「硬毛でいつもごわごわしている。扱いにくいし伸ばせない」「軟毛なのですぐにぺしゃっとしてスタイリングが決まらない」「軟毛か硬毛か分からない」など、髪の質とそれにまつわる悩みの声が続々と届いています。「Hair salon aruca」(福岡県北九州市)のオーナーで美髪を追求する三谷遥さんに、軟毛と硬毛の見分け方、メリット・デメリット、それぞれのケア法について聞きました。
細く柔らかい軟毛、太く硬い硬毛
——「軟毛、硬毛別のヘアケア製品を目にすることがありますが、自分はどちらかわかりません」という読者の声があります。まず、それぞれの特徴を教えてください。
三谷さん:軟毛は1本ずつが細く柔らかい、硬毛は太く硬いのが特徴です。
軟毛と硬毛の違いは、毛髪の表面を覆って内部の栄養分や水分の流出を防ぎ、ツヤを出す「キューティクル」の厚さによると言われます。軟毛の場合はキューティクルが薄く、硬毛は厚いというわけです。
軟毛? 硬毛? 簡単セルフチェック
——軟毛と硬毛を自分で見分けるにあたり、チェックのポイントはありますか。
三谷さん:日本人の平均的な髪の太さは0.08ミリメートルといわれます。これを下回っていれば軟毛、上回っていれば硬毛といえるのですが、自分で測ることはできませんね。そのため、目安として次のような方法を紹介しています。ただしどれも可能性の範囲なので、分からないときは美容院で相談しましょう。
・ヘアアイロンやカーラーで髪を巻いたときに、カールがつきやすい場合は軟毛、カールがつきにくくてストレートに戻りやすい場合は硬毛。
・毛髪を抜かずに、1本をおや指とひとさし指でつまみます。毛先をおや指で押さえながらひとさし指にくるくると三重ぐらいに巻き付けます。次に、おや指をぱっと離しましょう。すぐにひとさし指から巻き付きがはずれる場合は硬毛、巻き付いたままの場合は軟毛。抜けた毛髪でも確認できます。
・10センチ程度のできるだけまっすぐな毛髪を1本抜き、両端を指でそっと持って水平に保ちます。次にどちらか一方の指を離したときに、そのまま水平を保っていたら硬毛、下がれば軟毛。
軟毛のメリット・デメリットとセルフケア法
——軟毛にはどのようなメリットがありますか。
三谷さん:軟毛のメリットは、毛髪が細く軟らかい質感なので、サラサラとした繊細な雰囲気のスタイルがつくりやすいことでしょう。
——一方で、軟毛と自覚する読者は、「ボリュームがでない。美容院でふんわりとブローしてもらっても、すぐにもとに戻ってがっかり」「40歳ごろから、抜け毛と切れ毛が激しくなってきました。これからどうなるのか不安」と話します。軟毛にはどのようなデメリットがありますか。
三谷さん:くり返しますが、軟毛はキューティクルが薄いため髪の内部を保護する力が弱く、外部からのダメージを受けやすいため、枝毛や切れ毛になりやすい、髪同士がからまりやすい面があります。
また、お悩みの声にあるように、ボリュームを出しにくく、ぺしゃんとなりやすいため毛量が少ない印象を与えます。カーラーやヘアアイロンでカールをすると、巻きやすくとれやすいでしょう。
——では、軟毛の人はどうケアをすればよいですか。
三谷さん:頭皮の血流を促す頭皮マッサージを行いましょう。髪のツヤ、ハリ、コシ、切れ毛、抜け毛を改善します。
シャンプー、トリートメント、アウトバス用のトリートメントには、「ハリ・コシ」とうたうタイプを選びましょう。ボリュームがない人、髪が細い人に向くノンシリコンシャンプーやハリ、コシ、ツヤを出すヘマチンという成分が配合されたヘアケア製品も試してみるとよいでしょう。
また、ヘアオイルを使うとベタついてぺしゃんとなりやすいので、アウトバスではミストタイプのトリートメントを使用しましょう。
また、軟毛の場合は生活習慣や年齢とともに毛髪が細くなりやすく、切れ毛や抜け毛も増えます。気になるときは育毛剤を試すとよいでしょう。
ふんわりとセットしたい場合は、ヘアスプレーを使ってみてください。ヘアカットの方法にも影響を受けるので、美容師に、「ぺしゃんとなることで悩んでいる。ボリュームを出したいので毛量を減らしすぎない、あまりすかないように」などと率直に伝えましょう。また、枝毛になりやすいため、毛先のカットをこまめに行い
ましょう。
硬毛のメリット・デメリットとセルフケア法
——次に、硬毛にはどのようなメリットがありますか。
三谷さん:硬毛は軟毛に比べてキューティクルが厚いためにツヤがあり、傷みにくいという特徴があります。
——一方で、硬毛では、「パーマがあたりにくく、カーラーやアイロンでも巻きにくい」「見た目がごわごわして、きれい感が出ない」「量が多くてシャンプーもドライヤーも面倒」と悩む声が多くあります。
三谷さん:硬毛はキューティクルが厚いので、カラー剤やパーマ液が浸透しづらく染まりにくい、パーマがかかりにくいという面があります。ボリュームが出すぎる、ごわつく、カールをしても型がつきにくいことも挙げられます。傷んだ状態で放置すると、髪が広がり、ごわつきやパサつきが目立ちやすくなります。
——硬毛のケアはどうすればよいですか。
三谷さん:シャンプー、トリートメント、アウトバス用のヘアオイルには、「硬い毛・剛毛に・ごわつく髪に」などとうたう製品を選びましょう。ごわつき、髪の広がりを抑えるために、トリートメントはしっとりタイプを、また、水分が髪の表面に残りやすいので、アフターバスはタオルドライをしてから髪を軟らかくするタイプのヘアオイルを使ってドライヤーで乾かします。
ボリュームを抑えたい場合は、美容室で毛量を減らすカットを相談し、また、縮毛矯正やストレートパーマという方法もあります。
聞き手によるまとめ
軟毛、硬毛のセルフチェックは簡単ですぐにできました。それぞれのメリット、デメリットがあってケアの方法も異なるので、自分の髪質を理解したうえで、適したケアを実践していきたいものです。
(構成・取材・文 藤原 椋/ユンブル)