みなさんも社会人になってからこれまで、いろんな上司の下で仕事をしてきましたよね?
面倒見のいい優しい上司、厳しいけれどピンチの時はしっかりフォローしてくれる頼りがいのある上司……そんな「尊敬できる上司」に当たればラッキーですが、なかにはトンデモない「ダメ上司」もいたはず。
でも、社会人として一人前となった今、振り返れば、「あのダメ上司がいたからたくましく成長できた」と感謝の気持ちもなくはない。
今回、ウートピ編集部では、アラサー女性に「今の私をつくってくれた偉大なダメ上司」をヒアリング。彼、彼女から学んだこととは?
社会のルールを守る大切さを教えてくれた
30歳・IT企業勤務
入社5年目、27歳の時に異動先の部署でついに出会ってしまった、社内でも有名なヤバい上司、池橋さん(仮名)。しかも運が悪く、私は彼の直属の部下に……。
池橋さんは、自分のことは棚に上げて、いつも後輩を怒鳴り散らす完全なパワハラ上司。おまけに、セクハラ上司でもありました(彼からホテルに誘われた女性スタッフは数知れず……もちろん私も丁重にお断りしました)。
私がクライアントとの打ち合わせで使う備品を忘れた時のこと。仕事にはまったく支障がないのに、池橋さんはブスッとした顔で「おまえさぁ?それで金もらってんだったら、ただの泥棒じゃねぇか!」と私を犯罪者呼ばわりしてきたのです。「そんな言い方しなくてもいいじゃん……」と内心思いましたが、自分のミスには変わりないので一応反省しました。
他にもこんなエピソードが。
仕事終わりに「今日は飲んでます!」と楽しそうにSNSに投稿していた池橋さん。ところが翌朝「池橋さんはしばらく休職します」と社内通達があったのです。休職の理由もわからず、社内はみんな彼の穴を埋めるために必死で動くはめに。
あとで発覚したことには、飲酒後にマウンテンバイクに乗って接触事故を起こし靭帯損傷、肩を脱臼したのだそう。おまけに数十万円もかけたと自慢していたマウンテンバイクは大破……。そんな社会人としてありえない休職理由を聞いて、「人のことは犯罪者呼ばわりしといて、自分は法に触れることを平気でするんかい!」と思わず心の中でツッコミました。
今年で社会人8年目ですが、いまだに彼を超える「破綻上司」は見たことがありません。「社会のルールを守る」「他人に迷惑をかけない」という人間としての基本を絶対に守ろうと、彼を見ていて心に誓いました。あと、数々の心ない暴言のおかげで精神面が鍛えられたので、そこには感謝しています。
チームの団結力と責任感を高めてくれた
32歳・広告代理店勤務
社会人6年目、28歳の時に転職し、そこで出会った上司が大沢(仮名)さん。
何かにつけて「僕は常にみんなのことを考えているよ」と口にして、よき上司を装いますが、その正体は完全放置主義者でイエスマン。自分の利益しか考えない、典型的な自己チュー上司です。
現場のことはいっさい何もせず、社長の前ではひたすらゴマすり。責任を取りたくないので、企画会議でも最後は「その企画、君は本当にやりたいんだよね?(僕は責任とらないよ?)」というセリフを吐きます。
ある時、「本性を暴いてやろう」と思い立った私。チームの運営や今後の計画、売り上げの数字など、あれこれ意見を聞いてみたところ、「どうだろうねぇ……」「そうだねぇ……」「なんとも言えないねぇ……」と答えるだけ。「この人、ホントに自分の意見もないし、そもそも何も考えてないんだな」と心底呆れました。
でも、トップがここまでノーアイデアで無責任だと、逆に他のメンバーの団結力は高まりました。おかげで、それぞれが責任感を持って仕事に取り組むように。ある意味、彼のおかげでよき仲間に囲まれて仕事ができていると言えるかもしれません。
人柄とコミュニケーション力の大切さを教えてくれた
31歳・IT会社勤務
西島(仮名)さんと出会ったのは、入社1年目の22歳の時。
デキるけれど、エキセントリックと言えるほど怒りやすく感情の起伏が激しい女性でした。会議中は、人が意見を言うたびに何かと反抗したり、イヤそうな顔をして首を傾げたり、「フッ」と人をバカにした含み笑いを浮かべたり……と、とにかく感じが悪い。しかも、他の上司の前でも変わらぬ態度なので、「場の空気を壊す天才だな」とある意味感心していました。
そんな西島さんは後輩に対して特に態度がひどく、私も「それは反抗してるって思っていい?」「これは私がするべき仕事じゃないから、あんたがやればいい」など、キツイ言葉を投げつけられました。そればかりか、私に無理やり押しつけた仕事を「自分でやりました」と平然と嘘の報告をすることまであって、本当にヒドい上司でした。
「人間的にひどくても仕事がデキるから……」と諦めかけていた私ですが、ある時、西島さんの上司から彼女の本当の評価を聞いてしまいました。その上司いわく「仕事はデキても社内ではまったく評価されていない。異動させるか、クビにしたい」。
理由はとにかく彼女の人間性。「仕事がデキる/デキない」も大事だけど、それ以上に仕事では人柄やコミュニケーションが大事なんだな、と身をもって教えてくれた偉大な反面教師でした。
仕事でミスをしない習慣をつけてくれた
31歳・マスコミ勤務
私の職場は、毎日終電でも帰れずタクシーで帰宅……と、とにかくブラックでハードな環境です。そのなかで、いつも髪を振り乱して仕事をこなす、三宅さん(仮名)という女性上司。出会いは入社1年目の23歳の時でした。
悪い人ではないのだけれど、とにかく仕事が雑。「これ、終わったよー!」と三宅さんが言った仕事を確認すると、だいたい処理しきれていないんです。予期せぬタイミングで「これ、手伝って!」と急に仕事を振ってくることもたびたびで、後輩たちの間では「また三宅砲が降ってきた……」と話題になっていました。
だけど、とにかく仕事が雑な上司から仕事を振られると、身が引きしまるんです。「この人がミスだらけだから、自分は絶対にミスできない」って(笑)。三宅さんのミスをフォローするくらいのつもりで、ものすごく冷静に仕事に取り組む習慣がつきました。三宅砲、ありがとう。
社内恋愛のマイナス面を示してくれた
29歳・ベンチャー企業勤務
入社2年目の23歳の時に一緒に仕事をした、男性の笹岡さんと女性の松岡さん(ともに仮名)という二人の上司。
実はこの二人、同じ部署内で付き合っていたんです。ベンチャー企業で社内の空気が自由だったせいもあり、二人はいつでもイチャイチャ♡ラブラブ♡。
イチャつくだけならまだ許せますが、笹岡さんにいたっては、「これ、やっといてー」と私に仕事を押し付け、空いた時間で松岡さんと肩を揉み合ったり、おたがいの顔を指でツンツンしたりと、まさにバカップル……。
なかでも最悪だったのが、ケンカをした翌日の勤務時間中に、松岡さんがデスクで「ウッ……うえぇーーーん(泣)」と急に泣き出したこと。後輩の私も「勘弁してよ……」といった状態でした。
その後も二人のバカップルぶりは続き、さすがに二人の公私混同は部署内でも問題に……。他の上司が二人を呼び出して口頭注意したこともありましたが、結局あまり改善されず、最終的には異動させて引き離されました。
社内恋愛は節度がなければ、大迷惑。二人を見ていて、プライベートは絶対に仕事に持ち込まないと心に決めました。
「こんなダメ上司に当たって、私って本当に不幸……」そうため息をつきながら過ごしたあの頃も、こうして振り返れば、ちゃんと成長に繋がっていたのかもしれませんね。みなさんの思い出の中にある「偉大なダメ上司」にも、案外感謝できる部分が見つかるかも?