転職、結婚、独立……人生の分かれ道で不安に駆られて、なかなか足を踏み出せない人は多いはず。うじうじ悩まずに「えいや!」と決断できる人が、羨ましくなったりしますよね。
心身のコンディションを目の体操によって整えるメンタルビジョントレーニング(メビトレ)を提唱している松島雅美(まつしま・まさみ)先生によると、「不安を感じやすい人」には、共通する目の動きがあるのだそう。その動きのクセを知りトレーニングで矯正すれば、不要な不安を感じなくなる。だとしたら、試さない手はありませんよね。詳しく聞いてみましょう。
心配性の人に共通する目の動きとは?
–「不安を感じやすい人」に共通する目の動きって、本当にあるんですか?
松島雅美先生(以後、松島):ありますよ。前回、「横(左右)の動きが鈍い人」の思考のクセについてお話をしましたが、不安を感じやすい人は上方向の動きが鈍い人なんです。
–上方向を見る/見ないという目のクセが、不安を感じる/感じないという思考のクセに直結しているんですね。
松島:そうです。上方向でも、不安に関しては「右上」がポイントになります。知らないこと、見たことのない物事を想像している時、人は右上を見る傾向があります。右上がスムーズに動く人は、これから先の新しいイメージ、未来のことを思い描くのが得意な人と言えます。つまり、「未来を想像するのが上手=ムダな不安を抱かない」ということですね。ちなみに、左上をよく見る人は、過去の体験や記憶をビジュアルで思い起こすのが得意なタイプと言えますね。
目から入る情報を増やせば、不安は減る
松島:カウンセリングを受けにいらっしゃる方の中にも、右上の目の動きが鈍い人がとても多いですね。このタイプの方は、過去に経験したことがない事態に、めっぽう弱いんです。未知の出来事に直面すると、すぐに不安になり、ストレスを過剰に感じてしまいます。
–社会生活をしていれば、未経験なことに遭遇する場面は避けられませんよね。どうすればいいのでしょうか?
松島:人が不安を感じるのは、「わからないから」です。わからないことが多ければ多いほど、焦りや心配が募ってメンタル的にしんどくなる。ですから、解決策としては「わからないこと」を減らせばいいわけです。
では、どうすれば「わからないこと」が減るか? それは扱える「情報」を増やすこと。情報の入口の8割は「目」ですから、目の動きをよくして、多くの情報から必要な情報をチョイスできるようにすれば、「わからないこと」は減らせます。
心配性を解消する1分トレーニング
松島:では、ここで1日1分でできる基本のメビトレを紹介しましょう。目の動きをよくして取り込む情報を増やすことで、ムダな不安を感じないようにするメソッドです。
1. 両手の親指を立てたら、顔から30cm程度離す。指の幅は視界に入る距離に設定。
2. アタマは動かさずに、目だけで左右の親指を交互に見る。
3. 横、上下、ななめ上下(左右)の4種類。各往復5回を2セットずつ行なう。
*しっかりと指にピントを合わせてから、反対の指に視線を移す。
*最初は左右の手の幅が狭くてもOK。確実に目が指を捉えられる距離に設定する。
*目が柔軟に動くようになってきたら、少しずつ手の幅を広くして眼球の可動範囲を広げていく。
■横
■上下
(塚本佳子)