超吸収型サニタリーショーツブランド「Bé-A <ベア>」を展開する「ベアジャパン」は、湘南学園中学校高等学校(神奈川県藤沢市)の男子生徒、女子生徒に向けて、生理セミナー「いま考えたい生理とカラダのこと〜生理は天然色〜生理を知ろう!」を6月に開催しました。
2022年7月に開催された第1回目に続き、2回目の開催。前回はセミナーの模様が『報道特集』(TBS系)で放送され、内容をまとめたニュースがTBS NEWSのSNSに投稿されると、Facebookには、3万2000の「いいね!」がつき、再生回数は230万回、コメントは545件に。TikTokでは、29万の「いいね!」がつき、シェアは9620件、コメントは4256件(ともに23年6月24日10時現在)と、大きな反響を呼びました。
「Over the rainbow project」チームの中高生23人が参加

「昨年のセミナーをきっかけにBé-Aの生理セミナー活動が本格化しました」という「ベアジャパン」代表取締役の髙橋くみさん(右)と商品開発責任者の中村千春さん
このセミナーは、生徒が自主的に参加する「Over the rainbow project」の一環として開催され、同校の中高生23人が参加。生理に対する知識や経験値の違いを考慮して男子生徒向けと女子生徒向けで時間を分け、 下記の内容で行われました。講師は、「ベアジャパン」代表取締役の髙橋くみさん、商品開発責任者の中村千春さんです。
【男子生徒向け】
・「生理とは?」
・「生理用品って何がある?~女性が毎月使う生理用品事情~」
・「ディスカッション〜こんなとき、あなたならどうする?〜」
【女子生徒向け】
・「生理とは?」
・「日本と海外はどう違う?〜自分に合ったものを選ぶための選択肢~」
・「ディスカッション〜こんなとき、あなたならどうする?〜」
「これを一日つけているのは大変そう」の声

男子生徒も実際に生理用品に触れるワークショップ
男子生徒向けセミナーでは、まず生理の基礎知識からレクチャー。男性と女性のからだの違いの話をする際、髙橋さんからはジェンダー平等についても話が及びました。
「平等と公平の違いについて、 “メガネ”を例にしてみましょう。例えば、目が悪い人、少しだけ悪い人、とてもよく見える人がいるとします。全員が裸眼で同じ物を見るということは、条件でいうと平等かもしれません。でも、そもそもの見え方が異なるため、人によってはうまく見えない不便さがあります。 では、それぞれに合ったメガネをするとどうでしょうか。同じ物を同じように楽しめるようになりますね、それが公平です」
ハンデを埋めるように補い、少しでも快適に過ごせる方法を考えることで、誰もが公平に生きやすい社会を作ることができるはず、との思いが語られ、わかりやすい例えに、男子生徒はもちろん私も大いに頷きました。
セミナー中盤では、生理用ナプキンやタンポンに実際に水を吸わせる実験を実施。水分を含ませた生理用ナプキンの表面を触って「意外とサラサラしている」「これを1日つけているのは大変そう」などの声が聞かれました。また、生理用品が大量のゴミとなっていることなどにも触れられました。
具合が悪そうな母親には「家事を手伝うなどしてサポート」
最後は、3つのグループに分かれて「こんなとき、あなたならどうする?」をディスカッション。3つの質問に対し出された男子生徒が考えた提案は、とても興味深いものでした。
Q1.デート中、女の子の服に赤いシミがついていました。女の子は気づいていないみたい。そんなときはどうする?
A.「人によってはデリケートな事だと思うので、『トイレに行くけど、行く?』と誘う。トイレに行けば、汚れがついている事に自分で気づくと思うから」など。
Q2. 予定していたデートの日、「突然生理になって痛みが強い*」という連絡が来た場合はどうする?
A.「出かけるのは中止して、行く予定だった店のものをテイクアウトして家に持って行き、一緒に食べる」など。
Q3. 母親の具合が悪そうで、頭痛・腹痛を訴えているときはどうする?
>>>「看病というより、家事の手伝いなどして、サポートしてみては?」など。
これらの質問は、ぜひ大人の男性の回答も聞いてみたいと思いました。
「自分もこうだから相手もこうだろう」で判断しない

スポーツ用タンポンの形やそれが膨らむ過程を見て、驚きの声も
次は、女子生徒向けのセミナー。からだのつくりや生理の仕組みだけでなく、生理の経血量やおりもの、PMSや排卵痛、さらには更年期のことまで、具体的な話がされました。
中村さんからは「生理時の体調は100人いれば100通り。自分はこうだから相手もこうだろうという思い込みは、時に人を傷つけてしまうことも。相手を思いやる気持ちは、女性同士こそ必要ですね」とのコメントも。
中盤では、男子生徒と同じように、生理用品を実際に使ってのワークショップに。その中でも、「将来、温泉やプールに行くときなど、いざ使用する時に慌てないため」と、タンポンの使い方を詳しく解説。初めてタンポンに触れる生徒がほとんどで、水を含んで大きく膨らんだタンポンに驚きの声が上がる場面も。
髙橋さんがアメリカで購入してきたという、スポーツ用タンポンや、アプリケーター部分がバイオマスプラスチックのタンポン、強い香りのついた生理用ナプキンなども紹介されました。
小学生には「決して恥ずかしいことではない、と伝えたい」

女子生徒向けのセミナーでは、生理やそれにまつわる具体的な症状が話されました
女子生徒向けのセミナーでの「こんなとき、あなたならどうする?」のディスカッションは、下記のような質問と回答でした。
Q1.街で前を歩く女性(30代)に赤いシミを発見。教える? 教えない?
>>>「なかなか勇気がいることだけれど、私だったら教えて欲しい」「ダイレクトに伝えるのではなく、洋服をかけてあげるなど色々な工夫ができるかも」などと答え、「例えば…」と自分の着ていたカーディガンを脱いで、腰に当てるジェスチャーで解説する生徒も。
Q2.友人4人とディズニーランドに行く朝に、1人から「突然生理になって痛みが強い*」と連絡が。どうする?
>>>「全員、家を出ていたら『無理しないでね』と伝えて3人で行く」「その子が頑張って来られそうだったら、激しいアトラクションはやめて無理のないものだけにする」など。
Q3.小学生の女の子たちに生理を教えるとしたら、どんなふうに教えてあげたい?
>>> 「生理は世界中の多くの女性にあるもので、あなただけじゃないから決して恥ずかしいことではない、と伝えたい」「不安を取り除けるように、具体的な場面を想定して、細かく対処方法 を教えてあげるのがいいかも」など。
*生理痛がつらいと感じたら決して我慢はせず、婦人科を受診しましょう。
「女性同士でも決めつけたりするのは良くない」

男子生徒と女性生徒が輪になって、生理についてディスカッション
最後は、男女合同でディスカッションし、それぞれのセミナーを通して感じたことを発表。参加学生からは下記のような声が聞かれました。
■生理は自分の意思でコントロールできないため、常に気にしないといけないと考えるとツライな、と思った。(高校生・男性)
■生理の血はすこし緩んだ蛇口のようにポタポタ垂れ続けているということを初めて知りました。生理用品のゴミの排出量が5位ということもびっくりした。(高校生・男性)
■人それぞれ違った症状や考え方があるから、友達などに声をかけるときにそのことを考慮してお互い話し合えることがベストだなと思いました。(高校生・女性)
■生理の重さなど人によって全然違うから、女性同士でも決めつけたりするのは良くないなと思った。(高校生・女性)
また、「Over the rainbow project」 代表の市村優奈さんは、「男子に生理について聞いた時の反応で、迷いながらもちゃんと相手のことを思っていることがわかって感動しました。 また、『相手が大変なときに自分が相手のために行動するのに恥ずかしがることはどこにもない』と堂々と言っていたのが印象的でした」と感想を述べています。
平等を学んだ若者が働きやすい環境を大人はつくれる?

最後は全員で記念撮影。「Bé-A」の生理セミナー活動は「大人の我々の方がエールと元気をもらっているようように感じている」と髙橋さんは感想を述べました。
セミナーを現場で体験して私自身が感じたのは、こういったセミナーが大人にも必要なのでは? ということ。各セミナーの最後のディスカッションの質問は、そのまま大人のコミュニケーションに活用できるし、会社や家庭にも通じるものがあります。そして、同校の学生たちは「形式的平等と実質的平等」 の授業を受けているそうです。それらをしっかり学んでから社会に出る彼ら彼女らが働きやすい環境を大人世代はつくれているのか、との思いが頭をよぎりました。