今年のGWに久しぶりの旅行や帰省を予定している人も多いのでは?
そこで、海外のホールでクラシック音楽の録音や取材を行い、コロナ前は1カ月に1回は海外出張に行っていたという音楽プロデューサーの渋谷ゆう子さんによるコラム「アフターコロナの海外旅行」をお届けします!
髪もカラダも保湿対策を万全に!
機内に持ち込んだほうがいいアイテムをご紹介した前回に引き続き、今回は、特にヨーロッパに行くなら絶対に持っていったほうがいいアイテムを紹介する。
ヘアトリートメント剤(洗い流せるものと流さないものの両方あるとなおよい)とシートマスクは必須アイテム。海外にいるといかに日本の湿度が高いかを実感する。とにかくこまめに保湿。旅の写真映りにも大事なポイントなので、肌と髪の保湿には特に気をつけたい。水が変わることで最もダメージを受けるのが髪の毛だ。
特に日本人の髪には欧州の硬水がまったく合わず、パッサパサになる。そのためには、トリートメント剤を毎日使い、洗い流さないタイプを併用するに限る。せっかくの美しい街歩きに気乗りしないヘアスタイルででかけることだけは避けたい。
さらに髪を挟んで使うタイプのヘアアイロンがあると安心。これを使うとゴワゴワをかなり軽減できる。ストレートにもカールにも使えるものがあると巻き髪にしてドレスアップにも対応できるので、ぜひ普段使っているものを持っていこう。
肌の乾燥を防ぐために効果的なのは洗顔の頻度を落とすこと。欧州の硬水での洗顔はかなりダメージを与えるので、夜お風呂でクレンジングと洗顔するだけにとどめ、朝は水で顔を洗わないくらいがちょうどよい。拭き取り化粧水を使うか、普段使っている化粧水を多めにコットンに湿らせて、それで顔を拭う。乾燥肌の人は「朝、水でばしゃばしゃ顔を洗わない!」を心がけるだけで乾燥をずいぶん防げるのでぜひ実践してほしい。
さらには、寝る前のシートマスクと美容液のダブル使いと全身にワセリンや保湿ボディローションを塗りすぎかと思うくらい塗って寝る。これを夜の必須条項にするだけで翌日は驚くほど快適に過ごせる。乾燥を制するものが旅を制すのである。
機内用スリッパのほかに携帯用バレエシューズ
機内とホテル用に使えるスリッパは手荷物に入れておくとして、その他、折り畳める靴はとても便利。私はバタフライツイストのバレエシューズを必ず入れている。ホテル内での朝食時や、目の前のカフェなどちょっとそこまでの靴があると安心。ヒールのあるパンプスを履く程度ではない散歩やちょっとしたディナーにも対応できるので、黒などベーシックな色のものをひとつ持っておきたい。
“小さいコロコロ”もあると安心
それから携帯用の衣類クリーナー(いわゆる小さいコロコロ)はおすすめ。旅先では「ちょっとコロコロ使いたい」という時や、ちょっとしたガムテープの代用としても使える。これがひとつ入っていると安心感絶大である。
●スーツケース内
□携帯用靴
□洗い流さないヘアトリートメント剤(シャンプーコンディショナー)
□フェイスマスク日数分
□かさばらず、シワになりづらい服少量
□衣類圧縮袋
□ヘアアイロン
□爪切り(ハサミの代わりにも)
□携帯用衣類クリーナー(小さいコロコロ)
●いらないもの
□衣類用洗剤(ボディソープかシャンプーでシャワーついでにショーツだけ洗う)
□日数分の服(服は日数分以下でOK。着回しと現地で買う楽しみ)
□本(本当に紙で読みたいものを一冊だけ。ガイドブックなども電子媒体に)
現地調達も旅の楽しみの一つ
安心と安全のためのものをしっかり準備したら、洋服は持っていくものを最小限にして現地で必要なものを買う楽しみを残そう。すぐに買えないと困るものだけを手元に。判断ポイントは「日本で普段、コンビニで買えばいいと思うものは現地ですぐには手に入らない」ということ。
無理にお土産を買おうとしない
旅の醍醐味(だいごみ)のお土産探し。でも、お土産探しを思い切ってやめるのも一度は経験してほしい。
例えば、ウィーンには旧市街のショッピングストリートでここかしこに観光客向けのお土産ショップが点在しているが、はっきりいって観光客相手のお土産はどこも同じだ。どのお店でもモーツァルトかクリムトの何かを観光客価格で買えるだけである。それらの同じものを、あちこち見て回って値段を比べる時間と労力を思い切ってリストラしよう。
貴重な旅の時間を帰国後のバラマキ土産のために使うことはない。どうしても買わなければならないなら、大量のモーツァルトチョコを買っておこう。いっそ帰りの空港内ショップでもいいくらいだ。
ただし、美術館やコンサートホールのショップは別。そこでしか手に入らないグッズも多いので、自分が感動した絵画や楽曲にまつわるものを思い出として買い求める。またその感動を伝えるためのお土産選びなら、その時間さえ芸術につながっていられるひとときになる。そこで買ったとっておきを帰国後に大事な人たちに渡しながら感動を伝えるのが本来の意味でのお土産なのだから。
旅の終わりにしたいこと
例えば、ウィーンの音楽で満喫できたら、音楽ストリーミングサービスなどで自分のプレイリストを作ろう。コンサートで聞いた曲、関連する作曲家の代表曲にオペラのアリア。これらをひとまとめにしておくだけでこの旅をいつまでも幾重にも楽しむことができる。
絵画や美術品に感銘を受けたら、美術館でポストカードを買い求め、現地から大事な人に出してみよう。自分の帰国後に届くこの葉書は、時を越えてまたその場所と人をつなげてくれる。
LINEやSNSで簡単に随時お知らせするのではない、手間と時間をかけるからこそ、そこには温かい気持ちが含まれている。出す側も受け取った側もまたこの旅を大事な人生のひとときとして共有することができるだろう。
久しぶりの海外旅行で豊かな心を取り戻し、知的好奇心を充足させたら、きっと帰国後にはあなたの魅力も大きく増しているに違いない。