映画『寝ても覚めても』アフタートークイベント 後編

「いつもと違った行動がしたくなる」映画『寝ても覚めても』アフタートーク

SHARE Facebook Twitter はてなブックマーク lineで送る
「いつもと違った行動がしたくなる」映画『寝ても覚めても』アフタートーク

第71回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に選出された『寝ても覚めても』(濱口竜介監督)が、9月1日から全国公開されました。初日舞台挨拶の4回分が即完売という注目度の高さを見せていた本作。公開に先駆けて、8月16日に一般試写会が行われました。

ヒロインの朝子(唐田えりか)が見せた衝撃の選択に、まだ余韻の覚めない場内で開催されたアフタートークには、映画ソムリエの東紗友美さんと、恋バナ収集ユニット・桃山商事の清田隆之代表が登壇。前編に引き続き、アフタートークの様子をお届けします。

試写会後のアフタートークに登壇した、東さん(左)と清田さん(右)

試写会後のアフタートークに登壇した、東さん(左)と清田さん(右)

たった一度の非日常がその後の自分を支えてくれる

イベント終盤「私はこの映画の中だったら、春代(伊藤沙莉)と友だちになりたいと強く思いますね」と東さん。確かに突拍子がないように見える朝子の行動に嫌悪感を抱く女性も少なくないかもしれません。

「朝子が女の人から嫌われやすいとしたら、自分のやりたいことを素直に選べるからではないでしょうか。朝子のような行動は、もしかしたら自分もと考えることはあっても、なかなか実行に移せないもの。だからこそ、嫉妬してしまうところがあるのかなと思います」(東さん)

続いて清田さんが触れたのは、朝子の友だちである岡崎(渡辺大知)の母(田中美佐子)が、朝子に秘密を教えてくれる場面。

「岡崎のお母さんにとって、あの秘密の話というのは、非日常の行動だったわけですよね。たった1回の非日常が、思い出としてずっと残っているというのは、ステキなことだなと思ったんですよ。『あのときの自分、どうかしてたな』と、クスッと笑ってしまうような記憶があるだけで、その後の人生が違うと思うんですよね」(清田さん)

伊藤沙莉さん演じる春代(左)と渡辺大知さん演じる岡崎(右)/©2018 映画「寝ても覚めても」製作委員会/ COMME DES CINÉMAS

伊藤沙莉さん演じる春代(左)と渡辺大知さん演じる岡崎(右)/©2018 映画「寝ても覚めても」製作委員会/ COMME DES CINÉMAS

「朝子の行動は突飛に見えるけれど、実はそこに、隠れたモテ要素があるんじゃないかと思っています。男性目線で朝子を見たとき、魅力的と感じる部分はどこでしょうか?」と東さんに質問された清田さん。「たまにこういう雰囲気をまとった女の人っていますよね。近くにいるのに、どこか遠くに感じるというか……」とこたえます。

「抽象的な模様といえばいいのか、どんなイメージを投影してもそれっぽく見える人ですよね。自分のモノになりそうでならないもどかしさを勝手に感じて、心が揺さぶられてしまう気がします。決して派手ではないけれど、男を惹き付ける恐ろしい人だなと思って見ていました。この映画は、そういった魅力を持つ朝子が、麦(東出昌大さん・亮平と一人二役)というひとりの男性を追いかけ続けるのも、面白いところですね」(清田さん)

映画は現実のあなたを後押ししてくれる

©2018 映画「寝ても覚めても」製作委員会/ COMME DES CINÉMAS

©2018 映画「寝ても覚めても」製作委員会/ COMME DES CINÉMAS

アフタートーク終了後、ウートピの読者に向けて、東さんと清田さんにそれぞれコメントをいただきました。

「アフタートークの前編でも話しましたが、エネルギーを消化し尽くすまで恋愛感情を運動させるのって、大事なんだと思います。僕は、前に付き合っていた人と別れた後、ものすごく落ち込んで、彼女と結婚に至らなかった理由を言語化し続けました。そういうことを繰り返しているうちに、あるとき、エネルギーが止まった感覚があったんです。いま仮に彼女が目の前に現れても、思い出は思い出、今は今だと分けて考えられると思います。逆にいえば、そういう葛藤を抱えている最中に誰と出会っても、現実と思い出の境目が曖昧になってしまうと思うんです。朝子にとっての亮平のように」(清田さん)

「30代を超えると、ファッションでもメイクでも、世間体を気にして自粛してしまう場面が増えるように思います。恋愛でも同じではないでしょうか。でも、どこかで殻を破らなければ、次のステージには進めないんです。何年も付き合っているのにずっと彼との関係が変わらないとか、ずっと恋人ができないとか、何か変えたいものがある人は、理屈なんて捨てて、自分の中のプチ朝子を起動させてみるといいかもしれません。いつもと違った行動を後押ししてくれる力が、この映画にはきっとあると思います」(東さん)

higashidemain

映画『寝ても覚めても』はテアトル新宿、ヒューマントラストシネマ有楽町、 渋谷シネクイントほか全国大ヒット公開中。

監督:濱口竜介
原作:柴崎友香『寝ても覚めても』(河出書房新社刊)
脚本:田中幸子、濱口竜介
音楽:tofubeats
主題歌:tofubeats「RIVER」(unBORDE/ワーナーミュージック・ジャパン)
配給:ビターズ・エンド、エレファントハウス

©︎2018 映画「寝ても覚めても」製作委員会/ COMME DES CINÉMAS

(構成:東谷好依)

この記事を読んだ人におすすめ

この記事を気に入ったらいいね!しよう

「いつもと違った行動がしたくなる」映画『寝ても覚めても』アフタートーク

関連する記事

編集部オススメ

仕事と恋愛、キャリアとプライベート、有能さと可愛げ……女性が日々求められる、あるいは自分に求めてしまうさまざまな両立。その両立って本当に必要?改めて問い直すキャンペーンが始まります。

後悔のない30代を過ごしたい。ありとあらゆる分野のプロフェッショナルに、40歳から自分史上最高の10年を送るために「30代でやっておくべきこと」を聞いていきます。

記事ランキング