この不調、何科へ行けばいい? 診療科ナビ/第9回

心臓ドキドキ、息切れ、胸が痛い…循環器内科って何を診る?【内科指導医に聞く】

心臓ドキドキ、息切れ、胸が痛い…循環器内科って何を診る?【内科指導医に聞く】

「この不調、何科へ行けばいい? 診療科ナビ」と題した記事を連載しています。第1回は消化器内科、第2~第4回は精神科、第5回は心療内科,第6~8回は耳鼻咽喉科について、それぞれどのような症状、病気を扱うのか、また治療法などを紹介しました(各回のリンク先は文末を参照してください)。

今回は「循環器内科」について、兵庫医科大学病院の副院長で内科部長、内科指導医・専門医、『胃は歳をとらない』(集英社新書)の著書が話題でもある三輪洋人(みわ・ひろと)医師に尋ねます。

三輪洋人医師

三輪洋人医師

心臓と血管の病気を診察する循環器内科

——循環器とは体のどの部分をいうのでしょうか。

三輪医師:循環器とは、心臓、動脈、静脈、毛細血管、リンパ管のことで、体液を全身に循環させる、また老廃物を回収する役割がある臓器、器官の総称です。体液とは医学的に、血液とリンパ液を指します。

——どのような症状で診察に訪れる人が多いですか。

三輪医師:循環器内科では、心臓と血管の症状を扱います。心臓の不調を疑うような、息切れ、呼吸困難、胸痛、ドキドキ感などの動悸(どうき)、失神発作、めまい、背中の痛み、むくみ、また、健康診断などで判明した血圧の数値の異常などで受診する人が多いです。

狭心症や心不全など心臓の病気を扱う

——循環器内科で扱う病気にはどういったものがあるのでしょうか。

三輪医師:主に次の心臓の病気が対象となります。

・虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞など)……虚血(きょけつ)とは血液がないという意味です。虚血性心疾患とは、心臓を取り巻く太い血管の冠動脈が狭くなる、つまることで血流が滞り、心臓に酸素や栄養が行き渡らないために起こる病気の総称です。

そのひとつの心筋梗塞(こうそく)の場合は、激しい胸の痛み、重圧感、呼吸困難、冷汗、おう吐などが生じ、そうした発作が15分以上続きます。命に関わる重篤な病気です。

もうひとつの狭心症は、左の胸や腕、あご、歯、背中に痛みや圧迫感、胸やけなどが生じます。発作の状態は心筋梗塞よりは軽く、発作時間は1~15分ほどです。

・不整脈……脈のリズムが速くなったり遅くなったりと乱れ、不規則になる病気です。1分間に100以上の脈を打つ頻脈では、動悸、息切れ、胸痛、めまいなどが生じます。失神や心不全、また突然死の原因にもなります。

脈が乱れると血液の流れがよどんで血栓(けっせん。血の塊)ができることがあります。これが脳の血管などに詰まると脳血栓となり、体にまひが生じることもあります。

・心臓弁膜症……心臓の左心室、左心房、右心室、右心房にある4つの「弁」が正常に機能しなくなり、血液の循環を担う心臓のポンプ機能に支障をきたします。動悸や息苦しさ、だるさなどが生じ、また、心不全や不整脈をまねくことがあります。

・大動脈瘤(りゅう)……体の中でもっとも太く、心臓からの血液が最初に通る血管を大動脈といいます。全身に血液を運ぶこの動脈がコブのようにふくらむと、誤嚥(ごえん。飲食物や唾液が誤って気道に入ること)や胸痛(きょうつう)、息苦しさといった症状をまねき、命に関わることもあります。

・心筋症……心臓の筋肉が異常をきたす病気の総称で、動悸や息切れ、息苦しさ、めまい、足のむくみ、せきやたんなどが生じます。拡張型、肥大型、拘束型に分類されますが、多くは原因が不明の特発性心筋症と呼ばれるタイプです。

・動脈硬化症……心臓や脳の病気の原因となる動脈(血液を心臓から全身の各組織に送り出す血管)の病気です。動脈は通常は弾力性があってしなやかですが、壁が厚くなる、硬くなって内部がつまりやすくなる、あるいはつまって全身に酸素や栄養を運ぶなどの機能が低下している状態です。

なお、「心不全」という用語が知られています。心不全は、「心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気」と定義され、上記の各々の病気が原因で心臓の働きが悪くなることで全身にさまざまな異常が起こる症候群のことをいいます。

内科でも行うカテーテル手術

——循環器内科ではどのように診察するのでしょうか。

三輪医師:まずは問診にて症状、過去に診断された病気、心臓の手術経験、アレルギーの有無などについて聞きます。

次に、必要に応じて、心臓で発生する微小な電気を波形で記録する心電図検査、心臓の状態を磁気によって画像化(撮影)するMRI検査、動脈の断面などを画像化するCT検査、超音波を心臓にあててその反射を画像化する超音波検査(エコー検査)などを実施します。

心電図検査では、心臓が収縮するリズム、虚血性心疾患、不整脈、心筋症などの病気が判明する可能性が高いです。また、MRI検査や CT検査では血管の狭さやつまりの状態など、超音波検査では心臓の動き、大きさ、形、壁の厚さなどがわかります。これらを総合して、医師が病気の有無、種類などを診断します。

心電図(イメージ)

心電図(イメージ)

CT検査(イメージ)

CT検査(イメージ)

心臓の超音波検査(心エコー検査)の画像。 画像:兵庫医科大学病院 循環器・腎透析内科 転載禁止

心臓の超音波検査(心エコー検査)の画像。
画像:兵庫医科大学病院 循環器・腎透析内科 転載禁止


——治療はどのような方法で行うのでしょうか。

三輪医師:症状と病態によりますが、急性の心臓発作などではない場合は、薬の内服や点滴による治療、生活習慣の改善のアドバイスを行います。また、心筋梗塞や狭心症、不整脈などの場合は、カテーテルを用いた手術を行うことがあります。カテーテル手術は外科の領域だと思われがちですが、循環器内科では多く実施されています。

カテーテルとは長さ約130センチ、直径約2ミリメートルの医療用の細い管状の器具のことです。手首や足のつけ根の動脈から挿入して、心臓の血管まで通します。心臓に血液を送る冠状動脈が狭くなったり、つまったりした場合の治療に多く用いられます。

家族性高コレステロール血症の男性の冠動脈(心臓に血液を供給する血管)。左の赤く囲んだ部分に狭窄(きょうさく)が認められます。右は冠動脈ステントを留置して血管を広げたときの画像です。 画像:兵庫医科大学病院循環器・腎透析内科 転載禁止

家族性高コレステロール血症の男性の冠動脈(心臓に血液を供給する血管)。左の赤く囲んだ部分に狭窄(きょうさく)が認められます。右は冠動脈ステントを留置して血管を広げたときの画像です。
画像:兵庫医科大学病院循環器・腎透析内科 転載禁止

そのほかにも、さまざまな治療器具を用いた治療法があり、また急性の症状などでは手術を行う心臓血管外科と連携を取り合って救命に臨みます。心臓に違和感や苦しさを覚える場合は、とにかく早めに循環器内科を受診しましょう。

聞き手によるまとめ

循環器内科は、心臓と血管の病気を扱う科であり、胸が痛い、苦しい、動悸や息切れがするなどの場合に受診する診療科ということです。少しでも症状が気になるときは、近隣の循環器内科を調べる、またかかりつけ医に紹介してもらうなどして早めに受診したいものです。

(構成・取材・文 藤原 椋/ユンブル)

胃は歳をとらない_640

SHARE Facebook Twitter はてなブックマーク lineで送る

この記事を読んだ人におすすめ

この記事を気に入ったらいいね!しよう

心臓ドキドキ、息切れ、胸が痛い…循環器内科って何を診る?【内科指導医に聞く】

関連する記事

記事ランキング