「自分に素直になって悪いことってない」幸福感につながるマインドのヒント

「自分に素直になって悪いことってない」幸福感につながるマインドのヒント

コラムニストの桐谷ヨウさんによる連載「なーに考えてるの?」。ヨウさんがA to Z形式で日頃考えていることや気づいたこと、感じたことを読者とシェアして一緒に考えていきます。第34回目のテーマは「H=Honesty(誠実さ)」です。

「他人に誠実であるか?」の差が出てくるお年頃

突然だが30代で痛感するのは、

人は「他人に対しては、誠実であれ」

「自分に対しては、素直であれ」ということである。

これらを大事にしていくと、生きやすさが広がるような気がしている。

どういうことか?

他人に誠実であること。これは奇麗事のように見えて、けっこう面白い差が生まれてきているのが30代である。というのも、他者と小器用に関われるスキルを持った人って、身近にいなかっただろうか? 感じ良く、ほどよいラインを崩さずに、うまみだけを吸うようなコミュニケーションがうまかった人。

そういう人は良いとこどりができているように見えていたけど、ある程度の年齢になるとそういう人はけっこう寂しさを抱えていたりする。当たり前だ。人間関係は良いとこどりができない。他者を交換可能な見方をしている人は、自分も交換可能な存在として扱われるからだ。気がつくと自分が心を許せる特定の仲間やパートナーに恵まれていなかったりする。

反面、不器用でも誠実にしてきた人というのは、その蓄積が生きてくる年齢になってくる。周囲には誠実をギブアンドテイクする人しか残っていないから、安心感しかない。まぁ、自分が誠実でいようとしても、一方的にかすめとろうとしてくる人はたまに出没するけれど、深く関わらなければいつのまにか消えていってくれる。

人間関係とは自分から迎えにいくものではない。偶然の流れなのか、それが幸いな場合には運命と呼ぶのだろうか、時期が来たら出会うのである。迎えにいくのではなく、やって来る。あるいは同じ場所に一緒にいることになる。それは通り過ぎては流れていったり、手元に残っていく川べりの石のようなもので、自分がどういう向き合い方をするのかによって、近くに残っていく存在が決まっていくのだろう。

結局のところは、他人に対して誠実に接している人が、勝ってるなぁと思うことが増えてきたのである。

それでは自分に素直であることとは?

自分に素直になって悪いことってない

自分の経験を振り返ると、本当に楽しいときも、けっこう苦しいときも、それぞれにおいて何が重要な要素だったかを思い出すと、素直な気持ちで向き合っていたか? ということである。

たとえば嬉しいハプニングが起きたとする。そんなときに素直に「嬉しい! 楽しい!」と思えればいいけど、斜(はす)に構えてしまったら嬉しさというのは半減してしまう。自分の心の波に素直に乗れないと、テンションなんか上がりっこないのである。イメージとしては「調子に乗ってると思われたくない」とか「まわりの目があって恥ずかしい」みたいなものかなぁ。これは素直にしていれば乗れたであろうポジティブな波を、乗り過ごしてしまった例になるだろう。

逆に、しんどいときも素直さを阻害しているケースがけっこうあるんじゃないかと思う。いまの仕事を辞めたいと思っているのに、「自分で決めたんだから数年はガマンして頑張らないと」とか「感情としてはムカつくけれど、理屈は上司の方が正しいから」とか「これだけお金をもらっているのだから、肉体的にも精神的にも負荷がかかる仕事なのは仕方がない」みたいな。

こういうのは続けていくと面白いことにハンを押したように一年くらいで限界を迎える。自分の経験を鑑みても、周りを見渡しても、自分の気持ちに素直になれたら即ギブアップするつまらない出来事をガマンして続けていると、マジで一年くらいでバーストしてしまうものなのである。

そう、自分に対して素直になって悪いことなんか一切ありえない。それでも引っかかるのは、小さい頃に「ガマンが必要」とか「努力をしないとヒトカドの人になれない」みたいに言われしまった呪いが、けっこう効いてるんじゃないかと思う。好きなこと、やりたいことをやるのにガマンなんてありえないし、努力を努力と思わずに夢中にやりつづけてそれなりの人になれてしまうだろう。素直に興味があることをやっていれば。

あるいは他人に対して誠実になれないのはなぜなのか。誰かに裏切られたことがあるのか、そういう態度をバカにされたことがあるのか。その反動で自分が誠実になるのをバカバカしいと思ってしまっているのかもしれない。そういうのを取っ払えたらいいんだけどね。

素直さ、誠実さは、俺の言葉におきかえると「自分の気持ちをまっすぐにぶつけること」である。そして、いつも自分の気持ちをまっすぐにぶつけるのをジャマするのは、自分の羞恥心であったり、余計な気遣いであったり、こざかしい損得勘定です。それは幸福感には決してつながらない。どれだけ自分の気持ちの純度を高めて、好きな人に対してぶつけられているか。好きな物事にぶつけられているか。これだけを考えてみてほしいのです。

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