ドラマ好きを自称して、ついには『ベスト・オブ・平成ドラマ!』(青春出版社刊)という、ドラマに関する書籍を上梓した私。小林久乃と申します。これまでに視聴した連続ドラマはおそらく1500本超え。自分でも恐ろしくなるほどドラマを見て、今も大好きだ。
とはいえ、ドラマ視聴はただの趣味。好きな分野は集中力を発揮する。強いて挙げるとするならラブストーリーが大好きで、中でもヒロインが年上、ヒーローが年下の「年の差恋愛ドラマ」には萌える。現在も年齢差10歳差設定の吉高由里子さんと、北村匠海さんが共演する『星降る夜に』(テレビ朝日系)に夢中だ。もちろん北村匠海が突然現れて、キスをしてくれる都合のいい世界なんぞがあるとは思ってはいない。あくまでも癒しとして楽しんでいる。
そんな私が今回、編集部から「年の差恋愛ドラマ」のセレクションを依頼された。毎日疲れが抜けない状態でも、踏ん張る読者のみなさまに癒しを提供できたら……という思いで、作品を選んでみた。前編ではハッピーエンドを、今回は年の差が邪魔をして、恋路が進まないドロドロの人間劇を含んだ作品を。非現実の世界が広がる映像は脳内がスッキリとするかもしれない……?
「年の差恋愛ドラマ」の定番、教師と生徒による禁断の恋へ、いざ
恋愛とは許されない条件があるからこそ、男女が燃え上がる。そんなシチュエーションを象徴するのが、教師と生徒による恋愛だ。そんな禁断の恋を表現した『魔女の条件』(1999年)は、個人的に平成の名作だと推す。
高校教師の広瀬未知(松嶋菜々子)は結婚も控えていたのに、転校生の黒澤光(滝沢秀明)とフォーリンラブ。仕事も実家も捨てて、愛に走る物語。ふたりが惹かれあっていく様子も良かったけれど、男性が17歳ということで周囲からあの手この手を使った反対攻撃が飛んでくるのが、また……。資産家の母親は金を使って息子と引き剥がそうとして、警察に未知を逮捕させる一幕も。ほぼ味方もいないなか、ふたりがどう愛を築くのか。当時、毎週ハラハラしながら見ていた。
最近では有村架純さん主演の『中学聖日記』(ともにTBS系・2018年)が放送された。物語の全体像は『魔女の条件』と似ているけれど、現代らしく視聴者からの揶揄(やゆ)が飛んでこないギリギリのラインで、脚本が作られていた。例えばラブシーン(のようなもの)はなかったし、連続ドラマの途中でふたりは引き離される。周囲の反対に屈する。それでもふたりは……? というのがひとつのポイントだった。朝ドラを終えたばかりで、清純派をイメージを払拭した有村さんが挑んだ新境地とも言えるドラマだ。
不倫と年の差、連続ドラマの醍醐味が詰まった作品セレクション
「年の差恋愛ドラマ」だけでも胸高鳴るものがあるのに、そこへ不倫という禁断の果実が加わったパターンのドラマもあった。人間関係の入り組みようはさらに複雑になる作品だ。
江角マキコさん主演『それは突然嵐のように…』(TBS系・2004年)は衝撃的だった。結婚をして幸せだったはずの主婦が、ダンサーを目指す男子高校生と惹かれ合うという内容。年下男子好きからすると盆暮正月が一度にきたような設定だった。しかも男子高校生を演じていたのが、若き日の山下智久さんこと、山Pだったこともドラマから目が離せなくなる要因に。
「あのテレビ局界の優等生・NHKでラブシーンが放送された……?」と話題を呼んだ『セカンド・バージン』(NHK総合・2010年)も中村るい(鈴木京香)と鈴木行(長谷川博己)は、17歳の年の差。不倫への背徳感、40代女性としての立ち位置、仕事への意欲など、恋愛だけではない様々な要素に包まれていた。そこがまた泥沼の人間劇を生むのだけれど。
令和に突入してから、山口紗弥加さん主演『シジュウカラ』(テレビ東京・2022年)の余韻さめやらず。平凡な主婦だった綿貫忍(山口)の漫画家としての才能が開花、17歳年下でアシスタントの青年と恋愛をする。ひと回り年上の旦那を捨てて、自立して生きていくというのがあらすじ。年齢差のある恋もいいし、未練がましい元旦那を徹底的に拒否する様子も、強さが感じられて良かった。こうして並べてみると、時代の流れとともに女性側が強くなっていくことがわかる。見ていて爽快感がある。
と、ここまで並べた「年の差恋愛ドラマ」。もしピンとくるものがあったら、インターネットでぜひ検索を。昔は予約録画をしないと見られなかったけれど、今はサブスクという便利なシステムがある。明日も頑張るあなたのスイッチの切り替えにぜひ。