ぐるぐる・ふわふわ…めまいを治したい/第1回

ぐるぐるめまいがつらい…特徴、症状、原因は? 乗り物酔いとは違う?【専門医に聞く】

ぐるぐるめまいがつらい…特徴、症状、原因は? 乗り物酔いとは違う?【専門医に聞く】

「デスクワーク中、立ち上がったときにくらっとめまいがして壁に頭を打った」(42歳・女性)、「朝目が覚めたとき、天井や部屋中が回っていて、起き上がれなかった。吐き気がして気分が悪い」(38歳・女性)など、めまいのつらさを訴える人は後を絶ちません。

そこで「ぐるぐる・ふわふわ…めまいを治したい」と題し、耳鼻咽喉科・気管食道科専門医で『免疫入門 最強の基礎知識』(集英社新書)の著書がある遠山祐司医師に、特徴や症状、セルフケア、治療法、まためまいの種類などについて連載でお話しを聞きます。今回・第1回は、もっともよく見られるめまいの病状について尋ねました。

遠山祐司先生

遠山祐司医師

めまいを訴える人の原因の6割は「耳」

——めまいを経験する人は多いです。どういう症状なのでしょうか。

遠山医師:めまいには、多くの症状、原因があります。一時的に体が回っているように感じるめまい、ふらつくめまい、高血圧や貧血など何らかの病気が原因で生じるめまい、脳の病気が原因の危険なめまいなどがあります。

これらには大きく分類して、「耳が原因」の場合と、「ほかの病気が原因の場合」があります。

そのうち、6割近い人がかかっていると考えられているのが、耳が原因の「良性発作性頭位(とうい)めまい症」です。おもに、次のような症状があります。

・ある特定の方向に頭を動かしたり、傾けたりするとぐるぐる目が回る。
・起床時や寝返りをうったときなどにめまいがする。
・意識はあって、耳鳴りや難聴もないが目が回るような感覚がある。
・めまいが続く時間が10~30秒ぐらいと短いがくり返す。

耳石が三半規管に紛れ込んでめまいが起こる

——病名に「良性」とつくからには、心配する必要はないのでしょうか。

遠山医師:良性発作性頭位めまい症と診断された場合は、あまり気にすることはありません。ただ断続的に症状があり、不快感や不安感は強く、「仕事や生活に支障をきたす」と言う患者さんはとても多いです。

——経験上、良性であっても、周囲が回るぐるぐるめまいはかなりつらいです。良性発作性頭位めまい症の場合、原因は耳だということですが、耳のどこがどうなっているのでしょうか。

遠山医師:耳の奥には、体の平衡感覚をコントロールする「三半規管」という部位があります。半円形の管が3つ集まっているので三半規管と呼ばれます。この根元には、重力や方向を感知する「耳石器」があり、中に微細なカルシウムの粒の「耳石」がお皿のような組織にくっついて乗っています。

その耳石が何らかの拍子にはがれて、三半規管に紛れ込むことがあるのです。これを「浮遊耳石」といいます。三半規管はリンパ液で満たされています。耳石が三半規管の中をコロコロ転がると、リンパ液が動き、神経が刺激を受けてめまいが起こると考えられています。

211212_めまい_1回

——どういうときに「耳石が何らかの拍子にはがれる」のですか。

遠山医師:ひとつには、頭をどこかにぶつけた、衝撃を受けた、頭の向きを変えた、寝返りを打ったなど、外傷性ということがあります。「目薬を差すときに上を向いたとき」「棚の上の荷物を取ろうとして」「立ち上がろうとして」「寝返りを打ったとき」といった動作時にめまいがすると訴える人がいます。

ただし、実のところは半数以上が原因不明です。女性や高齢者に多く、カルシウム不足やホルモンバランスの乱れ、運動不足などではと言われます。

——では、そうしたことが引き金となって、耳石が三半規管内で動いているときだけめまいが起こるのですか。

遠山医師:そうです。頭や体を動かしたときに起こるのは、その拍子に、はがれた浮遊耳石も動くからです。動きを止めると短時間でおさまります。

めまいと乗り物酔いは別?

——めまいは、乗り物酔いに似た不快感を伴うことが多いです。良性発作性頭位めまい症と乗り物酔いは別の症状でしょうか。

遠山医師:別の症状です。良性発作性頭位めまい症は、お話ししたように浮遊耳石が動くことで起こります。

一方で乗り物酔いは、揺れ、不規則な方向やスピードなどによって、三半規管のリンパ液がそれまで経験したことがない、あるいは予測できない動きかたをして平衡感覚が乱されることで起こります。また、景色の変化などの視覚情報、においや空気のよどみなどの嗅覚情報、さらには「自分は乗り物に酔いやすい」という気分的な不安によって脳が疲弊し、自律神経のバランスが崩れることも要因となります。

テーマパークのアトラクションや、くるくる回る遊技機、回転技があるスポーツでも同じことが起こりえます。

——乗り物酔いしやすい人は、良性発作性頭位めまい症を発症する可能性が高いと言えますか。

遠山医師:言えると考えられます。平衡感覚をコントロールする三半規管や耳石器がダメージを受けやすかったり、その機能が低下していたりすると、乗り物など何らかの刺激によって、平衡バランスの維持が乱れるわけです。体性感覚(触覚、温覚、痛覚,圧覚などの皮膚感覚と、手足の運動や位置を伝える深部感覚の総称)や視覚との間にズレが生じやすいからです。

子どものときから乗り物酔いやめまいを起こしやすいという自覚がある場合は、めまいの予防を意識しましょう。

——良性発作性頭位めまい症ではないかと思う場合、何科を受診すればいいですか。

遠山医師:耳が原因なので、耳鼻咽喉科を受診してください。良性発作性頭位めまい症ではなくてほかの原因がある場合は、後の回で説明しますが、専門の適した診療科を紹介されます。

なお、「日本めまい平衡医学会」のホームページに「めまい相談医」のリストが掲載されているので参考にするとよいでしょう。

聞き手によるまとめ

周囲の景色がぐるぐると回るようなめまいが起こり、10~30秒以内でおさまる場合、6割は良性発作性頭位めまい症だということです。それは耳石がはがれ、三半規管に侵入して転がり(浮遊耳石)、リンパ液を動かす刺激が原因で生じるといいます。乗り物酔いの不快感と似ているけれどメカニズムは別であり、めまいの場合は耳鼻咽喉科を受診しようとのお話しでした。次回・第2回は、ふわふわするめまいや危険なめないの特徴について尋ねます。

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(構成・取材・文 藤井 空/ユンブル)

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