川原好恵のランジェリーコラムVol.107

お店で買うのはもう古いの? ワコールが試着室を舞台にしたCMに込めた思い

お店で買うのはもう古いの? ワコールが試着室を舞台にしたCMに込めた思い

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コロナ禍で大きく変化した私たちのライフスタイル。特に買い物の仕方には大きな変化が生まれ、昨年4・5月の緊急事態宣言時には百貨店やファッションビルも休業しました。買い物に出掛けること自体を避ける傾向も強く、「買い物はもっぱらオンラインで」という人も少なくありません。

それは、サイズや着用感が重視される下着のショッピングも同じ。確かに好きな時間にたくさんの商品をたくさんの店から選べ、自宅まで届けてくれるオンラインショッピングは便利で、その勢いは今後もますます加速しそうです。もう実店舗は過去のもの、不要なものになってしまったのでしょうか?

そんな中、実店舗や販売員の役割を再定義したメッセージを発信しているのが、2020年11月から放映されているワコールの新CM『ワコールは、からだメンテする店頭へ。』です。下着売り場の試着室で10代から60代の5人の女性が年代とともに変化する自分の体への思いをつぶやいている同CMを公開した理由とCMに込めた思いについてワコールに聞きました。

「自分のからだを愛おしいと思えるようになるには、どうしたらいいですか?」

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胸がふくらみ始め、初潮を迎えるなど大きく変化していく自分のからだに不安を覚える10代の女の子の姿に、過去の自分を重ねて胸がキュンとします。

40代の女性の「ブラジャーなんて楽ちんが一番! これが本音です。背中のおニクが気になる、これも本音です」のセリフに共感しつつ苦笑いしたり。

20代の女性が「鏡の前に立つのは、正直好きじゃない。自分のからだをいとおしいと思えるようになるには、どうしたらいいですか?」のセリフは、自信たっぷりにほほ笑むモデルの姿やキラキラしたSNSの投稿と自分を比べて感じてしまう複雑な気持ちを率直に表しています。

登場する女性たちの表情がすごく自然だと思っていたら、その撮影秘話を聞いて納得。CMはフィッティングルームを模した空間で、マジックミラー越しに撮影されたそうです。つまり登場する女性たちは、カメラに視線を向けているのではなく、鏡に映った自分の体を見ているということ。戸惑いや不安、喜び、自信、それぞれの気持ちが自然と表情に出ているのは、そんな理由があったのです。

美容室に通うように、下着売り場でからだの相談を

試着室を舞台にしたCMを制作した理由について、ワコール広報の萩原みゆきさんは「コロナ禍で店舗を休業するという経験を経て、店頭やビューティーアドバイザー(販売員)の価値を再定義しました。ワコールの役割は、からだだけでなく心にもぴったりの下着を提供すること。それは、今までも継続してやってきたことですが、コロナ禍でデジタルが加速したからこそ、その重要性を改めて感じるようになりました。店頭は商品を売る場所だけでなく、お客さまが自分のからだについて相談する場所でありたい。“からだメンテする店頭へ”という言葉には、そんな思いが込められています」と力を込めます。

下着そのもののスペックはウェブサイトを見ればある程度わかりますし、今やSNSで下着やその知識を発信している人も多い時代、店頭に行かなくてもひと通りの情報収集は可能です。ただ、一人一人の悩みに応えるパーソナルな対応ができるのは店頭ならでは。

売り場の試着室が舞台となっているのは、そこで「自分のからだに向き合ってほしい、新たな自分を発見してほしい、自分の美しさに気づいてほしい」との思いから。CMはそれぞれの女性の笑顔で締めくくられていますが、それは「ビューティーアドバイザーとのやりとりや新たなご自分の美しさを発見するという体験で、笑顔をお持ち帰りいただきたい」という願いが込められています。

「店頭ではお気軽にご相談していただき、お買い物は家に帰ってオンラインショップでゆっくり、というのもおすすめです。」(萩原さん)

不調を感じたら病院に行くように、自分に似合うメイクを相談したかったら美容部員さんに聞くように、バストやヒップの悩みはプロである下着売り場の販売員さんに相談するのは自然なこと。それは、体形を整えるためにパーソナルトレーナーに筋トレの指導をしてもらったり、定期的に美容室に通ってケアしたりするのと似ている気がします。

CMは「ブラジャーの話じゃなくて、私は私のからだのことが聞きたいです」とのセリフで終わりますが、下着売り場は一人一人のからだの悩みに応えたり、自分のからだについてより深く知る場に変わりつつあるのかもしれません。

ワコールは現在、十分な感染防止対策を講じた上で、フィッティングサービスを行っています。「わざわざ試着するなんて面倒くさい」と思っていた人も一度、下着売り場に立ち寄ってみてはいかがでしょうか?もちろん無理せず、もろもろ落ち着いてからでもOK。オンラインでは体験できない“自分のからだ”との出会いが待っているかもしれません。

*ワコールのフィッティングルーム内での接客サービスについて
https://www.wacoal.jp/info/wacoal/2021/01/25.html

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川原好恵のランジェリーコラム

下着は、ボディラインを整えるだけではなく、女性に自信を持たせ、内面から輝かせてくれるもの。自分が素敵だと思う下着を選んで身につけることで心と体を自由にしてくれるアイテムです。ランジェリーライター・エディターの川原好恵さんに大人の女性にこそ着けてほしいランジェリーをテーマごとに紹介していただきます。

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