戸田久実さんに聞く、オンナのヨユウ 第4回

遠慮しがちで頼り下手な貴女へ 戸田久実さんに聞く「大人の女性のお願い力」

遠慮しがちで頼り下手な貴女へ 戸田久実さんに聞く「大人の女性のお願い力」
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年を重ねるごとに、経験を生かしてどんどん軽やかになる女性がいる一方で、「聞く耳を持たない先輩」や「頭の固い先輩」になってしまう女性も……。

30代は、後輩や部下も増え、仕事の責任も増していく世代です。一本芯の通った女性として、頑固になりすぎずに上手くコミュニケーションをとるには、どんなことに気をつけたら良いのでしょうか。

『働く女の品格 30歳から伸びる50のルール』(毎日新聞社)の著者で、アドット・コミュニケーション代表取締役の戸田久実さんに、働く女性が知っておきたい心構えについてうかがいました。

第4回のテーマは「大人の女性の上手な頼り方」について。

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【第1回】あいさつしない後輩にも背景がある
【第2回】「注意してもらえない」中堅世代どう乗り切る?
【第3回】不安を具現化して解消する方法

「相談しないほうがいい」という思い込み

——前回は、不安の解消法として「まずは書き出す」という具体的な方法を教えていただきました。そのお話を聞いて、1つ気になることがありました。不安を書き出した結果、自分1人では解決できないことが出てきたとき、上手に人を頼るにはどうしたらいいのかなって。

戸田久実さん(以下、戸田):確かに、大人になるにつれて人に頼りづらいと感じていく人はいますね。

——はい、私も身近な人に相談しづらくて、1人でため込んで体調やメンタルを崩したり、爆発してしまったりすることがあるんです。

戸田:たとえば、どんなことが相談しづらかったのですか?

——私は一度結婚して離婚しているのですが、元夫の言動に悩んでいました。でも、誰にも相談できない期間が長かったです。親しい友達は子育てで忙しかったり、結婚して遠くに引っ越してしまったりして。友達も、子育てや新しい環境で大変な思いをしているのに、私の離婚の相談をして負担をかけたくないなと気を遣ってしまって。

最後は、弁護士に相談して離婚が成立したのですが、周りの人に上手く頼ることができたら、もっと早く解決していたのではないかと思います。

戸田:相手の状況を考えて、話さないという判断をしたことも良いと思いますよ。でも、もしかしたら思い込みもあるかもしれませんね。「子育てで大変な親友にとって、私の話は負担になるに違いない」、「迷惑に違いない」と思ったと。でも、それを相手に確かめたことはありますか?

——いえ、ありません。

戸田:そうですよね。思い込みで決めつけている可能性が高いです。もしかしたら、この話を友達が聞いたら「みずくさいじゃん!」って悲しむかもしれませんよ。「早く教えてくれたら、サポートしてあげられたかもしれないのに」って。逆に、あなたは自分が仕事で大変なときに友達に相談されたら迷惑ですか?

——全然迷惑じゃないです。つらいときには、サポートしたいと思います。

戸田:そういう人もいますよね。だから、とにかく言ってみないとわからないの。相談してみて「いまは子育てが大変で、あなたの話を聞けないの。ごめんね」と言われるかもしれない。でも、それはあなた自身を否定や拒絶されたわけじゃありません。思い込みで気を遣って、自分が苦しくなってしまうことはもったいないんですよ。相手を信じて、まずは言ってみましょう。

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自分に何ができるのか、相手に何をしてほしいのか

——「人を頼る」という話でいうと、30代女性には、仕事で誰かを頼ることが苦手な人もいます。たとえば、同世代ですと、産休育休明けで時短勤務をしている女性が何人かいます。人によると思いますが、1~3年ほどブランクがある中で、本人はもちろん職場も戸惑っていて気を遣い過ぎてしまうという悩みがあるようです。

戸田:よく聞く話ですね。産休育休明けだと時短勤務の人も多いですし、どうしても周囲の人にお願いしなければいけない機会が多くなると思います。そのときに大切なことは2つ。1つは、時短の中でも「自分ができる仕事は、とにかく精一杯やる」ということ。もう1つは「相手が引き受けやすいように、丸投げではなく、お願いしたいことを具体的に明らかにする」ということです。

——うーん。へりくだりすぎてしまうというか、「ごめんね、ごめんね……」「すみません、すみません……」と申し訳なさそうにしているのを見ていると、こちらもつらくて。そういう方に、環境づくりや接し方の面でどんなサポートをしてあげられるでしょうか。

戸田:「ごめんね」「すみません」と頭を下げている人を見て、どう思いますか。

——そんなに謝ることじゃないのに、と思います。あまりに過剰だと、こちらがその人を責めていると言われているようでモヤモヤすることもあります。

戸田:そうですよね。だから、さっきの話と同じで、とにかく言ってみるしかありません。「そんなに謝りすぎなくていいんだよ」って。「できることを精一杯やってくれたらいいんだよ」、「私たちが協力しなきゃいけないことは『これをお願いします』って言ってくれたら、かえって仕事しやすいから」って。

——謝罪でも、開き直りでも、何かの態度が過剰になっているとギクシャクしてしまうんですね。

戸田:そうですね。「だって私、子どもがいるし」「だって時短勤務だし」と開き直られてしまうと、周りは「押しつけられた!」と感じてしまいますよね。お互いに、自分に何ができるのか、相手に何をしてほしいのかを、明確に提示していくことが大切なんですよ。

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(取材・文:むらたえりか、写真:青木勇太)

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