『おもいで写眞』高良健吾さんインタビュー 後編

高良健吾「自分の幸せを自分で決めることが、人生を前に進めてくれる」

高良健吾「自分の幸せを自分で決めることが、人生を前に進めてくれる」

たった一人の家族だった祖母の遺影が、集合写真を拡大したピンボケ写真だった——そんな寂しい場面からはじまる映画『おもいで写眞』(1月29日公開)。祖母の死をきっかけに、東京から富山に戻った音更結子(深川麻衣)は、町役場で働く幼なじみ・星野一郎(高良健吾)の依頼で、お年寄りの遺影を撮る仕事をはじめます。

はじめは「縁起でもない」と敬遠されるも、<おもいで写真>と名を変えたことでたちまち評判に。思い出の場所をめぐりながら、結子自身が怒って泣いて、成長していく人間ドラマです。

結子に優しく寄り添う星野を演じた、高良健吾さんにお話を伺います。前後編の後編となる今回は、「なりたい自分」について高良さんに語っていただきました。年齢を重ねるうちに気づいた、自分や他者との向き合い方とは——?

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目先の目標だけを追いかけていた日々

——遺影にすることを目的としていますが、自分の好きな場所で撮る<おもいで写真>は、撮る側も撮られる側も、撮影を通じて「自分の好きな自分」「なりたい自分」を探していたように思いました。高良さんは、「好きな自分」「なりたい自分」像はお持ちですか?

高良健吾さん(以下、高良):たしかに、この映画は「なりたい自分」や「なりたかった自分」を探す物語という側面もありますね。僕自身は、一つひとつの作品や役に対して、説得力を持たせられる人間になりたいと思っています。

いま33歳で、人生の半分以上でこの仕事をしてきました。長くこの仕事を続けられたうれしさがある一方、自分は全然できていないと思うこともあって……。作品一つひとつを振り返ると、「あのシーンはもっとよくできたはずだ」と思ってしまう部分も少なくありません。だけど最近は、そういう瞬間的な反省にとらわれず、自分がどう存在したいか長い目で考えられるようになりました。

劇中より

劇中より

——長い目で見る、とは?

高良:たとえば、昔は現場単位で「こういうことがしたい」「これができるようになりたい」という細かい目標があるだけだったんです。一瞬一瞬を一生懸命に、先のことは考えず楽しくやる感じ。でも、いまはもう少し将来のことまで俯瞰して「こういう人間になりたい」という意識も持てるようになってきました。俳優の仕事だけにこだわらず、どんな人生を送りたいかまで考えられる、というか。それでやっぱり、説得力を持っている人や、自分らしさを大切にできる人でありたいと思うようになりました。そういう人は、自分のこともほかの人のことも大切にできると思うので。

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自分の幸せは、自分で決める

——10~20代のときに比べて、生き方や周囲との向き合い方は変わってきましたか?

高良:昔よりも「自分はこう思う」「こうしたいんだ」などの主張の仕方が、少しずつ変わってきたと感じています。以前は、周りの人を自分の望む方向に変えようとしていました。自分がいいと思ったものを相手にもいいと思ってほしいとか、意見の違いに聞く耳を持てないとか。むしろ「あなたもこうしたほうがいい」「こうすべきだ」と、我を通そうとして頑固になっていたかもしれない……。でも、そうやって相手を困らせて、自分自身をも苦しめるような経験を経て、反省したんですよね。誰かを変えようとするのはなんだか違うな、と。

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——大切なのは周りではなく自分が変わること、なんでしょうね。では30代のいま、自分の人生を切り拓くために、高良さんが心がけていることを教えてください。

高良:いま自分に与えられていることを、まず精一杯やること。それから「俳優という仕事にこだわらない」という感覚も、大切にしています。生涯ひとつの仕事を突き詰める人生もすばらしいけれど、人生にはほかにもいろんな道がある。だから「俳優」という枠にとらわれず、どういう自分でいたいかに向き合い、変わっていくほうが面白いんじゃないかと思っているんです。もちろん、この仕事を辞めたいと思っているわけではありませんが。

——忙しいとつい目の前の仕事のことしか考えられなくなり、他の選択肢まで目が行きにくいです。

高良:そうですよね。僕も昔は仕事のことしか考えられなくて、つらくなってしまった時期がありました。

——どうやってその時期を抜け出したのですか?

高良:ほかの人たちの生き方を見て、ですかね。たとえば、自分が誰かをかっこいいと思うときや、心から尊敬の気持ちが湧いてくるようなとき、その人の仕事や成果だけを見て判断しているわけじゃないと思うんです。その人の生き方や物事に向き合う姿勢を含めて、かっこいいと思っているはず。

——たしかにそうですね。

高良:俳優を極めている人に憧れを持つこともあれば、地方で全然違う仕事をしている人に憧れることもある。でも、その人たちには共通点があるように思います。

それは、自分の幸せを自分で決めている人だということ。世の中には「これが幸せでしょ」みたいな決めつけがいっぱいあるけれど、そんなの本当は全然関係なくて。自分の幸せを自分で決めることが、人生を前に進めてくれるのだと思います。

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■作品情報

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『おもいで写眞』
2021年1月29日(金)全国ロードショー
配給:イオンエンターテイメント
©️「おもいで写眞」製作委員会

(スタイリスト:渡辺慎也 (Koa Hole)、ヘアメイク:高桑里圭、取材・文:菅原さくら、撮影:宇高尚弘、編集:安次富陽子)

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