スーパーに並ぶちょっと高級そうな食品や輸入雑貨店に並ぶオシャレなパッケージの海外食材……。興味はあるけれど、「どうやって食べればいいかわからない」「最後まで使い切れるか心配」とひそかに思っている人は少なくないのでは? 食文化研究家のスギアカツキさんに、誰でも気軽に楽しめる取り入れ方をご紹介いただきます。
ポストコロナのパリの最新フード事情7つ
コロナウイルスによる渡航制限が解除され、今年の夏は久しぶりに海外旅行を楽しんでいる方もいらっしゃることでしょう。私も久しぶりにフランス・パリに行ってまいりました。コロナ前と比べてどんな変化があったのか、パリの食事情やフードトレンドをじっくりリサーチ。そこで見えてきたことがたくさんありましたので、今回はリアルなパリ最新フード事情をお届けしたいと考えました。
結論から申し上げれば、パリはますます強く、美しく進化。世界中から多くの人々が集まり、新旧さまざまなレストラン、人気ブーランジェリー、パティスリーは以前に増して活気を取り戻していました。ここでは旅で誰もが経験するであろうお土産を買う、カフェに行くといった気軽な視点を大切にして、食文化研究家スギアカツキがふわりと、確かに心に残ったトピックスを7つにまとめてお届けしたいと思います。
1 おいしい&おしゃれな極上チョコレートが台頭中

2014年に創業したLe Chocolat des Français(ル・ショコラ・デ・フランセ)は、極上チョコレートにアート性を宿す新進気鋭のブランド。
パリは言わずと知れたショコラ激戦区。老舗の重みを感じつつも、若手ショコラティエが生み出す新店が続々とオープンしています。例えば、昨年11月オペラ大通りにオープンした「JADE GENIN(ジャッド・ジュナン)」は、巨匠ジャック・ジュナンの娘が手掛けていることで注目されている。板チョコジャンルとしては、「Le Chocolat des Français(ル・ショコラ・デ・フランセ)」がますます大人気。ミシュランシェフや高級ホテルからも絶賛される存在感を醸し出しています。これらのブランドに共通しているのは、カカオ厳選や保存料不使用などの徹底したこだわり製法とアート性の融合。パリの街を歩くだけで、美しさのその先を予感させてくれる珠玉のショコラに出会うことができます。
2 パリのスタバが、日本とは別次元

スターバックスオペラ店。店内スペースはまるで宮殿のような美しさ
日本で大人気のコーヒーチェーンと言えば、スターバックス。パリでも空港内やルーブル美術館内、観光名所そばには必ずと言っていいほどスタバがあり、身近なカフェとして愛されています。素晴らしいのは、店内装飾やディスプレイの美しさ。中でもオペラ・ガルニエ近くのオペラ店は、宮殿のようなゴージャスな空間に息をのんでしまうことでしょう。ハイレベルなフードやグッズにも驚かされます。
3 フランスの伝統菓子「フラン」が、再ブームの予感

PAULで売られているココナッツ入りのフラン
パリにも食ブームは存在します。中でも近年注目されているのが、フランスの伝統菓子「フラン」。古くからフランスの家庭で愛されているお菓子で、タルト生地にカスタード液を流し込んで焼かれます。カスタードタルトや焼きプリンのような素朴さが特徴ですが、最近では高級パティスリーにもお店独自のフランが並ぶようになり、ブーム再燃の勢いを感じました。日本ではまだ認知度は低いものの、日本の有名パティシエが愛するお菓子としてたびたび話題になりますから、フランスのみならず日本でも、いつブームがやってきてもおかしくはありません。
4 「スーパーでお土産を買う」が、定番に

フランス全土に展開している大手スーパーの「MONOPRIX(モノプリ)」
私はスーパーマーケット研究家として世界中のスーパーをリサーチしていますが、パリのスーパーは手頃さの中にもおしゃれな気品を感じる魅力が詰まっています。中でも大手の「MONOPRIX(モノプリ)」はパリ土産として十分なPB商品、おしゃれなエコバッグが人気に。お土産ショップで買わなくとも、スーパーのお菓子や調味料などで十分のクオリティとも言えます。お土産の宝庫として観光客から愛される流れはしばらく続きそう。
5 日本未上陸のお菓子が魅力的

フランスのビスケットブランド「LU」のナポリタンと言うお菓子が個性的でおいしい
スーパー関連でつながるのが、“日本未上陸”のお菓子が魅力的であるということ。コロナ禍の旅行NG期間に注目されたのが、YouTube。現地人がオススメのお菓子を紹介するような動画が増えて関心が集まりました。私もそれらを一通りチェックし、いざパリに行ってみたところ、日本では扱っていないユニークな商品がたくさんあることに気がつきました。自分で食べてみて一番おいしかったのが、フランスのビスケットブランド「LU」のナポリタンというチョコレート菓子。旅前にYouTubeで気になったものをリストアップして買い物を楽しむという新しい流れができつつあります。
6 ベトナム料理が大人気

サンルイ島の「HA NOI 1988」で食べたフォーや生春巻きは絶品。麺は自家製で、ハーブ使いも本場感たっぷりです。
今回の旅で気がついたのは、アジア料理の人気度の高さでした。和食、コリアンフード、中華料理はどこも行列ができるほど。その中でも本場さながらの味に感動したのが、地元パリジャンにも大人気の「ベトナム料理」です。今回いくつかのベトナム料理店を訪問しましたが、どれもハイレベルで、日本ではなかなか味わえない本格感が魅力。パリでおなかを休めたいときにオススメの選択肢でしょう。
7 やっぱりフレンチフライは、最高だ

パリのビストロやブラッスリーでおなじみの「フレンチフライ」
最後に、フランスグルメの実力を改めて感じたのが、久しぶりの「本場・フレンチフライ」。パリでは気軽なビストロやブラッスリーなどで食べることができますが、ハンバーガー店で食べるフライドポテトとは一線を画すおいしさです。秘密は、揚げ油にあり。植物油に鴨脂を加えるなどの工夫が施されているのが基本で、どこで食べても感動するほどおいしいのです。ちょっとした食シーンで格別な味を体験できることこそ、海外人にとっては最高の幸せかもしれません。やっぱりパリはおいしかった!そう思わせてくれた究極の味がココにありました。
本日の美食・成り言葉
美食の街・パリは、ますます大進化。本場の味を楽しみましょう。