3組に1組は離婚している? 不妊に悩むカップルは6組に1組って本当? 世の中に溢れる様々な「ニュースの数字」の裏側を読み解く連載です。表に見える数字だけではなく、その背景をしっかりと紐解いていくと、新しい発見や気づきが得られるかも。
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最近人気のドラマを振り返ってみると、「働く女」が主人公の作品が多いと感じませんか? 

今、話題となっているドラマ「地味にスゴイ!」は出版社の校閲部で働く、石原さとみ演じる女性が主人公。少し前の「家売る女」は不動産屋の営業ウーマンが主人公でした。一昔前、90年代の「ショムニ」に代表されるような「働く女=OL」、つまり事務職や一般職で働く女性の物語よりも、今は総合職や専門職で働く女性の物語が描かれることが多くなったような気がします。

最近、「事務職」が大学生に人気

しかし現実はというと、実は「事務職」に再び人気が集まっているようなのです。

就職みらい研究所の「就職活動状況レポート(2015年卒)」によると、2015年卒業時点で「最も志望していた職種」で一番多かった回答は「事務・スタッフ関連職」で50.5%。前年(2014年)の52.0%に引き続き、半分以上の学生が「事務職」志望となっています。

以前の連載で取り上げたように、政府の掲げる「2030」という「2020年までに指導的地位に占める女性の割合を30%に」という目標に対し、管理職になりたいと思う女性はわずか7%。そして今、管理職への昇進とは無縁の事務職や一般職が人気になっている……。

なぜ、このような状況が生まれたのでしょうか?

やっぱり「一般職=女性」なの?

総合職・一般職という区分を設けて正社員を雇用するシステムのことを、一般的に「コース別雇用管理」と呼びます。

厚生労働省の「平成26(2014)年度コース別雇用管理制度の実施・指導状況」によると、39%の企業が昭和61〜平成10(1986〜1998)年頃にこの制度を導入。1986年に施行された男女雇用機会均等法の影響を受け、転居を伴う配置換えがあるキャリアコース、転居を伴わない配置換えのみのコースというように職種を二分し、女性も働き方を選べるシステムとして取り入れられたようです。

もちろん、男性でも「一般職」を選択することができるはずですが、実態は一般職=女性。実際に同じ調査の「総合職と一般職の採用比率」を見ると、平成26年度の総合職の男女比は女性が22.2%で男性が77.8%、一般職は女性が82.1%、男性が17.9%となっています。

慶大、早大、青学卒の女性が一般職に殺到

「男女の雇用機会を均等に」と始まったコース別採用。しかしその実態はキャリアを選ぶか、結婚・出産を選ぶかという二択を早い段階で女性に迫るシステムになってしまっているように思えます。

総合職で仕事と育児の両立はしんどすぎて無理……と感じた女性が「一般職」を選択しているのではないでしょうか。

そのような女性の心境を表すかのように、最近では一般職の採用実績校にはずらりと有名私大の名前が並びます。例えば大手商社の伊藤忠商事の事務職の採用実績校は早大、青学、中大、津田塾。また、住友商事は慶大、早大、青学、上智、ICU……(就職四季報・女子版・2017年度版による)。総合職にも内定実績のある有名私大ばかり。

先ほどの「平成26年度コース別雇用管理制度の実施・指導状況」によれば総合職の採用倍率が44倍であるのに対し、一般職は23倍と、依然として総合職の方が就職の難易度が高い状況ではあります。

しかし、先ほど挙げたような商社の一般職採用は10〜40名程度。倍率の公表はされていませんが、高学歴女性が一般職に殺到する今、競争が激しくなっていることが想像できます。

「働きがい」より「安定」が優先?

一般的に事務職、一般職は総合職に比べて「楽そう」「専門性がない」「やりがいとは無縁」と思われがちです。しかし、そもそもどれだけの女性が仕事に「やりがい」を求めているのでしょうか? 

「2017年卒 マイナビ就活生意識調査」によれば、企業選択のポイントとして「働きがいがある会社」としたのは文系女子で16.3%。2001年以降、減少の傾向にあります。一方、増加傾向にあるのが「安定している会社」で24.4%。「働きがい」よりも「安定」が上回っているのです。

また、マイナビが2015年の卒業生を対象にした調査では女子就活生の希望する働き方として「定年まで働き続けたい」が27.6%、「できれば結婚後・子供ができた後も働き続けたい」が51.1%という結果が出ました。

例えば、大手商社の丸紅の女性の平均勤続年数は総合職で9.2年に対し、一般職では17.6年。三井物産では総合職が14年、一般職が19.3年となっています(どちらも就職四季報・女子版・2017年度版による)。「長く、安定して働き続けたい」。そんな女性の希望が比較的叶う職種が「一般職」「事務職」なのです。

果たして「女性が活躍する社会」とはどんな社会か? 管理職の女性が増えることが「活躍」なのか? 子育てをしながら一般職・事務職で長く働き続けることは「活躍」ではないのか? 

女性が社会からの要請で「輝く」のではなく、みずからの意思によって「輝く」には、現代の女性がどう働きたいのかを今一度理解してもらう必要がありそうです。

(安仲ばん)