映画『嘘八百 京町ロワイヤル』インタビュー・前編

「自分はもっとできるはず…」佐々木蔵之介に聞いた、くすぶっている時期の過ごし方

「自分はもっとできるはず…」佐々木蔵之介に聞いた、くすぶっている時期の過ごし方

こんな上司がいたら、毎日スキップで会社に行けそう……。理想の上司や年上男性として、女性に絶大な人気を誇る俳優・佐々木蔵之介さん。大人が楽しめる痛快コメディ映画『嘘八百 京町ロワイヤル』(武正晴監督・1月31日公開)で演じるのは、腕は立つのにくすぶり続けている陶芸家です。

舞台からスタートし、着実にキャリアを重ねてきた俳優の道。年齢を重ねるごとに輝きを増す佐々木さんが語る仕事や結果への向き合い方は、堅実で重みがあります。前後編に分けてお話を聞きました。

歪みのある人間の一生懸命な顔に魅力

——佐々木蔵之介さんが『嘘八百 京町ロワイヤル』で演じる野田佐輔は、腕はいいのになかなか評価に結びつかない陶芸家です。前作『嘘八百』(18)では、中井貴一さん演じる古美術商・小池則夫と手を組み、本物以上の贋物を作って悪徳古美術店を懲らしめました。

今作では、相変わらずうだつの上がらない日々を送っている野田が、大事なものを救うために、一念発起し勝負に出ます。野田は贋物作りで詐欺を働いた黒い過去もある、きれいなところばかりではない人物ですが、佐々木さんはどんな部分を魅力だと感じていますか?

佐々木蔵之介さん(以下、佐々木):野田や則夫の前に1人のヒロインが現れたことをきっかけに、愛や正義のために戦うという話で、よく出来た喜劇だなと思います。共演の役者さんたちがみな上手で、もういい年の大人たちが手加減せずに喜劇を演じているところが面白い。

野田は過去に「写し」ということをして、それが「贋作」として売られてしまった過去があります(過去の作品に敬意を表して、その作風を取り込んで作品を作ることや、その作品が「写し」。贋作とは別モノ)。

今回、彼は「二度と『写し』はやらならい」と言ってはいるんですけど、ヒロインのため、若手陶芸家のため、そして今のようになってしまった自分自身のため、頑張ることになる。完璧ではない人間、傷や歪みのある人間が一生懸命になるところがチャーミングで、見ていると野田を応援してしまうような、そんな話になっていると思います。

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くすぶっている時期の過ごし方は?

——野田は技術を持っているのに、ずっとくすぶっている。「ウートピ」読者に多い30代の働く女性は、「自分はもっとやれるはず」という思いと「才能や実力がないのかも……」という不安の間でモヤモヤを抱えがちです。佐々木さんの30代はどうでしたか?

佐々木:そのくすぶり、たぶんどの年代にもあるような気はするのですが、人と比較はできないやろうし……。30歳といえば私は東京に来た時ですから、くすぶりどころか、この先どうなるか分からない状態でした。それまで劇団にはいたんですけど、何の展望もなく劇団を離れて東京に来たので、とにかく目の前にあることをやっていましたね。

そもそも、「自分の才能って何だろう?」「自分にはどんな仕事が合うんだろう?」ってところから考えないといけないからなぁ。「好きなことをやるのがいいんかな?」とかね。

目の前にある仕事をやっていく中で、達成感なり、交友関係なり、自分が面白いと思えるものを見つけられたらいいですよね。

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認めてくれる人が1人いれば救われる

——陶芸家も他者から作品を評価される仕事ですが、俳優という仕事も似た部分があると思います。「もっと自分を認めてほしい」という感情は佐々木さんの中にもありますか?

佐々木:野田の場合、貴一さんが演じる則夫という人物がそばにいてくれたからよかったのかなと思うんですよね。「君の腕は本物だよ」「何百年も先に、君の作品に感化される者がいるんだよ」と近くで言ってくれる、アドバイザーであり、プロデューサーであり、役者でいったらマネージャーのような彼の存在がすごく大きかった。

大勢の人に認めてもらえるのもいいですけど、則夫のように認めてくれる人が1人いてくれたら、それでいいんじゃないかな。

——自分のことを分かってくれる人が1人でもいたら、頑張れる?

佐々木:すべての仕事がメジャーに認められればいいというわけではなく、マイノリティの中でもそれを価値あるものだと承認してくれる人がいればいいかなと思いますね。

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■映画情報
『嘘八百 京町ロワイヤル』
公開表記:1月31日(金)TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開
配給:ギャガ
(C)2020「嘘八百 京町ロワイヤル」製作委員会

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(聞き手:新田理恵、写真:伊藤菜々子)

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