30歳で朝ドラヒロインに 森田望智、『巡るスワン』クランクインで語った“何も起こらない日常”の面白さ

30歳で朝ドラヒロインに 森田望智、『巡るスワン』クランクインで語った“何も起こらない日常”の面白さ

9月2日にクランクインした『巡(まわ)るスワン』

2027年度前期放送予定の連続テレビ小説『巡(まわ)るスワン』で主人公・小松美咲を演じる森田望智(もりた・みさと)さんが9月14日、長野県諏訪市の諏訪湖畔公園で開催された取材会に登場した。

同作は9月2日にクランクイン。この日は、古川琴音さん、富田望生さんが演じる幼なじみと過ごす場面の撮影に臨んだ。

取材会には警察官として勤務する際の美咲のスタイルで登場した森田さん。撮影開始から約2週間が経った現在の心境について、「本当に諏訪にずっと泊まらせていただいて、いろいろなところに行かせていただいています」と語った。

脚本は、『架空OL日記』『ブラッシュアップライフ』などで知られるバカリズムさんが担当。主演は、連続テレビ小説『おかえりモネ』『虎に翼』や夜ドラ『いつか、無重力の宙で』などに出演した森田さんが務める。

舞台は、長野県・諏訪湖周辺をイメージした架空の町・佐和市。警察署の生活安全課で働く女性警察官・小松美咲の日常を描くヒューマンコメディーだ。

佐和市で生まれ育った美咲は、警察学校を卒業後、交番勤務などを経て、現在は故郷の佐和署生活安全課に勤務している。悪徳商法や不法投棄、行方不明者、少年非行、DV、ストーカーなど、事件を未然に防ぐための幅広い業務に向き合う毎日。華やかさのない仕事に物足りなさを感じることもあるが、個性的な上司や同僚たちとともに、地域の平穏を守るため職務に励んでいる。

休日には友人とカフェや旅行に出かけたり、遊びに来る姉と自宅でのんびり過ごしたりと、ごく普通の時間を楽しむ美咲。それでも、友人の車に乗ればつい安全確認をしたり、バックの誘導をしそうになったりと、警察官としての癖が顔を出すこともある。「今日もなんにも起きませんように。」――そんな願いとともに、美咲の日常は続いていく。

「諏訪でできてよかった」現地ロケで深まる美咲への理解

現在、諏訪市を中心に撮影が進められており、桑野智弘制作統括によると、下諏訪町、岡谷市、茅野市などでもロケを行う予定だ。

森田さんは諏訪での撮影について、「ドラマの中で出てくるのと同じ環境」で芝居ができていることが大きいと話す。

「本当にその地元にそのまま入った気持ちでお芝居ができていて、すごく贅沢だなと。嘘なく美咲ちゃんとしてそこに立てている感じがすごくして、『諏訪でできてよかったな』と思っています」

実際に美咲が生まれ育った土地のモデルとなる地域で過ごすことで、役への理解も深まったという。

「諏訪に住んでいるならではの会話だったり、人との関係性だったり。寒い地域ならではの空気感や、湖があることによって生まれる人とのつながりも、実際に目で見て感じることができました」

そして、「美咲ちゃんがここで育って、悩んだり、疲れたり、ときにはため息をついたりしながらも、やっぱり地元が大好きという気持ちは、来てみてすごく分かった気がします」と話した。

バカリズムの脚本は「セリフが本当に言いやすい」

「私たちの会話を聞いていたの?」と思うほど、身近でリアルな会話劇に定評のあるバカリズムさん。脚本について、森田さんは「セリフが本当に言いやすい」と語る。

「普段、私たちが口語として話している言葉がそのままずらっと並んでいるような感じなので、本当にリアルというか、今そこで会話が起きているような文体だなと思って、まずワクワクしました」

役作りについても、これまでとは少し違うアプローチをしているという。

「私は普段、役を作るほうが得意なタイプだと思っているんですけど、今回の美咲ちゃんに関しては、作り込みすぎると美咲ちゃんの可能性を狭めてしまう気がしていて。なるべく自分の素の部分も出せるようなお芝居ができたらいいなと思っています」

警察官としてのマナーや行動を押さえつつ、「それ以上の部分では、少し自由に羽を広げてみようかなという気持ち」で役に向き合っていると明かした。

「小さな出来事が面白かったり、おかしかったり」日常にある発見

警察署で同僚たちと働く場面、友人との時間、姉とのやりとり――。森田さんは、一見すると何げないシーンの積み重ねにこそ、本作の面白さがあると感じているという。

「全部に共通して言えるのは、『こんな発見があるんだ』ということです。日常で自分が気づいていなかったけれど、こんなに小さな出来事が面白かったり、おかしかったりするんだと、一つひとつ気づいていく感覚があります」

私たちは毎日を繰り返しているように感じてしまうが、実際には交わす言葉も、そこで起こる出来事も少しずつ違っている。

森田さんは、「普段の日常もきっとそうなのに、どこか同じ毎日を当たり前のように生きている。でも、そのなかでも毎日は違っていて、そういう面白さに気づかされたのが、この作品の魅力だと思います」と話し、「そのなかに思わず笑ってしまうようなところがたくさんある。それが一番の魅力かなと思います」と語った。

この作品づくりについて、桑野制作統括は「テーマがないことをやってみたいと思ってスタートしている」と明かす。

「朝の楽しいひとときになったらいいな」という思いから始まった作品で、「世の中に訴えたいこともないですし、メッセージ性もないです」と桑野制作統括。

そのうえで、「見ていただいた方が、学校とか通勤とかするちょっと前にほっこりすることって、そういうテーマやメッセージを描くのと同じくらい価値があるんじゃないのかな」と語った。

「何も起こっていない」と思う日常にも、実は何かが起きている

バカリズムさんは、本作を“警察ドラマ史上、最も何も起こらないドラマ”と表現している。

しかし森田さんは、「何も起こらないものを描く」という意味ではないと受け止めているという。

「みんなが『何も起こっていない』と思っているものの中でも、実は何かが起きているんだ、ということを伝えられるドラマなのではないかなと思っています」と森田さん。

「ものすごく共感してもらえる脚本になっていると思います。見てくださる方にも、『日常生活って、意外と発見にあふれているんだ』『意外と幸せなことや、おかしなことがたくさんあるんだ』と気づいてもらえたり、楽しんでもらえたらいいなと思っています」

30歳で迎えた朝ドラヒロイン「人生、何があるか分からない」

森田さんは取材会前日の9月13日に30歳の誕生日を迎えた。

30歳という節目を朝ドラのヒロインとして迎えることを想像していたか尋ねられると、「20代のころはまったく想像していませんでしたし、今もまだ信じられていないくらい、現実味がないです」と語った。

思い出したのは、自身も出演した連続テレビ小説『虎に翼』で主人公を演じた伊藤沙莉さんの姿だったという。

「伊藤沙莉ちゃんが、ちょうど30歳のときに主人公として現場に立っているのを見て、『30歳という節目に、こんな素敵な朝ドラを一年間やっているのは、ものすごく素敵なことだな』と思った記憶があります」

当時はそれを客観的に見ていた森田さん。まさか自分自身も、30歳で朝ドラの主人公として撮影の日々を送ることになるとは思っていなかった。

「まさか自分も同じように30歳をこんな素敵な場所で迎えられると思っていなかったので、本当に『人生、何があるか分からないな』と思います。まだまだふわふわした気持ちなんですけど、もう感謝しかないです」

長期間にわたって一つの役を演じられることについても、「日常の積み重ねをしていくことによって、人間関係も本物になっていくし、役が役でなくなっていく」と期待を寄せる森田さん。

諏訪で美咲としての日々を重ねながら、30歳という節目とともに、長い朝ドラの撮影を歩み始めている。

『巡(まわ)るスワン』は2027年春放送。

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