家計が苦しいとき、どんなふうに解決しようと思いますか? 『節約主婦の今すぐ真似できる1000万円貯蓄』(KADOKAWA)を上梓したインスタグラマー・くぅちゃんは、手間や時間がかからない“時短節約”を提唱しています。
でも、そんな彼女は独身のころ、節約や貯金がまったくできない浪費家だったのだそう。バリバリ働いてバリバリお金を遣う生活が立ちゆかなくなってきたのは、出産し、独身時代のようには働けなくなってからでした。
節約マインドの作り方やモチベーション維持について伺う短期連載。最終回は、いますぐ試せる節約TIPSと、モチベーションを保つ方法を話してもらいました。
「やめる節約」よりも「置き換える節約」
——いざ節約しようと思ったとき、まずは何からはじめるといいでしょうか? 今日からできる時短節約術が知りたいです。
くぅちゃん:何かを「やめる」よりも「置き換える」と、はじめやすいと思います。たとえば、コンビニで飲み物を買う代わりに、マイボトルを持ち歩く。毎日コンビニのコーヒーを買うと年間36,500円*もかかると思えば、ちょっといいマイボトルを買ってコーヒーを持ち歩いたって、おつりが来ます。
*100円のコーヒーを365日と仮定したとき
いつもの食材や日用品を、リーズナブルなプライベートブランドに替えてみるのもおすすめ。別のブランドを試してみたら、それで充分なことだってありえますから。日々の出費は“チリ積も”なので、自分の譲れるラインを見極めながら、お得な商品に切り替えていくといいでしょう。
——ふむふむ、それなら今日から試せそうです。
くぅちゃん:それから、やっぱり固定費の見直しは効果的ですよ。最初こそちょっと面倒だけど削減できる金額が大きいし、手続きさえしてしまえばそのあとは勝手に節約されます。我が家はスマートフォンをドコモの格安ブランド「ahamo」の料金プランに乗り換えて、支払いで貯まるⅾポイントを食事のデリバリーに使っているため、ダブルでお得です。
それから、外食は事前に予定を立てること。思いつきで食べに行くと、それほどの金額じゃなくても予定外の出費に感じられて、後悔につながりやすいんです。あらかじめスケジュールに入れておけばお店選びも失敗しにくいし、その日を待つ楽しみも生まれます。
やれる範囲のことを気楽にやって、ほどよく貯めたい
——本格的な節約をするようになって、家族はどんな反応ですか?
くぅちゃん:夫はもともと私に対してお金を遣いすぎだと感じていたようだから、いまは「ようやくわかってくれたんだ」くらいの気持ちだと思います(笑)。買いものばっかりしていた時代は、よく「似たようなバッグ持ってなかった?」なんて言われてましたもん。
——でも、生活費を節約するということは、少なからず家族の暮らしも変えるということですよね。「こんなケチくさいことしたくない!」なんて声が上がることもありそうです。
くぅちゃん:私、家族に「あれをやめて」「これを削って」みたいなことは一切言わないんです。夫も、先日テレビの取材で「節約している感覚はまったくない」と言っていました。
——それじゃ「私はこんなに頑張っているのに相手はずるい!」なんて思ったりしませんか?
くぅちゃん:ちょっとした出費を夫の財布に頼ることもあるし、それでバランスがとれている気がするから、ずるいとは思いません(笑)。もちろん家族総出でもっとキッチリやればもっと貯められると思うけど、すべてを切り詰めて管理するのって絶対しんどいじゃないですか。だから「自分の財布でやれる範囲のことを気楽にやって、これだけ貯められれば充分」だと思うようにしています。もともとの目標も「とにかくお金を貯めること」ではなく「育児と仕事を上手に両立しながら楽しく生活していくこと」なので。
節約で「可能性を広げる」ために
——それにしても、長期的に節約のモチベーションを保てるのがすごいなと思います。
くぅちゃん:結婚前の実家に住んでいたころ、貯金なんてまったく考えず、お給料を好きなように遣っていました。人生のなかで一度そういう時期を過ごしたからこそ、いま気持ちよく節約・貯金モードが続けられているのかもしれません。お金をたくさん遣える幸せとは違うけれど、最低限のモノしか買わない生活のなかで得られる幸せも、ちゃんとあるんですよね。「手元にあるもので充分満たされる」「本当に大切なものにだけお金を遣いたい」と思えるいまの暮らしも、すごく好きなんです。
お金は貯めるのも大事だけど、うまく遣うことも大事。気持ちよく遣えれば悩むこともないし、また気持ちよく遣えるお金をつくるために節約を頑張ろう、と思えます。
——我慢するだけの節約ではなく、生活を楽しむための節約だと思うと頑張れるのかもしれないですね。
くぅちゃん:そうですね。もともと浪費家だった私の人生も、節約で大きく変わりました。看護師として10年以上働いていたときは「この仕事しかできない」と思っていたけれど、節約を頑張るうちに、新しい道が見えてきた。著書を出版し、フリーランスの時短節約家として活動できるなんて、昔は思ってもみませんでした。私の場合は節約がきっかけになりましたが、自分と向き合って、やりたいことをやるために備えることが、未来の可能性を広げてくれるんですよね。
(取材・文:菅原さくら、編集:安次富陽子、写真:『節約主婦の今すぐ真似できる1000万円貯蓄』)