んでいて、私は北区から仕事で神楽坂に通ってるんですけど、やっぱり神楽坂に住みたいんですよ。

でもそうすると、パートに通うのが面倒くさい。どうせなら神楽坂でパートを見つけたいと言ってるけど、実際にまた探すとなると結構大変。

ジェーン:おうちを買っちゃったんですよね?

能町:買いました。でも、貸せばいいし。

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「男って」「女って」はあてにならない

ジェーン:将来、どのタイミングで家を買うか、考えちゃいますね。歳を取ったら郊外に引っ越そうかなというイメージがあったんですけど、「郊外はどんどん過疎化が進んで寂れているから、生活ができない」と言って友達の親が東京に出てきてるんです。だから、郊外に引っ込めばいいやという考えはダメだなと思った。

能町:郊外は厳しいですね。地方都市ならまだいいけど。スーさんはマンハッタンに住みたいんですよね? いつ行くんですか?

ジェーン:ね! 人生のどこにニューヨークを組み込むか。パートナーは、こないだシルクロードを(西から)たどる旅をしてきたような人なので、マンハッタンとかまるで興味ない。先日も雪山登山に出かけてました。そうやって家を空ける時には、うちの中をちゃんとしてから出かけてくれます。

能町:ちゃんとしているんですよ、向こうのほうが。奧さんだなーと思いますよね。なんでこんなにキレイに逆転しちゃうんだろう。

ジェーン:結局、「男って」「女って」と世間でいわれてるあれこれが、こんなに信用ならないものだったかという感じは、実体験としてありますよね。

能町:男性性と女性性って、すぐ入れ替わると思いますね。

ジェーン:「女が首脳になったら戦争は起こらない」と言ってる人がいるけど、絶対うそ! 権力持ったら、性別関係ない。

新自由主義みたいな考えがなだれ込みで入ってきちゃったから、機会が均等になると、「持てる者と持たざる者」「パワーがある男女とない男女」の違いが如実になってくる。

能町:仮に男女が平等になっても、そういうことは起こり得ますよね。

ジェーン:何をやっても難しいですね。

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※第3回は6月6日(木)公開です。

(取材・文:新田理恵、撮影:宇高尚弘)

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