『どん家事』インタビュー第3回

「コミュ力は練習すれば高くなる」夫婦喧嘩をしても険悪にならないのはなぜ?

「コミュ力は練習すれば高くなる」夫婦喧嘩をしても険悪にならないのはなぜ?

30歳で結婚(法律婚)したものの33歳で離婚。36歳のときに仕事仲間の男性(通称“ノダD”)と事実婚で再婚したマンガ家の水谷さるころさんによるコミックエッセイ最新刊『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』(幻冬舎)が発売中です。

「女ばかりが家事と育児を背負いすぎない」「男だからって大黒柱にならなくていい」——。世間の「普通」や「こうするべき」に縛られないで、自分たちにとって一番心地がよい結婚生活を送るために試行錯誤を続ける日々が描かれています。

家事、ケンカ、子育て、親との関係をテーマに、4回にわたってさるころさんに話を伺いました。第3回目のテーマは「ケンカ」です。

【前回は…】私がスマホ育児を選んだ理由

ケンカをしても険悪にはならない理由

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『どん家事』より(C)幻冬舎

『どん家事』より(C)幻冬舎

——第3章はまるまるケンカ編ですね。こういう本を描いているくらいだから、きっと理性的な話し合いができていてケンカなんてないんだろうなと思っていたので驚くと同時にちょっとホッとしました。「さるころさんの家もケンカするんだなあ」って。

水谷さるころさん(以下、さるころ):いっぱいしますよ! 話し合いを何度しても、無意識に刷り込まれたものが解決できるとは限らないんですよね。でも、話し合いをしていれば「このときはこういう結論になったところまで話し合いをしている」とわかるので、ケンカは早いですね。

——ケンカが早い?

さるころ:ケンカをしたあとのリカバーというか対処が早くなりましたね。「これは前もやったやつ。結論はこうだから、今のは私が失敗した」とか、「これは前と同じパターンだよね」とおさめる。だから、ケンカしたあとの険悪な空気やモヤモヤ期間はないですね。

もちろん、失敗もするし、問題もあるけれど、「これ、この前に解決したやつじゃん」となって「こういう話したね、またやったね、気を付けようね」と。昔は不安になったりさせちゃって心配してたんですが、最近は子どもの前でケンカしても、子どもも「ちゃんと話が終われば仲良し」とわかっているので、あまり緊迫した空気にならないですね。

——「失敗」として捉えるんですね。子どもにとってもいいですね。両親がケンカしてピリピリした空気になっているときほど辛いものはないと思っていて……。

さるころ:「失敗とは、コミュニケーションがうまくいっていない状態」というのは家庭で共有されていますね。だから、子どもにも伝えていますね。

彼も要望を通したいときにすぐ怒り出すんです。「なんで〇〇してくれないの!」と言うから、「そういう言い方したら、みんな嫌な気持ちになるし、いいこと一つもないでしょ?」と説明して、「何かしてほしいことがあったら『〇〇してほしい。お願い』って言って」と伝えるんです。

そうすると「お願い、〇〇してください」と言うから「はーい。よろこんで!」と要望に応える。何かしてほしいことがあるときは、ちゃんとお願いすればみんなニコニコしてやってくれるというのはうちの鉄の掟ですね。

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コミュ力は練習すれば高くなる

——子どもも大人も、言い方をトレーニングするのは大事ですね。仕事もそうですよね。相手にきちんとお願いをしないで「何で私ばかり」と不満を溜めたり我慢したりしても誰も幸せにならないですよね。

さるころ:仕事場でもモラハラだのセクハラだのいろいろハラスメントがありますけど、そういうのはだいたいコミュニケーションが失敗してるし、練習できてないんですよね。正しい言い方をすればみんな円満に回るのに、それができてないのかなって。

——練習で改善するよ、というのはあまり共有されてないですね。「あの人はコミュ力が高いからうまくいくんだ」と個人の資質のせいにされているフシがあるなって思います。

さるころ:そうなんですよね、だから私も「練習すればうまくなる」というのは、インタビューやトークショーで繰り返し言っていることですね。資質じゃなくて練習してないだけだから。

日本の旧来的な学校教育がそうなんですよね。言いたいことを言っちゃいけないし、決まりを守って黙ってなきゃいけないし、意見を言うこと自体許されてこなかった。意見を言っていいのは、学級会での吊し上げだけ。意見を言われるというのは、吊し上げをくらうことだと思っているんですよね。

だから、批判されたり、意見されたりするのが怖いし、言うことも怖いから黙っちゃう。でもそれは、練習してこなかった、そういう機会がなかっただけなんですよね。

——これからどんどん練習していけばいいんですね。

さるころ:そう、やってこなかったからうまくなってないだけ。だから、せめて家庭内や信頼できるパートナーとの間だけでも、自分が思っていることや意見はちゃんと伝える。そして伝え方はポジティブにというのは練習したほうがいいし、意識して変えていったほうが絶対いい。そっちのほうがみんなが幸せになると思います。

一対一のコミュニケーションも、「失敗した」「うまくいった」というのも空手と一緒なので、やっていれば絶対にうまくなります。

——空手?

さるころ:私もノダDも空手をやっているのですが、空手は1対1のやりとりを鍛錬するんです。空手と話し合いは似てるんですよ。突き蹴りが当たることと「伝わる」ことは似ています。下手だと当たらないんですよ。

空手をすることで、そういうやりとりをフィジカルで実感できた。彼と「これは失敗したね」「次はこうやれば成功するね」というやりとりが共有できているのはよかったことだなと思います。

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【第1回】「タスクではなく気持ちのシェア」家事分担するときに大事なこと
【第2回】「なんとなく不安」で判断したくない…私がスマホ育児を選んだ理由

※次回(最終回、4月29日公開)のテーマは「親との関係」です。

(取材・文:ウートピ編集部:堀池沙知子、撮影:宇高尚弘)

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