こんにちは、アラフィフ作家のにらさわあきこです。
別人級のメイクテクを持つ二十歳の女子大生、姪のキョウカからノウハウを盗む(まなぶ)このコラム。今回はメイク落ちを防ぐ工夫についてです。
実は、このテーマは私の永遠のテーマです。というのも、私は長いこと、「アイメイクが落ちる人間」として生きてきたのですよね。常日頃から、目を大きく見せたいという野心を持ってはいるものの、気がつくとだいたい落ちている……。パンダ目になってしまうので、途中でメイクを落とすことも多いです。
一方、キョウカのメイクを見ていると、アイメイクへの力の入れ方が半端ないわけですよ。なんせ本人比2倍の目を実現しているメイク上手なツワモノですから、アイメイクに関しては、相当しているはずなんです。なのに、落ちない……。
どれくらい落ちないかというと、キョウカは夜中に帰ってきてメイクを落とさないで寝ることが多いのですが、翌朝になってもアイメイクが全く落ちていないのです。美しいままキープできているので、「またその顔で出かけては?」と提案してしまうくらいです。
パウダーにシャドウを乗せる!
でも、なぜキョウカのアイメイクはそんなにも落ちないのでしょうか? 秘訣を聞き出してみたところ、「まずはパウダーをしっかりつけるよね。しっかりといっても、つけすぎると重いから、うすづきになるように、そっとていねいにつけているよ。で、その後、アイラインを引くんだけど、アイラインをなじませるために上に同系色のアイシャドウを乗せるんだ」
なるほど、「ラインを描いたらぼかせ」というのが私の常識でしたが、綿棒などでぼかすのでなく、上から乗せて「足す」方式なのね。
「でも、ここで終わりにするんじゃなくて、最後にさらに“追いアイライン”をするよ」
……追いライン!
まさかアイラインを2回も引いていて、しかもその色をパウダーで押さえるのではなくて、アイシャドウを重ねるとは、なんて「盛り盛り」なのでしょう。「盛り盛り」というか、「マシマシ」というか、「足すのみ」と言いますか。1ミリも引かないその姿勢には潔さすら感じました。
大人はどうする?
「しかしそのアイデアってどこからきたの?」と不思議に思って聞いてみると、韓国のメイク動画からだそう。
確かに韓流メイクって、アイメイクがめちゃ濃いですし、崩れる印象もありません。
その秘密は、「アイラインONアイシャドウONアイライン」というものすごい「重ね方」にあったのかと、とても納得したのでした。お勉強になりますね。
とはいえ、大人の私がこの方法をそのまま行っていいものかというと、さすがに自信がありません。だって韓流目ヂカラメイクを行えるほど、自分の目に自信もないですし。
そこで、今回もメイク歴30年のベテランメイクアップアーティストの藤岡ちせさんに教えを請いました。
「大人はメイクを重ねると、シワが目だったり、透明感が失われて厚塗りに見えたりします。ですので、大人の皆さんは同じようにはしないほうがいいかもしれません。大人はメイクを引き算で考えましょう。たとえば、最初のパウダー使いですが、夏場の汗をかく時期以外は、大人にはパウダーなしを勧めます。パウダーを使うと、メイクは定着しやすくなりますが、時間がたつとシワが目だってきます。美しいメイクをするという目的から考えると、いっそ端折ったほうがいいんです」
藤岡さんによれば、全体が下がってくる大人では、重ねるのは行為自体がそもそもNGだとか。「時間の経過とともにメイク箇所が下がってくるので、たるんで見えやすくなります。だから、大人のメイクでは重ねるのは避けたほうがいいんです」

藤岡さんオススメのクリーム。自然素材のものを選びたい。
では、どうすればいいのでしょうか?
「おすすめしたいのが、クリームタイプのマルチカラーを使うこと。クリームタイプなら、パウダーを塗り込まなくても色が定着しやすいですし、美容成分が配合されたものを選べば、潤い感も作れます。また、使いやすさも抜群で、ひと塗りでおしゃれに見せてくれるので、目元はもちろん、チークや唇にもどんどん使ってみるといいですよ」

濃く塗っても自然に見えやすい。
なるほど、クリームタイプとは、目が見開かれた気がしました。確かに最近、バリエーションが増えて、カラーも選べる印象ですよね。
「美容成分が入っていて、塗るだけでお肌に美容効果を与えてくれるものを選べば、おしゃれに見えるだけでなく、つややかな目元を実現させてくれますよ」
クリームシャドウなら、厚塗り感を避けることもできそうです。若いキョウカの方法を真似したりしながらも、大人は大人の方法にも挑戦していきましょう。
監修・藤岡ちせさん
Fujioka Chise:biography (chisefujioka.com)
1993年~ヘアー&メイクアップアーティストとして活動開始。人気タレントやミュージシャンなどを担当する他、女子アナにメイクを教える講師活動を行うなど幅広い分野で活躍中。Paja*Patiに所属。
●自己紹介
キョウカ
二十歳の女子大生で、にらさわの姪。専攻はメディア論だが、専門の勉強以上にメイクに時間と情熱を注いでいる。欲望にフタをしないタイプで、別人級のメイクを実現する。
にらさわあきこ
文筆家、時に美容研究家。美肌と美ボディ作りを追求していて、普段はノーメイク。著書は、『未婚当然時代』(ポプラ新書)、『婚活難民』(光文社)ほか多数。