きゃー!! 今夜も女性の悲鳴が聞こえてきました。彼女は毎日のように指摘される同僚のファッションチェックに我慢の限界を迎えたようです。アドバイスのふりをした“余計なお世話”はなぜ起こるのでしょうか? 元外資系OLのずんずんさんは「着る服はアイデンティティと繋がっている」と考察します。
こんなことでイライラするのは心が狭い?
こんにちは! ずんずんです。
職場に行けば、顔を合わせる同僚……。いろんな人が集まるオフィスですもの、中には性格が合わない人もいて、たまにはイラっとさせられることもありますよね。
「こんなことでイライラするなんて……。私、心が狭いのかな?」
と、思うこともあるでしょう。
たとえば、会うたびになぜかファッションやメイクに対して、
「それと同じ形の服、他にも持ってなかった?」
だとか、
「その髪型、変じゃない? 結び目の位置を数センチ上げたら?」
と、いちいちチェックを入れてくる同僚。
なんかこう……イライラしますよね?
でも大丈夫。イラついてしまうのはあなたのせいではありません。微妙にイラつくアドバイスをしてくるそんな彼女は、「アドバイスしたガール」かもしれません……。
謎の上から目線アドバイス
私の友人であるIさん(27歳)も、そんな「アドバイスしたガール」に悩まされていた一人でした。
異動で新しい部署になったIさん。その部署に先にいる年次が下の同僚と働くことになったのですが、その彼女は、毎日Iさんのデスクにやってきては、
「今日の髪型すてきですね」
「バック変えました?」
「コートいいですねぇ」
などと、Iさんの髪型や服装にコメントしていくのです。しかし、コメントするだけならまだしも、
「もうちょっとランダムに巻いた方がいいんじゃないですか?」
「Iさんはかわいいんだし、それじゃもったいないです」
と、ご丁寧に、謎の上から目線アドバイスを付け足してくるのです。
最初は「ちょっとこの子、変な子だな?」ぐらいに流していたIさんですが、さすがに毎日続くと「この子、なんだかイライラするわ」と変わっていきました。
「そもそも、なんで彼女にいちいちそんなこといわれないといけないの?」と思ったIさん。ついには、「それ、やめてくれない?」とオフィスでぶち切れてしまいます。
Iさんをぶち切れさせてしまった同僚ちゃんには別に悪気があった訳ではありません。悪気はなかったんですが、その奥には、本人も自覚していない隠れた願望があったのです……。
無意識に優劣をつけていた同僚ちゃん
同僚ちゃんはなぜ上から目線のファッションアドバイスをIさんにしていたのでしょうか。
上から目線のアドバイスをしてくる人は、上から目線のアドバイスをしてくるだけあって、いつでも根拠なく「自分の方が上」と考えているんですね。同僚ちゃんは、自分より後に部署に異動してきたIさんよりも「自分の方が上」だと思っていたのです。
ですが、キャリア的にはIさんの方が年上で仕事もでき、年下で経験の浅い同僚ちゃんがかなうわけがありません。そこで同僚ちゃんが目を付けたのがファッションだったのです。Iさんは仕事ができる人でしたが、あまり服装を気にしない人でしたので、その本人が気にしているであろうところを、同僚ちゃんは突いていったのです。
なんで同僚ちゃんがそんなことをしていたかというと、自分より優れているIさんの存在が許せなかったからです。だから、こうやって、ファッションチェックという形でチクチクと相手がいやがるところを突いて、サド心を満たしていったわけです……。
他人を思うように変えたいという願望
服装は、その人のアイデンティティでもあります。心の内側がファッションに現れます。
チクチク言い続けることで、相手はそのうち自分の望むような格好をしていたかもしれません。そんなふうに相手を自分好みに変えて支配したいという願望が、このファッションチェックには隠れていたのです……。
しかし、実際のところ、本人は自分の中に隠れている支配したいという願望なんてみじんも気づいていません。「できないこの人のためにアドバイスをしてあげている」なんてどこまでも本気で考えているかもしれません。
同僚ちゃんのような人にはIさんのようにはっきりと拒絶を表すしかないのです。ファッションもメイクも自分のイメージ通りにしてもらうことなんて到底できません。友人や同僚は自分のアクセサリーではないのだと同僚ちゃんは早く気づくべきなのです。
さてはて、Iさんにブチ切れられてしまった同僚ちゃんですが、それからはIさんに近づいて、ファッションチェックをしてくることはなくなりました。
しかし…この同僚ちゃん、哀れなことに今度は違う先輩にファッションチェックをするようになったそうです……。
気づかない限り、彼女はずっとこのファッションチェックを続けて、また先輩にぶち切れられる……この繰り返しを続けるのかもしれませんね……。
くわばらくわばら……。