きゃー!!! 今夜も女性の悲鳴が聞こえてきました。「もっと名前の知られているいい会社に就職できたら私の価値も上がるのに!」という女性に、元外資系OLで、キャリア・人間関係コーチのずんずんさんは、「劣等感は外的要因を変えてもなくならない」と言います。その理由とは……?
条件は「上場企業」以上
こんにちは!ずんずんです。
もっと待遇の良い会社に転職したいな〜なんていつもぼんやり考えていませんか?
たとえば、福利厚生がもっと良い会社やお給料がもっともらえる会社……そんな会社に転職できたら確かにうれしいですよね。
ですが、そんなことも考えず何が何でも上場企業に転職したい!と考えている女性もいるようでして……今日は、そんなOさんのお話です。
Oさんは25歳、関西の私立大学を卒業後、都内の中堅日系消費材メーカーで営業として働いています。Oさんの会社は優良企業ではありましたがBtoBの企業だったため、一般の人で知っている人はあまりいません。
そのため、Oさんが友人や知人、合コンで自分の会社名を言っても知っている人はほとんどおらず、そこがOさんは非常に不満でした。
そのため、Oさんにはとある野望を抱くようになったのです。それは……
「必ず、誰でも知っている上場企業に転職してやるー!!!」
という野望でした。
書類選考で落とされる日々の果てに
意気揚々と転職活動を始めたOさん。しかし、どうにもうまくいきません。面接にたどり着く前に、書類で落とされてしまうのです。というのも、Oさんが希望しているのは、一部上場企業のマーケティングや広報といった職種なのですが、肝心のOさんにはその経験がありません。経歴と求人内容がマッチングしていないのですから、それでは落とされてしまうのも当然です。
しかし、Oさんは「上場企業が採用するのは高学歴の人ばかり……私の学歴が低いから、採用されないんだわ……」と自分の学歴を恥じ入り始めました。
おいおいおい……つっこみと同時に、学費を払った親御さんの泣き声が聞こえてきそうです。
実際のところ、Oさんの学歴はそんなに悪いわけではありません。しかし、学歴コンプレックスを覚え始めたOさんは「学歴をカバーするためには資格をとらねば!」と資格の勉強を始めたのです。
Oさんが勉強し始めたのは、超難関資格の公認会計士試験でした。公認会計士試験は合格率数パーセントで、受かるまでに何年も勉強が必要と言われています。確かに、この難関資格を通れば上場企業への転職も夢ではないかもしれませんが……。
自分がやりたいことを叶えるために、必要な資格を取るのは手段としては理にかなっています。しかし、Oさんの目的は上場企業に入るため。なんだか的外れな感じです。なぜこんなことになってしまったのでしょうか?
心の奥底の劣等感
上場企業に転職したいOさんが抱えていたのは強い劣等感です。
心の中に強い劣等感を抱えている人には2つのタイプがいます。1つは、劣等感を抱えたままいじけてしまう人、もう1つは劣等感を何とか解消しようと頑張る人です。Oさんは、この劣等感を解消しようと必死に頑張っていたのです。
劣等感は学歴だったり、社歴だったり、資格だったりいろいろなところからやってきます。しかし、不思議なことに、自分が足りないと思ったことを手に入れたとしても、劣等感は消えません。それどころか、ますます焦燥感を覚えて、まだ自分には何かが足りないとまた新しいものを手に入れようとして目的を変えてしまいます。
外的要因では劣等感はなくなりません。自分の外側をいくら取り繕っても、心の内側と向き合わなければ、いつでも暗い影は追ってきます。
Oさんが、上場企業に転職したかったのは、きっと大企業に就職すれば誰からも認められる素敵な自分になれると信じていたからでしょう。
しかし、素敵な自分というのは、上場会社に入ったから、難関資格に受かったから、そういった一発逆転的なものでなれるわけではありません。日々の生活や日々かかわる人をおろそかにしていたら、絶対にたどりつけないものです。
毎日、毎日、少しずつ何かを積み重ねていけば「みんな」が認める素敵な自分にはなれないかもしれませんが、「自分」が認められる素敵な自分にはなれるはずです。
さてはて、上場企業に転職するために公認会計士試験の勉強を始めたOさんですが、動機が動機ですから、勉強も思ったようにはすすみません……。結局勉強はやめてしまい、専門学校代を50万円ほどムダにしてしまったそうです。
現在もまだ転職はできておらず、同じ会社で働いていますが、上場企業への転職はあきらめていないようです……もはや執念にも似たその思い……いつか良い形で成就することを願います。
といったところで今日は失礼します☆