今年7月「保護猫カフェ ネコリパブリック」(以下ネコリパ)は東京都中野区に今までにない猫カフェ店舗をオープンしました。ネコリパ中野店の猫たちは通称「りんご猫」と呼ばれています。それは「猫エイズウイルス(FIV)」に感染した猫のこと。
「猫エイズ」と聞くとちょっと怖い感じがしますよね。でも実は発症することなくノンキャリアの猫と同じように人生……いや、猫生をまっとうする猫もいるんです。なのに偏見から里親を避けられることも。
そこで考えたのが「りんご猫」というネーミング。「さくら猫」*のようにかわいらしく親しみやすい名前にしよう、偏見をなくそう、もっと彼らにも選ばれるチャンスを! そんな思いが詰まったネコリパ中野店、挑戦は始まったばかりです。
2ヵ月前、中野店から嬉しいお知らせが届きました。
発症のリスクはあるものの「それでもいいよ」と譲渡希望の里親さんがあらわれたのです。今回、中野店卒業第1号猫、白黒柄で恰幅の良い「鈴之助」(すずのすけ)の里親さんにお話を伺う機会を得ました。なぜりんご猫を選んだのでしょう?
*不妊治療済みの地域猫を「さくら猫」という。耳が桜の花びらのようにカットされているため。
愛犬・ココの相棒を探して
飼い主さんの上薗真吾(うえぞの・しんご)さんと淳子(じゅんこ)さんはともに働いています。「日中1頭では寂しいだろう」と犬のココのために相棒を探し始めたのでした。
動物が大好きな二人。次は「犬か? それとも猫か?」と選択肢を増やし、相棒探しの議論は日々ヒートアップ! しかしそれもつかの間、ネットで見つけた1匹の「キジトラ猫」の出現にクールダウン。議論を終わりにしてすぐにお見合いを申し込み、訪れたのがネコリパ「お茶の水店」でした。
キジトラ猫の審査では「家に犬がいる」という環境が敬遠され破談に終わるのですが、「中野店に犬好きの猫がいる」という案内を受け、「それじゃあ」という感じではありましたが中野店も覗くことに(ジェットコースターみたいな急展開!)。
すべてがベストマッチング!
「まさに一目ぼれでした」と上薗さんと淳子さんは「鈴之助」を迎えることに決めました。なぜ、りんご猫を?
それは「猫エイズ」の知識が上薗さん自身にあったこと*、鈴之助が犬と一緒に暮らしていたこと、そして保護主さんの家にも犬がいて共存できていること。
お互いの条件がマッチして2週間のトライアル(試用期間)が始まりました。
*猫エイズは犬や人間に感染しません。
おとなしい猫と聞いていた通り、犬のココに対しても友好的(無視?)でトライアル初日から明るい兆しです。さらに2日目にしてベッドで添い寝。
「まるで我が家のよう」な落ち着きぶりにかわいさしが増し、エイズキャリアの猫だということはもはやどこかに置き忘れたよう。
動物を飼う責任と覚悟
私はりんご猫を特別視してない上薗さんの視点に感銘を受けました。エイズキャリアは「個性の一つでしかない」とばかりに今を楽しんでいます。
聞けば今年先代の犬(享年15歳)を見送り、悲しみに暮れた日もあったといいます。動物も人間も別れは必ず訪れるというもの。
寿命をまっとうする子、突然の事態に道半ばで途絶える子……。上薗さんとの出会いは私も忘れかけていた「覚悟」を強く再認識させ、初心を思い出させていただくものとなりました。
動物を飼う「責任」と「覚悟」を今一度胸に刻みましょう。
帰って自宅の猫たちの頭をグリグリしたのは内緒です。
「楽しみながらネコ助け ネコ市ネコ座〜ホゴネコ文化祭〜」
チケット絶賛発売中!
期間:2016年11月5日〜11日(11:00〜21:00)
場所:原宿ネスカフェ
料金:1200円(1ドリンク、1000円相当のプレゼント付き)
チケット購入はこちら:http://www.nekoichinekoza.jp/
*限定猫メニュー登場予定 *ネコ祭イベントは5日(土)、6日(日)のみ
*7日(月)~ 11日(金)はネスカフェ原宿、通常営業のためカフェメニューのオーダーが必要です。イベントはありません。
取材協力:保護猫カフェ ネコリパブリック http://www.neco-republic.jp
(ケニア・ドイ)