トミヤマユキコ・岡田育対談イベント 後編

「おしゃれ更年期」の乗り越え方 トミヤマユキコ・岡田育対談

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「おしゃれ更年期」の乗り越え方 トミヤマユキコ・岡田育対談

節目の歳を目前に、ファッションやメイクを見直したいと思っている人も多いのではないでしょうか。

ライターで早稲田大学助教のトミヤマユキコさんと文筆家の岡田育さんが、5月下旬、青山ブックセンター青山本店(東京都渋谷区)で開催されたトークイベントに登壇しました。「40歳までに身につけたいこと、手放したいもの」をテーマに、語られたことの中から一部を編集してお届けします。

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<前編>オシャレな母の娘に生まれると…

「ロジック大事」がトミヤマさんっぽい


岡田育さん(以下、岡田):
トミヤマさんの新刊『40歳までにオシャレになりたい!』(扶桑社)は、オシャレを楽しむという以上に、研究者気質が前に出ていますよね。ファッション誌をつぶさに見て「私、分かった!」というような。

すごく読みやすくてライトな女子向けエッセイでありながら、随所に「ロジック大事」ということが書いてあって、トミヤマさんらしいなと思いました。

トミヤマユキコさん(以下、トミヤマ):ありがとうございます。私、雰囲気で言われてもわからないんですよ。例えばメガネの章がわかりやすいと思うんですけど「フレームの真ん中に黒目が来るようなメガネを買え」と言われてようやくわかる(笑)。

最低限のルールを押さえておけば、あとは自分の顔なり肌の色なり体型なりに合わせてアレンジできるじゃないですか。だから大原則を先に知りたいと思ってしまうんです。

トミヤマさん

トミヤマさん

夫とファッションの方向を合わせる?

岡田:これは可及的速やかにどうにかしたい案件なのですが、実は、うちの夫が最近“トンチキ服”に目覚めつつありまして。私のドラえもんジーンズや変な形状のTシャツを見つけては、「僕もそういう服を着てみたいな」と言うんです。

トミヤマ:なんの憧れなんですか?(笑)

岡田:結婚前はモノトーンばかり着て、相当コンサバにまとめている夫だったんですよ。それが、蛍光色のものすごく派手なパーカーを見て「メンズはないのかな」と、試着したがったりして、明らかに妻の色に染まりつつある……。

一同:(笑)

トミヤマ:私の場合は、私が夫に合わせてトンチキの方向性を調整していますね。夫がアフロヘアなので。

岡田:トミヤマさんが調整している?

トミヤマ:はい。美容室で「この度、アフロヘアの夫と結婚することになりまして。アフロの隣にいてもおかしすぎず、つまらなすぎず」という、ほどほどの髪型をオーダーしたら「おかっぱかな?」ってなったみたいで。今は前髪だけ“オモシロ”要素を入れてもらっています。あんまり無個性でも逆に夫とのギャップが出すぎてしまうので。合わせに行きつつやりすぎず、っていう。

岡田:えらいなぁ。お互いに個性が立っているからこそ、譲り合えるんでしょうね。私なんか、レディースの服でも迷子なのに、夫に「着る服選んでよ」って言われても「無茶言うなよ!」と思いますね。

岡田さん

岡田さん

落ち着いた“トンチキ”を目指して

岡田:ここで自分の“オモシロ服”の歴史をたどると、ゲッソー(スーパーマリオブラザーズに出て来るイカのキャラクター)のパーカーやゲゲゲの鬼太郎Tシャツを着たりしています。ニューヨークでも案外、好評。

トミヤマ:(服を取り出しながら)私はキティちゃんのTシャツや、居酒屋のメニューが書かれたサマーセーターを……。今日披露できてよかったです!こうやって見てみると、なんだか恥の多い人生ですけれども(笑)。思うに、服以上のものを服に求めてしまうところがあるんですよ。

サマーセーターを披露するトミヤマさん

サマーセーターを披露するトミヤマさん

岡田:分かる。オシャレとは関係ないプラスアルファを服に求めがちで、この世にはそれに応えてくれる服があるので、買ってしまうんですよね。

トミヤマ:ただ滑稽で奇抜だから買っているわけではなく、一応、自分なりの理由があるんです。

岡田:私も鬼太郎Tシャツを買う時、完全に絵柄で決めたのに、最後に申し訳程度に「グレーはどの色にも合わせやすいから」って言い聞かせましたね。

一同:(笑)

トミヤマ:“オモシロファッション”の中で試行錯誤しているうちに、コンサバファッションがどんどん分からなくなってくる。

岡田:そうそう! 地獄の道を歩いていますね。だからこそ、この本は気づきが多いし、同じようなところで悩んでいるんだな、私だけじゃなかったんだな、と思えました。「Aラインは若さで着るもの」とか、頭では分かっていても認めにくいじゃないですか。だから試着室でも一人で悩み続けてしまうんですけど、(本では)ズバッと言ってもらえる。ブレーキのかけ方がわかる。

呪いの書にはしたくなかった

トミヤマ:ただ「40歳までにオシャレにならない奴はダメ」という呪いの書にはしたくなくて。じゃあどう読むのかというと、30代の後半で「40歳までにコンサバファッションのチャンネルを開設したい!」って思って七転八倒している姿をとにかく見てもらいたい。

私自身がたまたま35歳くらいの時に「40歳までにもう1チャンネル開設したい」って思っただけなので。読者のみなさんには“トンチキ”なほうのチャンネルを開設してもらってもいいと思いますし。

岡田:私の夫のように(笑)。

トミヤマ:そうですね(笑)。チャンネルを増やすと人生の後半戦が楽しくなるぞという思いを込めて書きました。

岡田:「40歳過ぎたら女は○○」みたいな禁止事項は作りたくないんですけど、一方で、かつて夢中で読んでいたファッション誌から得た知識がアップデートされていないことって多いですよね。

トミヤマ:多いですね。

岡田:それもある意味、チャンネルが増えていない。情報の棚卸し、再確認のタイミングとしても、“40歳”という区切りは使えると思うんです。私たち、10代の頃はアムラー全盛でしたからね。眉は細ければ細いほどいいと思っていたのが……。

トミヤマ:目の周りは黒ければ黒いほどいいとか。

岡田:そう。アイラインでぐるりと。でも先日、新卒の時にすごくお世話になった先輩の女性と再会したら、眉が太かったんです。今50代前半くらいかな、とてもオシャレな人で。一目見て「やばい、私、眉細いままだ!」と思いましたね(笑)。

「40過ぎたら40過ぎらしく、こういう服を着るようにしないと」という年齢区切りのルールじゃなくて、オシャレな人は、何歳になっても最新トレンドを上手に取り入れている。自分はどうだろう? と立ち止まって考えるのに、節目の年齢を意識してみるのはいいと思います。

ここらでチャンネル増やしてもいいんじゃない?

トミヤマ:あとは40歳ぐらいで体型も変わりますよね。20代から引っ張ってきたファッションとかメイクのいろいろがいよいよ効かなくなるタイミングだと思います。それで言うと、ライターのアケミンさんが「オシャレ更年期」って言葉を使っていて。

岡田:強いワードですね……。

トミヤマ:これにはすごく共感しました。40歳あたりでやってくるオシャレ更年期、恐ろしいけれど、なんとか乗り越えるしかないですね。

岡田:本にも書かれていますけど、“オモシロファッション”をしていると、周りから釈放してもらえる。

トミヤマ:そう。ファッション警察からの釈放が早い(笑)。

岡田:私は本当におもしろい服も好きなんですけど、一方で釈放されたくて“オモシロ服”に逃げる、みたいなところがあるんですよ。

トミヤマ:私もあります。

岡田:それを「逃げない」。もうひとつの別の道も試しに踏み固めてみる、というのは大事ですね。ダテに長く生きていると、トミヤマさんも書かれていますけど「自分内ルール」がどんどん固まっていっちゃう。

「私にはこれはできない」とか、「白いシャツは似合わないから」みたいな言い訳を、60、70になっても続けるんだろうか……と思うと、「ここらでもう1チャンネル開けてみてもいいんじゃない?」って。その背中を押してくれる本ですよね。

トミヤマ:わたしがチャンネル開設の実験台になりましたので、その様子を見て笑ってくれたら嬉しいですね。「この屍を踏み越えていけ」という気持ちで作りましたから(笑)。みなさんはしれっとオシャレになっていただければと!

岡田:「10年前から知っていましたよ」みたいな顔して、「当然ですよ」とね。ちゃっかり知識を身につけて、素敵に年齢を重ねていけるといいですね!

(ウートピ編集部:安次富陽子)

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