『脱!しあわせ迷子』前編

私はこのままでいいのだろうか?【脱!しあわせ迷子】旅の始まり

私はこのままでいいのだろうか?【脱!しあわせ迷子】旅の始まり

世界一幸せな国に答えがある気がする

忙しい日々は相変わらず続いていた。さまざまな気持ちが生まれては消え、生まれては消えを繰り返していた。

そして、そんなことをしているうちに、人というのはちょっとした悟り状態になるのだろうか。急に、本音のようなものが見えてきた。「より多くの人を楽しませること、幸せにできることってなんだろう……。世界中の人たちをそんな気持ちにできたら、この上なく幸せだなあ……。」

今思うと、私は幼少期からずっと、誰かを笑わせたり、楽しませたり、幸せにしたかっただけなんだと思う。

思考がシンプルになり、希望が見えた気がした。

そして、実現できる方法を考え始めた。どうせやるなら、今までよりも、もっとたくさんの人を幸せにしたい。できるなら、世界中の人を幸せにしたい。そんなふうに思った。

しかし、より多くの人となるとなかなか難しい。そもそも、今の自分が考える「幸せ」というのはあいまいで、ぼやぼやとしている。そんな状態で答えが見つかるわけがない。

そんな中、ある疑問が次のステップになった。

「そういえば、世界一幸せといわれる国は、どうして幸せなんだろう?」

「あれ? もしかして、世界一幸せといわれる国に行けば、何か答えが見つかるのでは……?」

「きっとそうに違いない! いや、絶対そう!」

その勢いのまま、私はしばらく休暇を取り、フィンランドに一人旅立つことにした。結果的にこの旅は、世界一周のいわゆる前哨戦のようなものになった。

会社を辞めて、世界一周の旅に出る

はじめて降り立ったフィンランド。

ここで幸せとは何かを見つけ出してやる。意気込み十分だった。

方法は至極単純。住む人に「どうして幸せなんですか?」と幸せの理由を尋ね歩くだけ。みんな幸せなんだから、みんな答えを知っているはずでしょう。

しかし……。人生とはなかなか想像通りにはいかないもの。思ったような結果は得られなかった。

考え方は人それぞれで、答えは三者三様。「これをすれば、世界中のみんなを幸せにできる」と言い切れるようなものは見つからなかったのだ。よくよく考えれば、国によって価値観も制度も違うため、一つの国の一部を見て、答えなんて見つかるはずもない。

だからといって、私は全く折れなかった。むしろ、日本との違いをたくさん発見し、とてもおもしろかった。幸せにつながるヒントのようなものがたくさんあり、もっと知れば、何かわかることがあるかもしれないと思いワクワクして帰国した。

帰国後の私は、すぐに何か行動を起こすこともなく、会社員生活は続けていた。今の仕事と自分がやっていきたいことのギャップがどんどん広がっていったが、楽しい仕事もあったこと、そんな仕事を失う怖さがあったことで、なかなか踏ん切りがつかずにいた。

そんなあるとき、運良くなのか運悪くなのか、立て続けにやりたいと思っていた企画が形にできないことがあった。

なんとなく、運命を感じた私は、そのまま「よし、会社を辞めよう」とやっと決心することができた。会社を辞めても具体的に何をするかは決めていなかったが、やりたいことへの漠然とした思い「たくさんの人を幸せにすること」は変わらなかった。

とりあえず、前回の幸せを知る旅の続きをしてみよう。今度はフィンランドだけではなく、世界中の多種多様な幸せな国を巡って、幸せのヒントをかき集め、それを通して自分がしたい仕事を見つけるのはどうだろう。

私の世界一周は、フィンランドに行ってから5年後、ようやく始まろうとしていた。

後編:フィンランドでの旅は7月29日(金)公開予定

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