『脂肪を落としたければ、食べる時間を変えなさい』インタビュー第1回

「朝、光を浴びる」「朝食を食べる」…もう一つは? 時間栄養学を極める三つのポイント

「朝、光を浴びる」「朝食を食べる」…もう一つは? 時間栄養学を極める三つのポイント

年を重ねるにつれて、「ダイエットをしてもなかなか痩せない」「毎日1万歩歩いているのに体重が落ちない」とお悩みの方も多いのではないでしょうか? 実は、ダイエットのポイントになるのは、私たちの体に備わっている“体内時計”。脂肪がたまりやすい時間、筋肉がつきやすい時間を知ることで、効果的に肥満を防ぐことができます。

また、食事においても、これまでは「何を」「どう」食べるか? が注目されていましたが、「いつ」食べるか? という視点がとっても大切。

そこで、『脂肪を落としたければ、食べる時間を変えなさい』(講談社+α新書)などの著書があり、現在は広島大学大学院医系科学研究科で特任教授を務める柴田重信(しばた・しげのぶ)さんに、時間栄養学を生かしたダイエットのポイントについて、お話を伺いました。

第1回のテーマは「時間栄養学って何?」です。

『脂肪を落としたければ、食べる時間を変えなさい』の著者・柴田重信さん

体内時計とダイエットの関係は?

——時間栄養学とは、体内時計の仕組みを明らかにしながら栄養や食べ方との関係を研究していく学問ということですが、体内時計とダイエットはどんなふうに関係しあっているのでしょうか?

柴田重信さん(以下、柴田):私たちは朝、目が覚めると体は体温や血圧を上げて、活動する準備に入ります。夜になると休息するために体温や血圧を下げて眠りにつきます。そんな体に備わった基本的なリズムは体内時計によるものなのですが、リズムが整うことで私たちの健康は保たれています。時間栄養学は、そういった体内時計の仕組みを明らかにしながら、どうすれば体内時計をリズムよく動かせるか、そしてそのリズムに合わせた食べ方とは何かを研究していく学問です。

——時間栄養学はいつ頃から研究されているのでしょうか?

柴田:私は元々、薬学部の出身なのですが、薬を処方されるときに「何時ごろ飲んでください」と言われますよね? それは、体内時計に薬の効果を合わせることで、副作用を抑える意味があります。薬に関しては、飲む時間を間違えることができないので、研究が進んでいましたが、食品や栄養に関しては、研究が後回しになっていたという事情があります。それで、今から約10年前に、「健康のことを考えるのであれば、薬だけではなく食品や栄養のことも大事だ」ということで、本格的な研究が始まりました。最近は体内時計と運動の関係を明らかにする時間運動学も発展しつつあります。

——時間栄養学で最近注目されているトピックスはありますか?

柴田:最近では、さまざまな研究データやAIを使った「個人別健康」が注目されています。つまり、「健康に関して、個人別で語っていこう」ということですね。そこで、みなさんが「健康になりたい」ときに、「食事や運動をどうすればいいのか?」と悩んでいる人も多いと思います。人間は、朝昼夜という時間軸のリズムの中で生きているので、時間栄養学や時間運動学の観点から、食事や運動の質や量に加えてタイミングをアドバイスすることで、より健康を維持できるだろうと考えています。

時間栄養学で大事な三つのポイント

——本書では、最近話題のプチ断食から具体的な食べ方、睡眠や運動との関係まで詳しく書かれています。

柴田:この本を書くにあたり、私が提案したいのはたった三つです。「朝、光を浴びよう」「朝食をしっかり食べよう」「夕食から翌日の朝食まで、12時間以上の絶食時間をつくろう」ということです。この3つを守ることで、体内時計と生活リズムのずれを解消し、脂肪をため込みやすい習慣を改めていくことができます。

体内時計は24.5時間周期なので、外界と30分のズレが生じます。朝の光を浴びて朝食を取ることで、1日が始まったことを体内時計に知らせる役割があるのです。人によって起床時間は異なりますが、朝食は起きてから1時間、遅くとも2時間以内で、午前9時頃までにとるのがいいでしょう。

また、さまざまな研究結果から、絶食時間は12時間をおすすめします。朝食を午前7時に食べたら夕食は午後7時まで。計算しやすいという利点もあります。食事の数は1日3食が血糖値の上昇を防ぐという意味で優れています。朝食はご飯やパンなどの糖質と、魚や肉、大豆などからタンパク質をしっかりとって夕食は炭水化物を少なめにすると、減量効果が出やすいです。

(聞き手:ウートピ編集部・堀池沙知子)

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