ポケット弁護士エリカちゃん Season2 第7回

「妻と別れて君と一緒になる」その言葉がウソだった時の対処法

「妻と別れて君と一緒になる」その言葉がウソだった時の対処法

相手が結婚していると知りながら、あるいは知らされないまま関係が深まり……。

オトナの女性の恋愛では、どうしても避けては通れない不倫の問題。相手のことを心から愛してる。「いつか君と一緒になる」という言葉を信じてる。その気持ちは、普通の恋愛と変わらなくても、いざトラブルとなると、経済的にも精神的にも大きなダメージを受けるものです。

今回も、前回に引き続き、不倫トラブルを数多く担当してきたアディーレ法律事務所の篠田恵里香(しのだ・えりか)先生に、独身女性が不倫トラブルから身を守るための方法を教えていただきました。

テーマは、「妻とは離婚して君と一緒になる」とウソをついた彼を訴えることができるのか?です。

<今回のポイント>
【1】「妻と別れる」は嘘だった!彼を訴えることはできますか?
【2】既婚男性と独身女性、損をするのは誰……?

【登場人物】

erika

エリカちゃん(永遠の30歳)
「六法全書」の妖精。本名はオピストコエリカウディア・スカルジュンスキィ。辛口で正論をバシバシ言うが、困っている人は放っておけない姉さんキャラ。神様から派遣され、困っている女性のリーガルマインドを鍛え直している。

yoshino

ヨシノ(32)
保険会社で営業をしている32歳。勝気でサバサバした姉さんタイプだが、恋人には意外と乙女で尽くしちゃう。実は取引先の担当社員(妻子アリ)と半年以上不倫関係に。

「もう会えない」という彼からの電話

彼から立て続けに着信があったので、イヤな予感はしていた。呼吸を整えて折り返したところ電話口の彼はかなり取り乱していて、つまるところ「妻に関係がバレたので、君とはもう会えない」ということらしかった。「妻と別れる」と言っていたのを心の底から信じていたわけではないけど、いきなり頭を金づちで殴られたみたいだ。ショックで声すら出なかった。会社を休んでもう二日になる。

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「いつまでベッドの中にいるつもり?」

erika_yoshino

「あっ! エ、エリカちゃん〜〜〜〜〜」

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「あーあーひどい顔ね! 5歳は老けて見えるわ」

erika_yoshino

「ううっ……ううっ……私……」

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「あーもう、だからあれほど言ったのに! で、今どんな状況なわけ?」

erika_yoshino

「彼、もう私とは会わないって……。それに奥さん、私のこと訴えるって! どうしよう!!」

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「あのね、前にも言ったけど、家庭のある男はこういう時ほっとんどの場合家庭を選ぶのよ!!こうなっちゃったのはそれでも止めなかった自分のせいよ!!」

erika_yoshino

「ううっ……でも彼、絶対奥さんとは別れるって、うまくいってないからって……結婚しようって……うう〜〜〜〜〜」

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「そんなことを信じるなんて……。20歳そこそこの子供じゃないんだから……」

erika_yoshino

「うわ〜〜〜〜〜ん!」

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「まあでも彼に損害賠償を請求する方法も、なくはないわよ」

erika_yoshino

「……へ?」

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「ちょっと鼻水拭きなさいよ。あのね、基本的に片方が既婚の場合婚約関係というのは認められないし、「離婚してもらう権利」なんてものはないから、結局彼が離婚しなくてもその点で訴えることはできないの」

erika_yoshino

「うう……」

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「最後まで聞いて。ポイントは性的関係よ!」

erika_yoshino

「ええっ!?」

「必ず君と結婚する」がウソだった場合

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「彼が「必ず離婚する、必ず君と結婚する」って言いながら性的関係を持ったような場合、貞操権の侵害を理由に損害賠償請求できる可能性があるの。「もう離婚しているから付き合おう」なんてウソをつかれて性的関係を持っていた場合もね」

erika_yoshino

「そうなんだ……」

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「例えば相手との間に子供ができていたりすれば高確率で訴えられるってわけ。当然やることやってるんでしょうから、この線で彼を訴えることは可能かもしれないわ」

erika_yoshino

「……なるほど」

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「ただ、彼に本気で離婚するような素振りがなかったわけだし、ヨシノちゃんの場合可能性があるぐらいに思っておいた方がいいかもね」

erika_yoshino

「……はい」

矢面に立たされるのは独身サイド

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「ここまででよくわかったと思うけど相手に嘘をつかれて、奥さんからは訴えられて、慰謝料払って、結局不倫をして独身側にいいことなんか一つもないのよ。そもそも一番の被害者は奥さんなんだからね!」

erika_yoshino

「今回のことで私も目が覚めました……」

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「私の経験上、夫の不倫がバレた時すぐさま離婚になるケースって少ないの。それに、妻が夫のことを訴えるというケースも少ないわ」

erika_yoshino

「え!? どうして!?」

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「答えはシンプルで、家計が一緒だから! それに夫より相手の女を絶対に許せないって考える人が多いわね」

erika_yoshino

「そ、そんな……」

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「そりゃそうよ。逆に離婚するとなった場合は完全にお金の問題になるケースもあるわ。元夫にお金がなければ相手の女性に請求するし、その女性にお金がなければ元夫からってね。とはいえ、これも相手の女性に請求することの方が多いわね〜」

erika_yoshino

「……」

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「慰謝料請求の話は前にもしてるから省略するけど、ともかく不倫をすれば矢面に立たされるのは独身サイドなのよ。それで、どう? 実際に矢面に立ってる気分は」

erika_yoshino

「最悪……」

独身女性×既婚男性の不倫は高リスク

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「私が見てきた既婚男性と独身女性の不倫のケースは、大体男に「妻とうまくいってない、離婚目前なんだ」なーんてことを言われて、「この人と一緒になれるのかも」って思いこんでることが多いわね。すごく典型的な不倫パターンよ」

erika_yoshino

「ありふれた形なのね……」

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「そうよ。あなたは特別だと思っていても、結局不倫が奥さんにバレればほとんどの男がさっさと家庭に戻っていくの。奥さんから慰謝料の請求うんぬんなんて、面倒だしね」

erika_yoshino

「はあ〜〜〜。なんだか自分がバカみたい……」

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「そうなれば、こうやって信じていた人に裏切られたと感じて傷つくでしょ。挙げ句の果てには慰謝料請求されて、自分が汗水たらして稼いだお金でそれを払い続けなきゃいけないなんて、本当にバカみたいじゃない。結局家庭に戻る既婚男性に対して、独身女性ばかりが痛い目みるのよ」

erika_yoshino

「……なんだか腹が立ってきたわ!」

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「はあ!? 繰り返すようだけど、最大の被害者は奥さんよ! あなたのしたことは不法行為なんだからね! そこ、自分が被害者ですみたいな顔してはき違えないで!」

erika_yoshino

「うう〜〜〜ごめんなさい!!」

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「おそらくヨシノちゃんの場合、どのくらいの額かはわからないけれど慰謝料を払うことになると思う。それはちゃんとケジメとして払いなさいよ」

erika_yoshino

「……はい」

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「まあ、また何かあったら相談に乗ってあげる。明日は会社、行きなさいよね」

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「うん。ありがとうエリカちゃん」

エリカちゃんがステッキを振ると、あっという間に姿は見えなくなった。はあ……誰かと話をして少し落ち着いたみたい。彼のことを考えると怒りと悲しさで頭がおかしくなりそうだけど、自分がしてしまったことに対してはきちんと償っていかなきゃいけない。これからのことを考えなくちゃ。

<今回のまとめ>

【1】「妻と別れる」は嘘だった!彼を訴えることはできますか?
基本的に「離婚してもらう権利」なんてものはないから、結局彼が離婚しなくてもその点で訴えることはできないわ。けれど場合によっては、「貞操権の侵害」を理由に損害賠償請求できる可能性があるわ。
【2】既婚男性と独身女性、損をするのは誰……?
私の経験上、夫の不倫がバレた時すぐさま離婚になるケースは少ないわ。そして、妻が夫から慰謝料を取るというケースも少ないの。つまり、不倫関係にあった既婚男性と独身女性だったら、独身女性の方が損をすることになるわ!
ただし、最大の被害者は奥さんだってことを忘れないで!!

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