ハフポスト日本版イベントレポート 第1回

「理想の自分じゃなくてもいい」自分を好きになるために私たちが実践したこと

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「理想の自分じゃなくてもいい」自分を好きになるために私たちが実践したこと

「もっとスタイルがよければ」「もっと目がパッチリしていたら」

誰でも心のなかに、「もっと○○ならば……」という理想の自分像があるはず。現実の自分と理想を比べて、なかなか自己肯定できない人も多いかもしれません。

そんな女性に向けて、6月下旬に東京・南青山で「渡辺直美の専属スタイリスト&摂食障害経験者と考える、女性を悩ます『かわいくなりたい!』と向き合う方法」と題したイベントが開催されました。

ハフポスト日本版が立ち上げた『Ladies Be Open』というプロジェクトの一環として開催されたもので、自身の摂食障害克服記をハフポストに寄稿した会社員の野邉まほろさんと、スタイリストの大瀧彩乃さんが登壇。今の自分を好きになるためのヒントが飛び出しました。イベントの様子を、3回にわたりレポートします。

毎日90錠の下剤を飲む生活の果てに

野邉まほろさん

野邉まほろさん

最初に登場したのは、摂食障害を克服した経験を持つ会社員の野邉まほろさんです。島根県・隠岐島出身の野邉さんは、高校から島を出て、松江市にある県内トップ校に進学。ところが、生活環境の変化に疲れ、いつしか食べることがストレス発散の手段になっていったそうです。成長期ということもあり体重がみるみる増加。悩んだ野邉さんは、ネットで「下剤を飲むと一瞬で痩せる」という情報を目にし、下剤を常用するように。

「下剤を1錠飲むと目に見えて痩せるのが嬉しくて。でも、そのうち身体が慣れて、1錠じゃ効かなくなりました。もうちょっと飲もう、というのを続けているうちに、毎日90錠くらい飲むようになっていました」と野邉さん。

それから7年間、大学4年生の時まで過食に苦しむ日々が続いたといいます。「過食は止まらないし、下剤もやめられない。どうやって治したらいいんだろう?と思い、Twitter(ツイッター)で仲間を探し始めたんです」

ネガティブな世界を変えたい

ツイッターで「摂食障害」と検索すると、同じように悩む人たちが、さまざまな投稿をしていたそう。しかし、大半が「どうやったら吐きやすいか」「どうやったら食べても太らないか」という内容で……。その思考のままでは、摂食障害から抜け出すことはできないと考えた野邉さんは、「ツイッターの世界を変えてやろうと思った」と言います。

自分に言い聞かせるようにポジティブな内容をツイートし続けると、同じ悩みを持つ人たちから「こんなに明るい投稿が見られて元気が出ました」と連絡がくるようになったそうです。「摂食障がいを治す第一歩として、『私は90粒の下剤を飲んでいた』(編集部注:原文ママ)というタイトルの記事を書いたら、はてなブログのトップ入りをするくらい反響がありました」と野邉さん。ブログを書いたことで、自身の悩みを友だちにも相談できるようになったといいます。

さらに野邉さんは2015年に、東京と大阪で「D Girls MTG(ディーガールズミーティング)」というイベントを主催。「『お気に入りの服を着て、一番好きな自分で女子会をしよう』というテーマを掲げました。このイベントを告知してから、それまでネガティブな投稿ばかりしていた子たちのツイートが変わっていったんです。女子会のために初めてネイルに行きましたとか、勇気を出してエステに行ってみましたとか。彼女たちにとっても私にとっても大きなイベントでした」と野邉さんは語ります。今も、イベントに参加できなかったフォロワーに連絡をとり、会いに行く活動を続けているそうです。

今の自分を好きになるために実践したこと

現在、摂食障害は完治しているという野邉さん。明るいムードの野邉さんを見ていると、苦しかった日々の形跡は感じられません。どのようにして自分と向き合えるようになったのでしょうか。そのきっかけについて「今の自分を好きになるために写真を撮りました」と野邉さんは話します。

「涙が流れるとそれが花に変わって私の全身を包んでくれる、というテーマで、友だちにボディペイントをしてもらい写真を撮りました。それまでは、太っている自分をどうやってなくすか?という思いにとらわれていましたが、今は自分の好きなことをどう取り入れていくか考えるようにしています」。そう力強く話す野邉さんの言葉に、集まった参加者もじっと聞き入っていました。

ぽっちゃりさんの気持ちが分かるスタイリスト

ハフポストスタッフ(左)と大瀧彩乃さん(右)

ハフポストスタッフ(左)と大瀧彩乃さん(右)

続いて登場したのは、タレント・渡辺直美さんの専属スタイリストを務める大瀧彩乃さん。「ぽっちゃりさんの気持ちが分かるスタイリスト」として、引っ張りだこの存在です。

大瀧さんは、元アイドルグループ「チェキッ娘」のメンバー。「チェキッ娘が解散になったとき、私には仕事がなかったので、すぐに芸能界を辞めたんです。でも、みんなと一緒に仕事がしたいという気持ちがすごく強くて。なので、スタイリストのアシスタントになりました」と、今の仕事に就いた経緯を明かします。

転機は2007年。お笑い芸人の柳原可奈子さんが「笑っていいとも!」のレギュラーに決まり、スタイリングを担当することに。その1年後に、渡辺直美さんから「柳原さんみたいなかわいい感じで着せてほしい」とオファーがあったそうです。

スーパーモデルに憧れてガリガリに痩せてしまった

見るだけでハッピーな気持ちになる渡辺直美さんのファッション。一体、どのようにスタイリングを考えているのでしょうか。大瀧さんは「ふだんから、直美ちゃんの好きな音楽やルーツなど、いろいろな話をしています。一緒に映画やファッション誌を見たりして情報を集め、スタイリングを考案します」と教えてくれました。

華奢な体型で、この日着ていたワンピースもよく似合っていた大瀧さん。これまで体型について悩んだことなどないのでは?と思いましたが、「スタイリストになる前に、古着店でアルバイトをしながら、ブランドの勉強をしていました。そのときは、スーパーモデルのような体型に憧れて、体が薄い方が格好いいという思いがすごくあったんです。それが理由で食べるのをやめてしまい、今より10kgくらい痩せてしまったことがあります」という意外な話も飛び出しました。

大瀧さんは続けて「自分では、それが一番きれいに洋服を見せられる体型だと思っていました。ところがスタイリスト会社に入ったときに、私の師匠にあたる人から最初に与えられた仕事が“太ること”だったんです。そこからスタイリングとは何か?を考え始めました」と、仕事の原点について語りました。

色の効果で着る人をハッピーに

5月に初めての本『ぽっちゃり女子のファッションbook』(主婦と生活社)を出版した大瀧さん。「この本では、着やせや細く見えるテクニックを紹介していますが、ふだんのスタイリングでは、本人が明るい気持ちになれることを一番大事にしています」と話します。

そんな大瀧さんが、服を着た人に自信を持ってもらうために実践しているのが、色の効果を利用すること。「タレントさんを見ていて、最近元気がないなと思うときは、ピンクや赤のインナーを着せます。肌で色を感じさせて、少しでも明るい気分になるようにしています」と、スタイリストならではの気持ちの盛り上げ方を語ってくれました。

苦しさを乗り越えたことで得られた「今の自分への肯定感」を、自らの言葉で丁寧に語ってくれた野邉さんと大瀧さん。次回は、2人のトークショーの様子をレポートします。

<次回>いま私たちが疑うべき「痩せてなきゃいけない信仰」

(東谷好依)

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