ふとした瞬間に聞こえてくる女性の悲鳴。元外資系OLで現在はキャリア・人間関係コーチとして活躍するずんずんさんに、女性の恐怖を解き明かしていただくこの連載、なんと今回で最終回を迎えます。
今回悲鳴を上げているのは、「なんでも平等」にしたがるアラサー女性です。病的なまでに平等にこだわる原因とは……?
不平等な仕事量にカチンときたら
こんにちは!ずんずんです。
この連載もついに最終回。自分の選択に自信が持てなくて「スピリチュアルにはまっちゃったガール」、働いても働いても貯金ができない「貯められないガール」などなど、あんなことこんなことあったよね……。
さてはて、働いていると、仕事で理不尽なことっていくらでもありますよね。例えば、自分だけ仕事量が多くて、他の人がラクしているように見えたら……。
なんでだよ!って不平等さにカチンとしてしまうはずです。
でも、この不平等さを是正しようとして、必要以上に平等にこだわり始めたら危険なサイン。「とにかく平等にしたガール」予備軍になってしまうかもしれませんよ?
論理的で仕事がデキるTさんを怒らせるもの
「とにかく平等にしたガール」とは、その名の通り、仕事の負担、責任をみんな平等にしたがる女性のことです。このガールの下で働いている人は確かに負担が平等なので、居心地がいいかもしれません。しかし、この「平等にしたガール」が「平等じゃない!」と感じた時が大変なのです……。
今回紹介する、Tさんも平等信仰の原理主義者です。
Tさんは、IT企業で営業事務をしている32歳の女性です。もともとは営業でしたが、向いていないと自分で気が付いたため、異動願いを出して、昨年から今の営業事務の仕事をはじめ、今は数人の派遣社員をマネジメントする立場にいるチームリーダーを務めています。
Tさんは非常に論理的で仕事ができる人ですが、少々融通が利かないところがありました。誰かがラクをしていると感じると、キー!!となってしまうのです。
例えば、同じタイミングで入って来た2人の派遣さんがいたとして、ひとりは仕事の覚えが早く、もうひとりは遅かったとします。そうすると、仕事の覚えの悪い方は処理できる仕事量が少なくなって、結果的に仕事量が減りますよね。こういう場合に、Tさんは、この2人の仕事量が不平等だ!と怒りだすのです。
そのような場合Tさんは、仕事の遅い方を注意するようになるのですが、怒ったところで仕事が早くなるわけではありません。仕事には個性も向き不向きもあると理解をしていても、現状が改善されないためTさんはイライラしっぱなしです。
派遣さんも頑張っているのに評価されないとイライラしはじめ、オフィスはいつもぎすぎすした地獄絵図のような雰囲気に……。
Tさんがオフィスの雰囲気を壊してまで平等にこだわってしまう理由は、実は家庭環境にありました。
自分の平等と相手の平等
Tさんは3人きょうだいの真ん中だったのですが、小さいころからいろんなことで不平等を感じていました。
例えば、上のお姉さんとはいつも成績や容姿を比べられ、親戚に「お姉ちゃんはできるのにあなたは……」と軽くディスられて大きくなってきました。そして、親はTさんより弟をかわいがり、その様子を見てTさんは、自分がみじめだなあと思っていたそうです。
こんな成長過程を過ごしてきた結果、Tさんは
「不平等に扱うことは、相手にみじめな思いをさせる酷いことだ!」
といった思い込みを持ってしまったのです。
それによって、オフィスでもいろんなことをキッチリと「平等」にしようという考え方で行動するようになっていたのです。
しかし、この「平等」というのは相手のことを全く見ていない、Tさんの杓子定規による間違った平等です。先程の仕事の遅い派遣さんももう少ししたら期待通りの仕事ができるようになるかもしれません。Tさんは、相手のことを見ず、自分の杓子定規を押し付けているのです。
その平等は誰が作ったもの?
こんなふうに平等を振り回す人は、常に自分が不平等に扱われて傷つくかもしれないという恐怖を抱えています。
しかし、同時に自分の中の平等が相手を傷つけることだってあります。
自分の杓子定規の中では「不平等」と感じることも、状況によっては、必要になることを知らなければいけません。みんなが居心地よくすごせることこそが平等なのではないでしょうか。
さてはて、派遣さんにキレまくっていたTさんですが、あまりにキー!キー!しすぎていたせいでしょうか、ついにTさんは派遣さんたちからの下剋上を受けてしまいました……。
派遣さんたちが登録している派遣会社から、「Tさんの下では働けない」というフィードバックを受けてしまったそうなんです。
これにはさすがのTさんもショックを受けたようでして……これから生まれ変わるか、このまま沈むかはTさん次第といったところでしょうか……。
といったところで、これにて失礼します。