ゲノム編集、クローン、人体凍結保存……。こうしたさまざまな最先端科学による事件に立ち向かう警察官僚・小比類巻祐一(こひるいまき・ゆういち)らの活躍を描いたサイエンスミステリードラマ、Huluオリジナル『パンドラの果実~科学犯罪捜査ファイル~』Season2が、オンライン動画配信サービス「Hulu」で独占配信中です。
本作は4~6月に日本テレビ系で放送されたSeason1の続編で、ディーン・フジオカさん演じる主人公・小比類巻が、“科学犯罪対策室”のメンバーたちと最先端科学にまつわる不可思議な事件に挑む物語。原作は中村啓さんの小説『SCIS 科学犯罪捜査班 天才科学者・最上友紀子の挑戦』(光文社文庫)で、『海猿』や『MOZU』シリーズで知られる羽住英一郎さんが監督を務めています。
科学を人類の光と信じる警察官僚であると同時に、亡き愛妻を冷凍保存している夫であり、まな娘の良き父でもある小比類巻を演じているディーン・フジオカさんにお話を伺いました。前後編。
「日本のドラマでは見られない」映像に関われたことが幸せ
——Season1の撮影、放送を終えた今の心境を教えてください。
ディーン・フジオカさん(以下、ディーン): Season2と同時進行で撮っていたので、自分の感覚としては、あまり区切りを感じずに連続性のある中での撮影でした。「Season1」は、最終章の加速していく感覚やアクションのスケール、アドレナリンが出るようなスリリングな展開は、イチ視聴者として見てもエンディングにふさわしい流れだったと思いました。日本のテレビドラマではああいったトーンの映像はなかなか見られない気がします。改めて、自分もチームの一員として関わらせてもらったのはすごく幸せなことだなと思いました。
(監督の)羽住組の精鋭部隊が現場を回していて、展開がすごく早いんですよ。そうでなければ一人の監督で10話を回せないと思いますが、改めて「こういうシステムを羽住さんが作り上げてきたんだなあ」と思いました。完結を迎えて、新たにSeason 2が始まりましたが、やっぱり連続性があって、つながりがある。これからまたどんどん展開していくことを予感させつつ、でもしっかり終わっている……Season 1はそんな印象でしたね。
——Season2からは、吉本実憂さん演じる新人捜査官の奥田玲音(おくだ・れおん)が加わりました。そのことも含めて、現場で何か変化はありましたか?
ディーン:自分も体を動かすことが好きなので、彼女とはよくそういう話をしたり、現場で“ミット打ち”したりしていました。少しスタジオの前室の空気感が変わりましたね。前だったら、そこまで自分の武器セットやボクシングセット、トレーニング道具などを前室に持ち込まなかったんですけど、実憂ちゃんがめちゃめちゃ前のめりで、いろいろ持っていくと喜ぶんですよ(笑)。いろんな武器を集めていると言ったら「見たい」と言われて、持って行って見せたら「私の!」と言われて「これ、俺のなんだけどな」と(笑)。だから記念に、刀を一本プレゼントしました。

7月30日から配信スタートする『パンドラの果実~科学犯罪捜査ファイル~』最終話=Hulu提供
「プライベートが見えないように」小比類巻を演じるうえで意識していること
——Season 1、2を通して小比類巻を演じるうえで、意識していることはありますか?
ディーン:ひとつの部署を任されている室長という、責任ある立場であることを踏まえたうえで、仕事のときどういう姿勢で一つ一つの事件や謎を解明する道筋をたどっていくのか……ということですね。あまりプライベートが見えないような感じというか……。警察というのは公共のために尽くす人間だと思うので、そこであまり生活臭というか、個人的なカラーが見えないようにと考えていました。小比類巻は新しい部署をつくり、人の命を扱うという空気感の中で日々仕事をしている。そんな凜とした、一本筋が通った感じはしっかり出したいなと思っていました。
そしてそれができるのは、同時にちゃんと家庭の部分が描かれているから。プライベートの部分では夫であり父親であるという一人の人間として、自然体を見せられるからこそ、仕事のときはピシッとしている。その演じ分けは、ずっと一貫して意識している部分です。
——確かに、ピシッとした仕事モードの一方、家での娘とのやりとりは見ていて少しほっとするようなシーンでした。
ディーン:そうですね。小比類巻は妻との関係性では、愛ゆえに冷凍保存するという選択を選びます。だからいい夫であり、いい父親なんですが、社会の大多数から見ると、それは普通ではない行動に映ってしまう。そして最終的には、その愛の深さゆえに、娘を守るために、最終章では暴走するんですが、公私を明確に分けているところをいい意味で浸食していく感じはドラマチックだと思いました。最初に明確に「ピシッとしている人なんだ」という印象をつくっておくことで、後にどんどん境界線が見えなくなったり崩れていったりすることがドラマチックになると思ったので、そこは演じるうえで意識していましたね。

7月30日から配信スタートする『パンドラの果実~科学犯罪捜査ファイル~』最終話=Hulu提供
——これまでの撮影で、特に印象に残っているのはどんなことですか?
ディーン:アクションシーンはすごく大規模だなと思いました。こういう区切り方をするのは不毛かもしれないですが……今までも日本のドラマでいろいろなアクションをやってきましたが、どうしても「まあこんな感じだよね」という規模です。でも今回は、特に小比類巻が敵組織の西城とガチンコで戦ったシーンは、すごく広い空間にいろいろな重機を用意して、火までたいて、かなり大掛かりなアクションをやりました。アクションってめちゃくちゃ時間かかるので、普通の連続ドラマではさばききれない分量なんです。それをやろう、と思ったことも含めて、すごいなと思いました。
Huluオリジナル『パンドラの果実~科学犯罪捜査ファイル~』Season2はHuluで独占配信中。全6話。最終回は7月30日配信スタート。
(聞き手:河鰭悠太郎、写真:宇高尚弘)
●衣装クレジット
ヘア・メーク/森 智聖 スタイリスト/渡辺 慎也(Koa Hole inc)
シャツ¥35,200カットソー¥14,850パンツ¥29,700シューズ¥59,400(すべてSHAREEF/シャリーフ)