人生100年時代と言われる現代ですが、長生きをしても「健康」でなければ自分の満足のいく人生を送れないかもしれません。健康を維持しながら長生きができれば、より自分らしい人生プランを考えることができるのではないでしょうか。
健康に生きるためにいま注目されていることのひとつが「睡眠」です。睡眠時間の長さだけではなく、「睡眠の質」について気にしている人も増えています。スマートウォッチのようなウェアラブルデバイスで睡眠の状態をチェックしたり、運動やストレッチ、サプリメントや飲料などで睡眠の質を向上させたりしている人もいます。
「健康長寿」を目指し、最先端の研究を学ぶYoutube番組「生命科学アカデミー」では、今回、ゲストに筑波大学の柳沢正史先生をお迎えしました。同プログラムのHIROCO学長が聞き手となり、「睡眠」の奥深さについて迫ります。

柳沢先生(左)とHIROCO学長(右)
眠ることで進化した!人間の睡眠は特別
柳沢:哺乳動物のなかでも、人間って実は睡眠に関してスペシャル。他の動物と何が違うかというと、犬や猫を飼っている方はわかると思いますが、他の動物は昼間にも眠ったり起きたりを何度も繰り返すんですよ。
──確かに、飼っている猫を見ても、そういう状態ですね。
柳沢:数分、数十分ごとに寝たり起きたりしていますよね。マウスもそうです。そういうのは「多層性睡眠」といいます。人間以外のほとんどの動物は多層性睡眠です。ヒトに近いサルも「単層性睡眠」に近いんですけれども、それでも眠ったり起きたりします。
──そうなんですね。
柳沢:人間だけが、極端な単層性睡眠なんですよ。つまり、昼間はずっと起きていて、夜だけ眠っている。そこが他の動物と比較すると極端なんですね。
人間の場合、若い人だと、ノンレム睡眠の一番深い「深睡眠」が夜のはじめの頃に40分~1時間連続して続きます。そんな睡眠をとれる動物は、人間以外にいません。それが人間のスペシャルなところです。
つまり人間だけが深く、長く続けて眠る能力があるんです。また、人間の頭脳の発達に関して共進化したという説があります。
長く深く続けて眠るには、その間の安全を確保する必要がありますよね。安心して眠るために、例えば古代人が洞窟の入口に火を焚くとか、安全を確保して安心して続けて眠るようになって、それで知恵がついて、頭が良くなったという説があるんです。
──眠ることで、人間は進化してきたんですね。
柳沢:そう考えている人もいます。だから、長く深く続けて眠る能力を捨てちゃいけないんです。繰り返しになりますが、睡眠不足になるような生活は改めていきましょう。
◆まとめ
・深く長く続けて眠る能力を獲得することでヒトの頭脳は進化した。
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