アフターコロナの海外旅行①

デジタルに頼りすぎない! 久しぶりの海外旅行でコピーして持っておきたいものは?

デジタルに頼りすぎない! 久しぶりの海外旅行でコピーして持っておきたいものは?

今年のGWに久しぶりの旅行や帰省を予定している人も多いのでは?

そこで、海外のホールでクラシック音楽の録音や取材を行い、コロナ前は1カ月に1回は海外出張に行っていたという音楽プロデューサーの渋谷ゆう子さんによるコラム「アフターコロナの海外旅行」をお届けします!

渡航先が決まったら「たびレジ」に登録

ようやくこの3年の重苦しい時代から抜け出そうとしている今、そろそろ海外旅行も再開の機運が高まっている。2023年5月8日には、日本政府によるコロナ対策の水際措置もほぼ終了されることが予定されており、ゴールデンウィークから夏に向けて、一気に旅行気分が加速しそうだ。久しぶりの旅行を前に、ぜひもう一度旅のコツをブラッシュアップしていきたい。

まず、今最も重要なことは安心と安全に気を配ることである。コロナ後というだけでなく、特に欧州ではロシアのウクライナ侵攻によりさまざまな影響が出ている。そこで、まずは渡航先の情報を正しく集めるところから始めよう。

旅行先を検討したら、まず真っ先に外務省海外安全情報配信サービス「たびレジ」に登録することをおすすめしたい。入国予定の国すべてを選択することによって、メールで最新情報を受け取ることができるサービスである。紛争や災害といった大きな出来事だけでなく、大規模なストやデモ、事件についてもその国の大使館や領事館から都度送られてくる。また現地で自分が何かに巻き込まれてしまった際にも、このサイトに旅行日程を入力していることで、対応がされやすいという特徴がある。

TwitterなどSNSもチェック

次に、最新の情報を正しく得るためにツイッターを活用しよう。現地の日本大使館のオフィシャルアカウントとともに、渡航先国の在日大使館のアカウントがあればフォローも入れておこう。

また、使用する予定の各航空会社や鉄道、現地の地下鉄など滞在先の交通機関のアカウントは、最も早くその日に必要な情報を確実に得ることができる。私は以前、ウィーンでその日に行く予定である場所が事件で通行止めになっているという情報を、現地警察SNSから直前に知ることができた。これらの現地アカウントは各国の言語でツイートされているが、ツイッターの自動翻訳を使うことによって、内容をある程度理解することが可能だ。ツイッターアカウントを持っている人は、旅のためにフォローしたアカウントをリスト機能で一括管理し、旅行準備の間にもチェックしよう。

ツイッターでは、渡航先在住の日本人からの生の声も有益だ。特に特派員やジャーナリストなどの職業を持つ人の個人ツイッターは、先述の現地情報を裏付けるため、日本語で得られる情報の安心感もある。一方で、在住人の個人的なSNSからは、公の情報にはない生活の中での温度感を知ることができるだろう。個別の事情に左右されるのでうのみにできない部分はあるが、レストラン情報や買い物情報など旅のお楽しみ部分は、ぜひInstagramなどでもこうした情報を得ておくようにしておきたい。

また、安全対策と同時に健康上の安心対策もまだ完全にやめることは難しいだろう。アメリカや欧州各国は日本よりもかなり早い段階で、マスクなしの通常の生活に戻っているところが多い。しかし国によっては、公共機関などでマスク着用を求められる場合もある(種類が限られる場合も)ので、保険衛生問題の情報も正しく入手しておこう。こうした対応には、日本の厚生労働省、各都道府県保健機関、現地保健省などの発表を確認することが大切だ。

航空会社によって、搭乗手続きに必要な装備や書類、確認が異なっている。コロナ時期に大量のレイオフを行った関係で、航空会社のスタッフによる手厚い対応を求めることが難しくなっている。この航空会社の人手不足は深刻で、たったひとつの不備や、現地スタッフの確認不足などで帰りの便に乗れなかったという話が後を絶たないのが現状だ。念には念を入れて、確認をしていこう。

そして、コロナ禍前に比べて搭乗手続きにも大幅に時間がかかっている。オンラインチェックインでも荷物を預けることに手間取ったり、保安検査で何時間も長蛇の列に並んだりと、スムーズな旅行にならない場合が多発している。旅慣れた人も、ぜひ以前より数時間の余裕を持って、計画を立ててほしい。コロナ禍前は日本の次に正確と言われていたドイツの交通機関も、コロナ以降に遅延や欠便が頻発しており注意が必要だ。必要書類や確認事項を事前にしっかり準備し、時間の余裕をもって万全の体制で渡航したい。

ロストバゲージ対策にも…紛失防止ガジェット

それから、楽しい旅行を徒労に終わらせないための万全の体制をとるため、最近特に便利だと流行しているグッズがある。それは、AirTag(エアタグ)などの位置情報がわかる紛失防止ガジェットである。リチウム電池を含まないこうしたガジェットはスーツケースに入れて預けられるので、ロストバゲージの不安を若干解消してくれる。

先述のように、航空会社は現在まだ人手が足りているとは言えない状況であり、また社会情勢の不安によりストライキも多く発生しているため、コロナ以前よりも荷物の不着が多いようだ。こうしたときに、自分のスーツケースが今どこにあるかを知ることができるだけでも安心を得られるだろう。(ただ、荷物の場所がわかっているのに戻ってこないもどかしさはあるというが……)

デジタルに頼りすぎない! コピーで持っておきたいもの

さて、必要な正しい情報を得て計画を立てたら、いよいよ楽しい旅の準備である。初めての海外旅行の人も、そして旅慣れた人も、アフターコロナの旅行準備をブラッシュアップして万全にしていこう。

まずは、パスポートの準備である。スリなどの対策をして、いつも身につけておくパスポートであるが、意外とコピーを複数とっていない人が多い。万が一に備えて、パスポートのコピーは複数枚を分散させて持っていこう。ひとつは持ち歩くバッグの中、もうひとつはスーツケースの中に必ず入れておく。この際、パスポートだけでなく航空券や海外運転免許証、ビザなど大事な書類は必ずコピーしておくことを絶対におすすめしたい。最近はオンラインチェックインでバーコードをスマートフォンにいれているだけで、何もなければ十分事足りるが、そのスマートフォンが故障、盗難などで使えなくなることも合わせて想定しておきたい。

家族や親しい人で旅行している場合は、それぞれのスーツケースに全員分のコピーを入れておくこともリスク回避となる。また、一人旅などの場合では、それらの重要書類を家族にコピーして日本で手元に持っておいてもらってもいい。旅先で航空券が手元になくなってしまった際でも、メールなどで現地に送ってもらえばQRコードで搭乗が可能である。さらに用心深い人の中には、旅行に必ず戸籍謄本を持っていくという人もいるくらいだ。何が起こるかわからないのが旅行である。できる限りの防御をするのもまた、賢く旅慣れた人の新しい習慣である。

これまでは、IoTの進化とともにいかに便利なものを駆使して荷物を減らしていくか、という工夫が旅慣れた人の合言葉のようであったが、疫病と戦争という混乱期となってしまった今は、できるだけリスクを回避していく工夫、電子機器に頼りすぎないことも新しいハックである。

安心安全のための情報入手と、リスク回避に時間の余裕。この三つが今最も求められている旅の心得だ。

参考ページ:
外務省海外安全HP「パスポートについて」

SHARE Facebook Twitter はてなブックマーク lineで送る

この記事を読んだ人におすすめ

この記事を気に入ったらいいね!しよう

デジタルに頼りすぎない! 久しぶりの海外旅行でコピーして持っておきたいものは?

関連する記事

編集部オススメ

2022年は3年ぶりの行動制限のない年末。久しぶりに親や家族に会ったときにふと「親の介護」が頭をよぎる人もいるのでは? たとえ介護が終わっても、私たちの日常は続くから--。介護について考えることは親と自分との関係性や距離感についても考えること。人生100年時代と言われる今だからこそ、介護について考えてみませんか? これまでウートピで掲載した介護に関する記事も特集します。

記事ランキング