『劇場版 ルパンの娘』観月ありささん 後編

前に出たり、下がったり「どちらもできる」のがアラフォー世代の楽しさ【観月ありさ】

前に出たり、下がったり「どちらもできる」のがアラフォー世代の楽しさ【観月ありさ】

10月15日より全国公開がスタートした『劇場版 ルパンの娘』に出演する観月ありささん。映画は“Lの一族”として名を馳せる泥棒一家の活躍をユーモラスに描いたTVドラマシリーズの続編で、観月さんは本作から登場する新キャラクター・三雲玲としてキャスティングされました。

本作のようにできあがっているチームに途中から参加する時など、ベテランとしてどのように俳優の仕事に取り組んでいるのでしょうか? 前・後編でお届けするインタビューの後編は、芸能生活40年とキャリアが長くなってきた現在だからこそ語れる観月さんの仕事観に迫ります。

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バイプレイヤーの楽しさを存分に味わう

──「ルパンの娘」はテレビシリーズが2作あります。すでに完成しているチームの中に入っていく難しさはありましたか?

観月ありささん(以下、観月):とにかく緊張しました! 主演の深田恭子ちゃんはじめ、キャストの皆さんも玲とは初めて対面するわけですから「どんな風に登場するんだろう?」という感じがありましたし、私は私で「(物語にインパクトを与えるために)振り切っていかなきゃ」と身構えていたので。とりあえず演じてみて「これで“Lの一族”になれてます?」「大丈夫?」って皆さんの反応をうかがいながら迎えた初日でしたね。

──本作のように最近の観月さんは主人公の前に立ちはだかるヒール役やゲスト出演も増えてきましたよね。そのようなオファーはどのように受け止めていらっしゃるのでしょうか?

観月:演技の幅が広がるので、すごく楽しいです。というのも、主演のときは保守的になる感覚が強くて。脇を固めてくださるキャストの皆さんが自由にお芝居を楽しんでいても、私は主人公らしく、「ブレちゃダメ」「まともでいなきゃ」という思いがありました。コメディを演じているときでもです。なので、三雲玲のような「遊びの余白がある役」をいただけるようになったことはすごく嬉しいですし、これまで取り組んだことのないような役に挑戦できるのは純粋におもしろいです。主演作品でもいろんな役を経験させてもらい、それぞれ確実に自分の栄養になっているのですが、極端に突き抜けた役……たとえば復讐心に囚われてどんどん自分を見失っていくような悪役のやりがいは主演でいる限り味わうことはできません。

若い俳優さんが主役で、そのサポートに回る……作品がより魅力的になるようなポジションに扮する年齢になってきたのかな、とも思います。40代になって強く実感していますね。

劇中より

劇中より

どんなポジションでも「楽しむ」こと

──一方で観月さんと同世代の読者からは「そろそろ若手に機会を譲って支える側に回らなければいけないのかな」「でもまだ自分もバリバリがんばりたいし」と葛藤する声も聞きます。求められる役割の変化に戸惑う方もいる中で、観月さんは状況を前向きに受け止めていらっしゃいますね。

観月:オファーを受けた役には全力投球。それをひたすら続けた30年だったように思います。好奇心を持って、目の前の仕事にとにかくチャレンジしました。ペースダウンして環境が変わったように見えるいまも、その姿勢に変わりはないんですよ。

──過去のインタビューで「ペースダウンしたぶん、役の深さを追求できた」とおっしゃっていました。

観月:はい。20〜30代のがむしゃらに働いていた頃より、ひとつひとつの作品に真剣に取り組めるようになったと感じています。時間がなくてスケジュールをこなすことに必死だった当時は「撮影現場で考えよう!」と準備不足を勢いで乗り切ろうとしてしまった部分もありました。反省点でもありますが、一方でそれが若さゆえの良さにも繋がっていたような気もして。それくらい勢いがないと、できない仕事量だったこともあるんですけどね(苦笑)。でもいまは「自分が楽しむ」ことを最優先できるようになりました。

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深刻に悩みすぎないで、流れに任せてみてもいい

──バイプレイヤーでも主人公でも、「楽しむ姿勢」が観月さんの魅力につながっているんですね。

観月:40代ってこれまで通りいかないことに思い悩み、「どちらに行けばいいんだ?」って自分のポジションが定まらない悩みを抱える年ごろだと思います。キャリアも長くなってきて経験を積んでいると、私なら「主人公もそれ以外も、どちらもできるけど……方向性どうしよう」って悩みも生まれてくる。でもそれは、自分一人の力ではどうにもできないことでもありますから、そんな時は自然の流れに添うようにしています。

求められるのがバイプレイヤーなら存分に遊ばせてもらうし、主役ならきっちり真ん中に立たせてもらう。どちらかにシフトするんじゃなくて、「両方楽しくやる」という選択肢があっていいと思うんです。だって、どちらもできるのですから。だから、似た悩みを抱えている方には、お互い楽しく乗り切っていきたいですねと伝えたい。あまり深刻に悩まずに。

■映画情報

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『劇場版 ルパンの娘』
©横関大/講談社 ©2021「劇場版 ルパンの娘」製作委員会
原作:横関 大『ルパンの娘』シリーズ(講談社文庫刊)
監督:武内英樹 脚本:徳永友一 音楽:Face 2 fAKE
製作:フジテレビジョン 制作プロダクション:シネバザール 配給:東映

(取材・文:岡山朋代、撮影:西田優太、編集:安次富陽子)

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