「EMILY WEEK」柿沼あき子さんインタビュー・後編

会社員だからこそ「やりたいこと」ができた 私が異業種に飛び込んだワケ 

会社員だからこそ「やりたいこと」ができた 私が異業種に飛び込んだワケ 

「夢を叶える働き方」「やりたいことを仕事にする」と言うと、フリーランスや起業女子がクローズアップされがち。でも、会社員だって社内のメンバーを巻き込んだり、まわりを納得させるような提案をすれば、やりたいことはできるはず……。

というわけで、「JOURNAL STANDARD」や「IENA」などのブランドを扱う「ベイクルーズ」で、異業種からの転職2年目にして新ブランドを立ち上げた柿沼あき子さん(32)にインタビュー。

柿沼さんが手がけるのは、生理週間を軸に女性のライフスタイルをデザインする新ブランド「EMILY WEEK」。ひと月のうちでホルモンバランスが4パターンに大きく変化するという女性のカラダに注目し、ナイーブな期間も快適に過ごせるようなアイテムを取りそろえたブランドです。

前編では、なぜ生理に注目したブランドを立ち上げたのか、ブランドに込めた思いなどを聞きました。

後編では、会社員として”自分の夢”を叶えた柿沼さんに、30代からの異業種転職のカギや、新しい環境でも臆さずに自分の強みを活かして働くヒントを伺いました。

ベイクルーズで「EMILY WEEK」を立ち上げた柿沼あき子さん

ベイクルーズで「EMILY WEEK」を立ち上げた柿沼あき子さん

ファッションの力で、ブルーな時間の過ごし方を変えたかった

——柿沼さんは、IT企業からベイクルーズに転職したと伺いました。ベンチャーを立ち上げるという選択肢もあったと思うんですが、会社員としてチャレンジすることを選んだ理由は?

柿沼あき子(以下、柿沼):新卒から、ずっとIT企業で働いていました。最初はまさに、自分でブランドを立ち上げようとも考えたんです。でも、それだとやれることにも限界がある。

個人の規模だと、「多くの女性を応援したい」という夢は叶えられないと思って。次の転職で絶対に自分の夢を叶えたかったし、志望動機や企業の選定も、慎重に動きました。

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——すでに生理用品を製造しているメーカーではなく、アパレル企業への転職を選んだのは?

柿沼:わたしは、生理用品もあくまでファッションのひとつだと提案したかったんです。そこでアパレル企業に絞って転職活動をすることにしました。

30代からの異業種転職、成功のカギは?

——30代からの異業種転職は、大きな挑戦ですよね。

柿沼:同業他社であれば、わかりやすく過去の仕事をアピールすれば受かる。けど、異業種転職だとそれも難しいですよね。まずは、8年近くIT企業でWEB制作をしていた自分の強みを伝えられるように戦略を練りました。

——具体的には?

柿沼:アパレルも、EC事業部はありますよね。ベイクルーズは、ECに力を入れていて、サイトも自社開発。WEBデザイナーもエンジニアも社内にいる、アパレルの中でも珍しい企業だったんです。WEBの領域であれば、私も貢献できるだろうという自信がありました。

——なるほど。まずは共通項やとっかかりを見つけて、そこを目指してアピールをすると。

柿沼:まずは「自分のやりたいことができる可能性が広がるところ」に近づきたかったんです。わたしにはアイデアがあったけど、アパレルの知識や、実現する手段がない。そうなると、ファッションアイテムを制作したり、買い付けるため基盤やメディアへの影響力がある企業に入らなくちゃと思って。無事に内定をもらえて、WEB販促プランナーとして入社しました。

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入社2年目で新規事業立ち上げ 臆さずに意見を出すには?

——入社後、慣れるまで時間はかかりませんでしたか?

柿沼:それまでいた業界とは違う環境だったので、しばらくは社内の様子をみていました(笑)。アパレルに長くいると、洋服づくりの知識はみんなプロ。でも、最近のWEBのトレンドは把握できていない人が多いんです。

「他社・他業界からきたわたしだからこそできることがある」と信じて、過度に遠慮せず、堂々と振る舞うように心がけました。アパレルのものづくりへの姿勢を本当に尊敬しているし、わたしもWEBの知識や経験を惜しみなく伝えるようにしました。相互理解があるからこそ、心地良く働けているんだと思いますね。

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——そこから2年目で新規事業立ち上げを実現したんですね。企画は、たったひとりで提出したんですよね。

柿沼:はい。ちょうど仕事もコツを掴んできた頃に、新規事業コンテストがあって、「チャンスだ!」と思って。面接の後、スタートアップ研修を経て、役員全員の前でプレゼンをしたんです。もちろん、経営企画書を書くのは初めて。研修では、「マーケティングとは」「消費行動とは」という、初歩からじっくりと教えてもらいました。

——通常業務をしながら勉強をするのは、かなり大変だったんじゃないでしょうか。

柿沼:アラートツールで関連ワードを登録したり、ハッシュタグ検索をしたりして、トレンドや情報検索を怠らないようにしました。生理や子宮関連の本って、スピリチュアルだったり医学ベースだったり、両極端だったりするんです。偏った考えにならないよう、書籍もたくさん読みました。今までは仕事もオンオフ切り替えるタイプだったんですが、企画が立ち上がってからは仕事が趣味の一貫になりましたね。

夢ややりたいことをメンバーにとにかく共有

——チームメンバーはどうやって集めたんですか?

最初の2人は、社長が声をかけてくれました。私がアパレルの生産や店舗づくりの経験がないので、そこを補えるメンバーです。

——他のメンバーはトップダウンだったんですね。最初は、企画への熱量など、それぞれにギャップもあったのでは? 

柿沼:上からの指示で集まったけど、初めて3人で集まった時から、作業以外にもじっくり話す時間をつくりましたね。私がやりたいことをまずは伝えて、「このブランドを使ってそれぞれが叶えたいことをやってほしい」と。ブランドはみんなのもので、私がやりたいことを叶えるブランドではないですから。夢や目標をなんどもなんども共有していく上で、だんだんと理解が広まったように思います。

その後は社内のデザイナーに個別に連絡をとって、ブランドに合いそうな人を自分で探しました。ちょうど産休明けで、女性ホルモンの乱れで大変な苦労をした子がいて。「EMILY WEEK」のブランドヴィジョンにとても共感してもらえたんです。その後の社内公募でも、共感してくれる女性が加わってくれました。カメラマンも、Instagramで素敵な人を見つけたので連絡をとって。

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——「EMILY WEEK」の世界観を実現してくれそうな人を、一生懸命集めたんですね。

柿沼:「ファッション性を高めたい」というのが前提にあったんですが、具体的なイメージが自分でもわからなったんです。世界観とか方向性を作る上でも、ヴィジュアルやデザインがないと共有が難しくて。カメラマンやデザイナーが入ってくれたことで、一気に理解が深まったし、商談も話が通りやすくなったんです。チームを組めてよかったと思います。

ブランドを通して女性を応援したい

——これからも会社員として働き続ける上での理想は?

柿沼:自分の叶えたい事と会社の方向性が同じ方向を向いているのが理想です。「EMILY WEEK」というブランドがあることで、会社自体のイメージが女性のことを考えている会社だと思われやすくなるのではないでしょうか。ベイクルーズには女性顧客が多いので、「女性を応援したい」という内面の意識をきちんと持っている会社だということをもっと発信していきたいですね。

——社内にも。

そうですね。もっと女性社員の力になりたいです。男性管理職の中にも、体調不良を相談された時に、対応を悩んでしまう人もいますから。PMSだけでなく、産休育休だったり、妊婦さんや、子供を抱えているお母さん社員もいるので、「EMILY WEEK」が働く上で女性の身体を考えるきっかけになればと思っています。

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(写真:宇高尚弘/HEADS)

■「EMILY WEEK」の期間限定店舗がオープンします!

EMILY WEEK LIMITED SHOP in アトレ恵比寿
期間:2017年12月1日(金)~12月10日(日)
住所:東京都渋谷区恵比寿南1-5-5 アトレ本館 4F フォンテーヌテラス
営業時間:10:00~21:30

EMILY WEEK LIMITED SHOP in 渋谷ヒカリエ
期間:2017年12月26日(火)~2018年1月10日(水)
住所:東京都渋谷区渋谷2-21-1 渋谷ヒカリエ ShinQs 2F
営業時間:10:00~21:00

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