ぐるぐる・ふわふわ…めまいを治したい/第6回

40~60代の女性に多い…激しいめまいのメニエール病の特徴とは【専門医に聞く】

40~60代の女性に多い…激しいめまいのメニエール病の特徴とは【専門医に聞く】

「ぐるぐる・ふわふわ…めまいを治したい」と題し、耳鼻咽喉科・気管食道科専門医で『免疫入門 最強の基礎知識』(集英社新書)の著書がある遠山祐司医師に連載で詳しいお話しを聞いています。

これまで、「めまいの中でもっとも多いのはぐるぐると回転するめまい」や「ふわふわとする非回転性のめまい」、また「危険なめまい」について、特徴や治療法を紹介してきました(各リンク先は文末参照)。今回・第6回は、日常生活に支障をきたすほどに激しいめまいが起こる「メニエール病」の症状、特徴、原因について尋ねます。

遠山祐司先生

遠山祐司医師

メニエール病はめまいが10分から一日中続く

——読者からのお尋ねです。「3年前から1~2カ月に一度の間隔で数十秒続くめまいがありました。更年期の症状かと放っていたところ、2週間ほど前から激しく、時間も長くなり、立っていられません。メニエール病という病気なのでしょうか」(48歳・女性)
メニエール病とはよく耳にします。どういう病気なのでしょうか。

遠山医師:これまで、めまいの状態にはおもに、ぐるぐる回るタイプと、ふわふわ回るタイプがあると話しました。とくに患者さんの数が多い「良性発作性頭位(とうい)めまい症」の場合、持続時間は数秒から数十秒であり、そう長くはありません。

メニエール病とは、19世紀にフランス人医師のメニエールが報告したことから名付けられました。症状はぐるぐるまわる回転性のめまいですが、その程度が激しく、持続時間も10分から数時間、また1日中続くこともある病気です。

頻度は個人によってさまざまで、数日に1回から、数年に1回という人もいます。吐き気やおう吐、頭痛を伴うことも多く、くり返すと次第に聴力が低下していきます。

 

耳のつまり、耳鳴り、難聴の前兆がある

——それはとてもつらいと思います。お尋ねの読者は、更年期の症状かと思ったとのことですが、27歳の女性の友人はメニエール病で入院をしていました。

遠山医師:メニエール病の場合は、「激しいめまいの発作が起こる前に、前兆がある」という特徴があります。それは「耳閉感(耳がつまった感じがする)」「耳鳴り(キーンという音がする)」「難聴(聴力が低下する)」です。こうした症状が出たりおさまったりをくり返しながら数日後に、10分以上持続する激しいめまいが起こります。

そうした特徴を考え合わせて、更年期の症状なのか、良性発作性頭位(とうい)めまい症なのか、メニエール病なのか、あるいはほかの病気が原因なのか、問診や検査で診断します。

——前兆の段階では放置する人もいるかもしれません。

遠山医師:メニエール病の場合は、前兆を放置すると激しいめまいに襲われるようになります。また、前兆だった耳閉感、耳鳴り、難聴も悪化していきます。いったんおさまったとしても、再発の可能性もあります。命に関わる病気ではありませんが、つらい症状が続いてQOL(Quality of Life:生活の質)は大きく低下するでしょう。それだけに早めの治療が重要となります。

——どこの診療科に行けばいいですか。

遠山医師:メニエール病の原因は耳の奥の異変にあります。そのため、早めに耳鼻咽喉科を受診してください。メニエール病は、初期に適切な治療を受ければ改善しやすい病気でもあります。前兆があったときや、お尋ねの方のように「メニエール病かも」と思った場合は受診のタイミングでしょう。

耳の奥が水ぶくれになって起こる

——原因となる「耳の奥の異変」とはどういう状態ですか。

遠山医師:メニエール病は、耳の奥のほうの内耳という部分が水ぶくれのようになるために起こります。

内耳には、体のバランスをコントロールする「三半規管」と、音を感知する「蝸牛(かぎゅう)」があります。これらの内部は、「外リンパ液」と「内リンパ液」で満たされていますが、内リンパ液が増えすぎると水ぶくれのような状態になります。これを「内リンパ水腫」といい、めまいや難聴を引き起こすと考えられています。ただし、なぜ内リンパ液が水ぶくれになるのかはわかっていません。

——メニエール病というと、ストレスが強い女性に多い病気というイメージがあります。

遠山医師:メニエール病の患者さんには、統計的に「40~60代の女性に多い」こと、「ストレス、疲労、睡眠不足などがきっかけになりやすい」ことがわかっています。ただ、それらは病気をまねくきっかけであり、実態は内耳の病気であることを理解しましょう。

聞き手によるまとめ

メニエール病は、ときどき数秒間起こる良性のぐるぐるめまいとは違って、めまいの継続時間が長く、耳鳴りや聴力の低下、吐き気などほかの症状も伴うつらい病気だということです。前兆である耳閉感、耳鳴り、難聴の症状が現れたら、早めに耳鼻咽喉科を受診しましょう。次回はメニエール病の治療法についてお尋ねします。

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(構成・取材・文 藤井 空/ユンブル)

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