『私がオバさんになったよ』インタビュー第2回

成長しないことより「傲慢になってしまうこと」のほうが怖い【ジェーン・スー】

成長しないことより「傲慢になってしまうこと」のほうが怖い【ジェーン・スー】

コラムニストのジェーン・スーさんが、光浦靖子さんをはじめ、山内マリコさん、中野信子さん、田中俊之さん、海野つなみさん、宇多丸さん、酒井順子さん、能町みね子さんら8人と、テーマは設定せずに語り尽くした対談集『私がオバさんになったよ』(幻冬舎)が3月に発売されました。

「女はキャリアが得にならない」「えん罪お局」「若くもきれいでもない女たちが東京では楽しそうに生きてる」「役に立つことのために生きてるわけではない」「極悪人に石を投げない」など、片っ端からマーカーを引きたい言葉ばかり。

「『私がオバさんになったよ』と言われると、少しだけ心がざわつく人に届いてほしい」とつづるジェーンさんに3回にわたってお話を伺いました。

【第1回は…】他人の期待に応えすぎず、自分を裏切らないで生きていく

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成長しないことよりも「傲慢になってないか」が怖い

——「能町みね子さんとの対談で「提出したものに対して『これはないね』って言ってくれる人もほぼほぼいない」と書かれていました。

会社員とは違う状況だとは思うのですが、30代半ばになって「中堅」といわれる世代になると誰からも怒られなくなってきて「私はもう成長しないのかな」と不安に思うことがあるのですが、そういうことはありましたか?

ジェーン:私は、叱責が成長と直結しているとは思わないので、「成長しない」とは思わないんですけれど、ただ傲慢になったりとか、過剰に頼ったりは存分にあると思うんです。

誰かが不愉快な顔をしない限り、気が付かないことってたくさんあると思うので、そっちのほうが怖いですね。

「なんでできないの?」って他人に言ってないだろうか? とか、「自分の常識が世間の常識」みたいになっていないかと。

——ああ、自分が傲慢になっていないか……。下の世代の子に「こうしたほうがいいよ」と強要していないか、とか。

ジェーン:下の子は嫌な顔しないですからね。あとで嫌な顔はするでしょうけれど、その場は「ありがたいお話ありがとうございます」「貴重なお話ありがとうございます」って顔をしますから。自分がそうしてきたように。

——していましたね。しかも、できる子ほど、優秀な子ほどそういうのをちゃんとやってくれるから、こっちも気付いていないというのは往々にしてあると思います。

ジェーン:「成長」に関していえば、怒られて伸びるわけじゃないですからね。自分で自分の期待に応えていくほうが、よっぽど成長できると思います。

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「意味のあることをやっていないと…」と思ってしまう空気

——能町さんと「同業の友達があまりできない」というお話もされていましたが、同業者の方と一緒にご飯に行くとか、交流はあまりないんですか?

ジェーン:まず忙しくて、人とご飯に食べに行く時間がないというのが一つと、たまの休みがあれば、知らない人より知っている人に会いたいんです。

明後日は墓参りして、高校の時の友達と大学の時の友達と会う、っていう。気心知れた人と会ったほうが、私は気が休まるんですよね。自己拡張していくよりも。

昔、サラリーマンだったときに異業種交流会みたいなものに行ったことがあるんですけど、これは全然合わないなと思って。

——なぜ合わないと思ったんですか?

ジェーン:そんなに知らない人と、別に話したくないしなと思って。友達と話しているほうが楽しいしなって、本当にそれだけです。

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——セミナーやイベントのお知らせを見ると「行かないとダメなのかな」とは思うんですが。

ジェーン:合わないことは無理してやらなくていいと思いますよ。

何かをやっていないと、そして、何かやっていることをどこかに載せないとまずいのではないかという強迫観念がすごく強い時代だとは思うんですよ。意味のあることをやって自分の人生が充実しているようにしてないと、よろしくないんじゃないかという空気があるのは確かだと思います。

みんながみんな、毎日好きな仕事をしてるわけじゃない。会社と家の往復だけになっちゃうと、何かやってるような空気を醸したいって気持ちになるのはわかります。そういうのを断罪はできないですよね。インスタグラムとかフェイスブックとか。

——どういうことですか?

ジェーン:私は「発信なんかしなくていい」とか、「何か学んだり、セミナーに行かなくていい」とは言えない。なぜなら、そういうことをしなくても楽しめる価値観を私はたまたま持っているだけだから。そうじゃない人にとっては「何もない日常」に見えるのは苦しいだろうし。そういう人たちから、楽しみを奪うようなことは言いたくはないですね。

——そうですね、メディアとしても「白か黒か」のような記事の発信の仕方をしてしまうことがあるけれど、注意しなければなと思います。

ジェーン:なので、前回の話に戻って、人の期待に応えすぎず、自分のやりたくないことはやり過ぎずっていう……。「あのバランス感で自分は過ごせてるかな?」ということを私は気にしてます。他の人だとどうかはわからないけれど。

第3回は5月28日(火)公開です。

(聞き手:ウートピ編集部:堀池沙知子、撮影:宇高尚弘)

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