免疫って何? 高めるにはどうする?第12回

リンパ液の流れを促すとなぜ免疫力が高まるの?【専門医に聞くやさしい免疫学】

リンパ液の流れを促すとなぜ免疫力が高まるの?【専門医に聞くやさしい免疫学】

新型コロナやインフルエンザなどの感染症に対抗するために、「免疫って何なのか」「免疫を高めるにはどうすればいいのか」について、感染症や免疫に詳しい耳鼻咽喉科・気管食道科専門医で『免疫入門 最強の基礎知識』(集英社新書)の著書がある遠山祐司医師に連載でお話しを聞いています。

前回・第11回では、免疫細胞は骨の中心部の骨髄(こつずい)で生まれること、そして骨髄や胸腺、脾臓(ひぞう)で成熟し、血液やリンパ液に乗って全身を巡り、ウイルスや細菌を見つけてはリンパ節で免疫反応を起こして撃退するということでした。

今回はよく耳にする「リンパ液の流れを改善する」と免疫反応は高まるのかについてお尋ねします。これまでの記事は文末のリンク先を参照してください。

リンパ液は末端から心臓に向かって一方通行で流れている

——前回、リンパ系は免疫細胞が働く場所だと教えてもらいました。リンパ液とはどのように流れているのでしょうか。

遠山医師:リンパ液は全身に張り巡らされているリンパ管や、その途中に豆粒大の大きさで関所のように存在するリンパ節の中を流れています。

血液の流れとは違って、リンパ液の流れは一方通行です。血液は心臓から出て全身を回ってから心臓に戻るという循環ですが、リンパ液の場合は、頭部や体の末端の手や足から心臓に帰るように一方向だけにゆっくりと流れています。そうなるように、リンパ管の内部には、リンパ液の逆流を防ぐ弁がついているのです。

——前回、「全身の毛細血管からしみ出て細胞の間を浸している透明の『組織液』が、リンパ管に入ってリンパ液になる」ということでした。そのリンパ液が、心臓の近くで血管に合流するのですね。

遠山医師:そうです。リンパ液の流れは、左右の鎖骨の下で静脈と合流します。詳しく言うと、下半身と左の上半身から集まったリンパ液は左の鎖骨下(か)静脈の「静脈角(かく)」というところで、右の上半身から流れてきたリンパ液は右の鎖骨下静脈の静脈角に入ります。

リンパの流れに沿うマッサージ法とは

——「リンパの流れに沿ってマッサージをしましょう」とよく言いますが、具体的にどうすればいいのでしょうか。

遠山医師:まず、リンパ節があるところをおおまかに把握しましょう。前回お話ししたところを含め、耳の下、首、鎖骨の下、わきの下、肘(ひじ)の内側、足のつけ根、膝(ひざ)の後ろ、足首などに多く集まっています。

体の末端部分から一定方向に、それらのリンパ節に向かうイメージで、さする、なでるなどしてください。

<リンパ節が集まるところ>

腕の場合は、指先からひじの内側を通ってわきへ向かってなで上げてください。また、足の先からひざの裏を通ってそけい部(足のつけ根)に向かう、おへそからそけい部に、おへそから胸に、胸の中心から左右のわきの下へ向かってなでます。

<リンパマッサージの方向>

頭部は頭頂からこめかみや後頭部の下の方へ、また、こめかみから耳の下へ、下あごの先からエラを通って耳の下へ、首は上から下へ、という経路です。マッサージといっても力を入れて押すのではなく、手のひらを使ってそっとなでる、さするようにしましょう。

リンパ液の流れを促すと免疫力は高まる

——リンパ液の流れが滞ると体がむくむ、と言いますが、医学的にはどうなのでしょうか。

遠山医師:むくみはとくにふくらはぎから足先に多い現象です。夕方以降になると組織液が細胞の間にしみ出す量が増えてきて、重力で下半身に溜まりやすくなって生じます。

寝ころんで脚を壁に立てかけるなどして上げる、就寝時には枕やクッションに脚を乗せて少し高くすると翌朝にはむくみが改善しているでしょう。それは、リンパ液の流れが促されて組織液がリンパ管に回収されるからです。

逆に、むくみや冷えがあると、リンパ液の流れが滞っているアラームだととらえましょう。

——リンパ液の流れを促す、むくみをとるのは、免疫力に関係するのでしょうか。

遠山医師:影響すると考えられます。リンパ液には二酸化炭素やアンモニアなどの老廃物を排出する作用があります。この働きが滞ると代謝が悪化して免疫力を低下させます。そうすると、例えば体のどこかに傷ができたときには細菌感染を起こしかねません。

リンパ液も血液も、循環するべきものは循環してこそ代謝アップ、免疫力アップにつながるので、巡りを促進することは体調にとって重要なことです。

聞き手によるまとめ

リンパ節の場所や、リンパ液の流れる方向がわかり、その流れを促すようにそっと、自分で頭や体をなでてみました。頭の先や体の末端から、リンパ節に向かうように行うのがコツということです。リンパ液の流れの改善は免疫力のアップに影響するとのことで、毎日の習慣にしたいものです。次回・第13回は、リンパ節の働きについて紹介します。

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