頭痛、重だるい、肩こり…猛暑後の冬の“冷えバテ”ケアとは?【臨床内科専門医が教える】

頭痛、重だるい、肩こり…猛暑後の冬の“冷えバテ”ケアとは?【臨床内科専門医が教える】

猛暑のあとの秋冬は、疲れやすくて多くの不調が噴出すると言われ、この冬は体調を崩さないよう管理するのが難しく感じます。

臨床内科専門医で正木クリニック(大阪市生野区)の正木初美院長は、「猛暑の辛さを脳がまだ覚えているうえに、昼の高気温と朝晩の冷えこみの温度差が激しいこの冬、自律神経のバランスが乱れて心身ともに不調が現れやすいと言えるでしょう」と話します。

その理由や、冬の体調ケア法について詳しく聞いてみました。

寒暖差を調整するために自律神経が疲弊

——「自律神経」とはよく耳にします。気温の変化とどのような関係があるのでしょうか。
  
正木医師:自律神経とは、呼吸や心拍、血圧、体温、血流、消化吸収など、体の機能を安定させるために、ヒトの意思とは関係なく働いている神経です。「血圧よ、下がれ」と思ってもそうはならないように、無意識のうちに脳と神経がこれらの体の機能を調節しています。

自律神経には、活動中や緊張度が高いときに働く交感神経と、休息やリラックスモードへ導く副交感神経の2つがあります。この2系統が互いにバランスをとって働き、体を環境や状況に適応させています。

例えば、夏に気温が高いときは血管が拡張して熱を放散し、発汗を促して、体温が上昇しすぎるのを抑えるように働きます。一方で気温が低くて寒いときは、血管を収縮して血圧や体温を上げるように調節します。猛暑や極寒、また一日の寒暖差が激しいときは自律神経がフル稼働しているとイメージしてください。

2018 年は記録的と言われる酷暑が長い期間続き、大雨や台風、地震もあり、自律神経には負荷が強くかかっていたと考えられます。それに耐えた後の秋や冬も、晴れた日は例年より昼間の気温が高く、夕方から急に冷えるという、寒暖差が大きくなっています。

こうした環境では、頻繁に血管の拡張や収縮が起こり、また熱をつくったり逃がしたり、急激に体温を調節するなどで体調を維持する必要があります。すると、エネルギーを消費するだけでなく、体温や血圧をコントロールする自律神経が疲弊して多様な不調が現れます。

不定愁訴は自律神経のバランスが乱れているサイン

——具体的に、どのような症状が現れるのでしょうか。
  
正木医師:体の冷え、疲労感、不眠、頭痛、肩こり、首こり、胃痛、胃もたれ、下痢、めまい、むくみ、食欲不振、体がだるい、関節痛などが挙げられます。また、気分の落ち込みやイライラ、やる気が出ないなど精神面にも影響を与えます。

こういった、原因がはっきりしないけれど複数の不調が現れることを「不定愁訴(ふていしゅうそ)」と呼びます。女性に多い症状です。夏は暑さに対応しきれない夏バテ、冬は冷えに対応しきれない冬バテ、冷えバテと言えるでしょう。放置すると季節に関係なく症状がしつこく辛くなり、病気に発展することもあります。

ただし、逆に考えると、多様な不調の出現は、自律神経のバランスが乱れている、疲れているサインだということです。これを見逃さずに、早めにセルフケアを心がけましょう。

冬の場合、一日の寒暖差が大きい日はもとより、寒い屋外と暖房の効いた室内の移動で温度差が大きくなるので注意が必要です。

自律神経のバランスが乱れやすいかをチェック

——自分は自律神経のバランスが乱れやすいのかどうか、知る方法はあるでしょうか。
 
正木医師:まず、次に挙げる項目を確認してみてください。

(1)気温や気圧の影響、寒暖差で体調を崩しやすい
(2)寝つきが悪い、夜中や早朝に目が覚めるなど睡眠状態がよくない
(3)肩や首がよくこる
(4)暑さや寒さが苦手で、冷暖房が効いた室内で過ごすことが多い
(5)あまり体を動かさない
(6)冷えを感じやすい
(7)ストレスを感じやすい
(8)乗り物酔いをしやすい
(9)夕方になると顔や足がむくむ
(10)イライラや憂うつ感を覚えることが多い

当てはまる数が多いほど、自律神経のバランスが乱れがちで、特に冷えや暑さなど季節や天候による不調を感じやすいと言えます。セルフケアのためにはまず、自分の心身の状態を客観的に知っておくようにしましょう。

充実した食事と睡眠、適度な運動、ストレス解消で風邪対策も

——あわただしくなる年末年始や春先に向けて、冬の冷えバテを自分でケアする方法はあるでしょうか。
  
正木医師:まずは自律神経のバランスを整えることを意識して、1日3食を栄養のバランスよく食べる、睡眠を充実させる、ストレッチやラジオ体操、1日に20分~1時間程度のウォーキングなど適度な運動をするようにしましょう。

自律神経のバランスの乱れは免疫力や抵抗力の低下につながって、インフルエンザや風邪をひきやすくなりますが、これらのアクションはその対策にもなります。

また、年末年始から春先までは、身体面だけでなく、公私ともにストレスや緊張感、不安感が強くなる時期でしょう。すると、交感神経が優位になって、自律神経のバランスが乱れやすくなります。

自分なりのストレス解消法を試みる、また、ストレスや不安に感じていることを紙に書き出して整理し、取り除くように努めるなどを実践しましょう。リラックスする時間が増えると、自律神経のバランスが整います。

さらに、寒暖差による体温の変化を調整するために、日ごろから暖房の設定温度を見直す、カーディガンやマフラー、手袋、温かいインナーなどの衣類を着用し、オフィスではひざ掛けやレッグウオーマーなど下半身の冷え対策は必須です。

——ありがとうございました。気温の大きな変化や冬の冷え込みは、体だけでなく精神面にもマイナスの影響を及ぼすということです。不定愁訴を見つめ、日々の生活習慣を見直すきっかけと考えて冬を乗り越える体づくりを心がけたいものです。

(取材・文 岩田なつき/ユンブル)

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