『家族の味』インタビュー・後編

「こうしなきゃダメ」なんてない! 私が“平野レミらしさ”を発揮できた理由

「こうしなきゃダメ」なんてない! 私が“平野レミらしさ”を発揮できた理由

NHKの人気料理番組『平野レミの早わざレシピ』など、テレビや雑誌を通じて数々のアイデア料理を発信している料理愛好家の平野レミさんによるエッセイ集『家族の味』(ポプラ社)が3月9日に発売されました。

同書は2007年に筑摩書房から刊行された新書『笑ってお料理』に加筆・修正して単行本化。レミさんが初めて料理を作った思い出から、和田誠さんとのなれそめや子育て方針まで家族と料理についてつづっているほか、29品のオリジナルレシピに加え、亡き夫・和田誠さんとの対談、阿川佐和子さん、清水ミチコさんとの鼎談(ていだん)も収録しています。

レミさんに夫・和田さんとの結婚生活で大事にしていたことや「自分らしさ」を貫くことについてお話を伺いました。前後編。

【前編】夫を亡くした平野レミが上野樹里から言われたこと

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「こうしなきゃダメ」はさっさと取っ払おう

——レミさんをテレビでお見かけするたびにいつも楽しそうにお料理をしてらっしゃって「もっと自由に楽しんでいいんだ」と思うんです。料理だけじゃなくて生き方も教えてもらっている気がします。

平野レミさん(以下、平野):「こうしなきゃダメ」を取っ払っちゃうのよ。人に迷惑をかけたり、悲しませたりしなければ、何をやってもいいの。そのくらい大きな気持ちで人生を楽しめばいいじゃん。

——子供のころからそんなふうに自由だったんですか?

平野:そうね。うちの両親がすごい自由人だったの。「~しちゃいけない」とか何も言われないまま、大きくなっちゃったのよね。「泥棒して見つかったら、泥棒になっちゃうんだよ」みたいな(笑)。そういう育てられ方だったから、本当に自由にやらせてくれて。

小さいときからずっとこのままで来ちゃったけど、生活してて何も不便を感じないしね。それに、私みたいなものを、和田さんが良しとしてくれて、結婚してくれたんだからさ。きっと、間違ってなかったんでしょう。

“平野レミらしさ”を発揮できるのは和田さんがいたから

——レミさんはいつも、“平野レミらしさ”を存分に発揮してらっしゃいますよね。

平野:NHKの『きょうの料理』に初めて出演したときは、「牛トマ」を作ったんだけどトマトをぐしゃっと手でつぶしちゃったの。そうしたら、賛否両論のハガキがたくさん届いて、大変だったんだって。プロデューサーから、「視聴者から抗議が来たので、今度から注意してください」って注意されたときに、「はい」って返事をせずに、「私は私のやり方しかできません」って言ったの。

——私だったら「分かりました! 次から気をつけます」って言っちゃいそう……。

平野:それは、私には和田さんがいたから。和田さんが後ろ盾になってくれていたから、失敗したっていいし、何をやってもOKだったの。和田さんが私を大きく包んでくれていたから、自由にできたんだと思うのよね。もし、和田さんがいなくて、両親もいなくて、たった一人だったら、「はい、分かりました。もうそんなことはしません」って言っちゃったかもしれない。

——自分を貫くことは、すごく難しいことですよね。

平野:そうそう。私はいつも、自分の気持ちに正直にやってるの。学校も辞めたくなったら辞めちゃうし、子供のころからずっと自分に逆らわないで、自分の思うままに生きてきたのね。それは、両親や和田さんもいたから、安心してたのかもしれないし。でも今は、両親も和田さんもいなくなっちゃって、気が付いたら私一人ぼっちなのよね。

——さきほど(前回の記事「つかめる思い出があったんだ」夫を亡くした平野レミが上野樹里から言われたこと)、息子さんとの良いお話をお聞きしましたが……。

平野:あ、そうそう。息子がいるのよね(笑)。でも、息子は息子よ。彼らは彼らの世界を持っているし。楽しくやっててもらえば言うことな~し。そうでしょう?

手抜き料理、上等!

——「お料理を楽しむために手抜きをする」という考えがとてもいいなあと思いました。というのは、“母親”や“妻”が手抜き料理をすることに対して世間の風当たりが強い気がしていて……。

平野:コロッケを作るのだって、面倒くさいでしょう? “ごっくんコロッケ”だって、ごっくんしてコロッケになればそれでいいと思って作ったの。幼稚園から帰ってきた息子に、「お母さん、今日はコロッケが食べたい」って言われて考えたレシピなのよ。パン粉も面倒くさいから、コーンフレークを上からパラパラ振りかけて、食感をプラスして。このレシピも、40年前になるのよね。食べればシリーズの第一号ね。

だから、それでいいのよ。何だっていいのよ。料理には、「こうしなきゃいけない」っていう決まり事は何もない。食べておいしければ、手抜きだって、何だって構わないと思うの。ごっくんして、「幸せだな」「おいしいな」って思えれば、プロセスなんてどうだっていいと思うね。人に迷惑をかけなくて、自由に自分が楽しくやってれば、それでいいのよ。

——「こうしなきゃいけない」と思っている人は、料理愛好家であるレミさんの言葉を聞くことで気が楽になると思います。

平野:何で真面目に、「こうしなきゃいけない」って思っちゃうんだろう? 誰がそういうふうに教えたのかしら? だいたいね、世間の目なんて気にしなくていいのよ。世間が100万円くれたり、1億円くれるならそうしてあげてもいいけどね(笑)。何もしてくれないのに、世間の言うことなんかなんにも聞くことないじゃない。そうでしょう? 思う存分楽しく自由に生きましょうね。

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(聞き手:ウートピ編集部・堀池沙知子、写真:宇高尚弘)

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