働き女子とマインドフルネス2

「私、ダメな先輩ですか?」荻野淳也さんに相談してみた

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「私、ダメな先輩ですか?」荻野淳也さんに相談してみた

「本当はもっと仕事に集中したいのに、職場の人間関係を考えると憂うつになる」という人も多いかもしれません。

そんな悩みを解決できるとして注目されているのが「マインドフルネス」です。でもなぜ「今、ここに集中している状態」が人間関係にも効くのでしょうか。

前回から引き続き、一般社団法人マインドフルリーダーシップインスティテュート(MiLI)代表の荻野淳也(おぎの・じゅんや)さんに話を聞きます。

【第1回】誰かの「自分らしいライフスタイル」に振り回されてない?

2-1

自分のことを知らないと他人のことはわからない

——マインドフルネスの本を読んでいて、「他者への思いやりが深まる」という部分が気になりました。というのも、職場の後輩が仕事でつまづいているのを見て、助けてあげようと思っても、関係がギクシャクしちゃうんです。

荻野淳也さん(以下、荻野):どのようにギクシャクするのですか?

——自分の経験をベースに「私はこうしたらできた」って伝えるんですけど、それでもできないことが多くて。「どうしてできないの」という私と、それでもできない彼女の間で互いにイライラしがちというか……。

荻野:まさに共感力と思いやりで乗り越えるべきことですね。

——そもそもなぜ、マインドフルネスで他者への共感や思いやりも深まるのでしょうか?

荻野:シンプルなことだと思います。すべてに通じると思うのですが、自分のことを知らないと他者のことはわからないですよね。例えば、ご両親は健在ですか?

——はい。

荻野:僕も両親は元気な状態です。だから、僕は親を亡くした人の気持ちを真に理解できるかというと、できないと思うんですよね。何が言いたいかというと、自分にいろんな出来事が起こって、そこでいろんな感情を味わう。それを通じて他者の同じような境遇とか感情が深いレベルで理解できると思うんです。

2-2

仕事がデキる人にある傾向

荻野:だから、ちゃんと自分の感情を知るとか、経験をいかに深めていくかということが大事になる。それが世の中を見るメガネになるからです。

他者に対して思いやりを実践する時のベースは自分です。他者の苦しみを真に理解して助けてあげたいという情熱は、自分の中にある苦しみを認めてあげるところから始まるんです。

——(深い……)。

荻野:思いやりのことを“コンパッション”と言うのですが、上司や先輩が「セルフコンパッション(自分に対する思いやり)」を持っていないと、共感しあえず、ギスギスした職場になりやすいです。

でも、いわゆる「仕事がデキる人」ってセルフコンパッションよりセルフクリティック(自己批判)が強い傾向にあります。

——「思いやり」より「自己批判」……なんとなくイメージできます。自分に厳しくてストイックな人ってことですよね。

荻野:そう。自己批判が強いから高いレベルを自分に課して、頑張って乗り越えて、いろんなことができるようになる。その結果、後輩の育成を任されたり役職がついたりするのですが、そういう人は部下や仲間にも同じ基準を課してしまいがちなんです。「私ができているんだから、あなたも当然できますよね」と。

——私と後輩の関係がそこに(汗)。

荻野:自己批判が強い人は他者批判も強い傾向にあります。「なぜあなたはできないの」と。

——もう耳が痛い……。後輩さん、ごめんなさい。

荻野:セルフコンパッションを鍛えることによって、自分自身の苦しみを理解し、そこから他者の苦しみも理解できるようになるんです。さらに、免疫力、レジリエンス(立ち直る力)の強化にも効果があると言われています。

2-3

目標達成中毒から抜け出すには?

——ど、どうしたらセルフコンパッションを鍛えることができますか?

荻野:まずは、なぜ自己批判をしてしまうのか気づくことです。すなわち、自分の苦しみにちゃんと気づく。それは何かというと、「できない自分」に対する恐怖ですよね。結果が伴わなくて、上司や自分の評価者に「できないやつ」とレッテルを貼られたらどうしよう、担当を外されたらどうしよう、クビになったらどうしよう、とか。

程度に差はありますが、そういった仕事に対する不安は誰もが持っています。それは苦しみの中の一つで、恐怖や執着。そういう自分がいるんだなと気づいて、あるがままに受け止めてあげることが大事です。

——あるがまま?

荻野:マインドフルネス瞑想でもトレーニングしましたよね。雑念をいったんそばに置いて、「そんな自分は弱くてダメだ」とか勝手にレッテルを貼らない。

——ああ。いつも……「今の自分のままじゃダメだから、もっと頑張らないと」が口癖になっていた気がします。

荻野:目標達成中毒というか、評価中毒というか。恐れをベースに仕事をするとそうなってしまうんですよ。

——恐れベースを手放して、喜びとか楽しみをベースに仕事がしたいです。その感覚を少し教えてください。

荻野:自分の人生の流れに気づいていくと、楽しくなりますよ。もらえるお金とか、外部からの評価とか地位に執着しなくなります。中には、お金になるもの、ならないもの。むしろお金を払ってやるようなこともあるかもしれません。でも、楽しさをベースに動いていると、結果として人の縁ができて、仕事の縁もついてきます。

最初は未来のことばかり気になってしまうかもしれませんが、まずは「今、ここ」にしっかり注意を向けることがセルフコンパッションを鍛える第一歩になりますよ。

2-4

(取材・文:ウートピ編集部・安次富陽子、撮影:青木勇太)

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