ふたりで妊活を始めようvol.1

「ふたり妊活」でお金も気持ちもすり減らさない【Seem開発者に聞く】

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「ふたり妊活」でお金も気持ちもすり減らさない【Seem開発者に聞く】

性の悩みについて、女性は女性、男性は男性で解決すべき、という考えはいまだ根強いものです。それは妊活や不妊治療に取り組むときも同じ。女性ばかり治療を頑張って、なかなか妊娠できないまま、お金も時間も、気持ちもすり減ってしまうというケースは少なくありません。

「不妊の原因の約半分は男性にあるけれど、自分ごととして捉えている男性は少ないんです」と話すのは、リクルートライフスタイルで、スマートフォンを使った精子のセルフチェックサービス「Seem(シーム)」を開発した入澤諒(いりさわ・りょう)さん。

男女が協力して妊活に取り組むには何が必要なのか、全3回のインタビューを通じて、入澤さんと一緒に考えていきます。

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【第2回】男性1人だった生理予測アプリ開発時代
【第3回】Seemが提案する妊活夫婦のコミュニケーション

「実は夫に原因があった」というケースも

——Seemを使うと精子のセルフチェックができるそうですが、なぜこういうツールを開発しようと思ったのでしょうか?

入澤諒さん(以下、入澤):いま、不妊に悩んでいる夫婦がすごく多いんです。妻が2年くらい治療を頑張ったけど妊娠できなくて、ようやく夫を病院に連れて行ったら男性側に原因があったというケースがけっこうある、ということを生殖医療現場の先生からも聞いています。

WHOの報告によると、不妊の原因の割合は、男性のみが24%で男女両方が24%。合わせると48%で、半分は男性側にも原因があるんです。その数字を見たときに、男性が何もしないのはおかしいと思ったんですよね。スタート時から、男性も一緒に取り組むのが理想だと思ったんです。

——一般的に、男性が妊活に消極的だと言われる理由って何でしょう?

入澤:ヒアリングなどで確認できたのは、病院に行くのに抵抗があるということです。病院で精液検査ができるんですけど、ハードルが高いんですよね。

——具体的にはどんなところにハードルの高さを感じるんですか?

入澤:まず、採精室という射精用の部屋があるんですが、古い成人雑誌とかアダルトDVDが置かれていたり、狭かったりすることがあります。

採取カップを渡されて「じゃあ、あの部屋で採取して下さいね」と言われても、扉1枚隔てた待合室には女性ばかり……。その状況でマスターベーションをしてまた待合室に戻るのは精神的にもツラいものがある。

もし自宅で検査できれば、もっとたくさんの男性が妊活に積極的に取り組めるんじゃないかというのが、Seem開発の背景です。

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キットを使って自分の精子に愛着を持てるようになった

——Seemを使うとどんなことがわかるのでしょうか?

入澤:まずは精子が「存在しているか」と「動いているか」を知ることができます。単純なようですがここが一番大切なんですよね。Seemでは、濃度と運動率という2つの指標をアプリで測定ができます。両方ともWHOによる下限基準値があるので、自分の数値が基準値を超えているかどうか知ることができます。

ただし、Seemはあくまで簡易チェックツールなので、病院の検査の代わりにはなりません。でも、基準値に満たなければ病院に行く強い動機になりますよね。

——精子が活発に動いている状態と、動きが少ない状態って、全然違うんですか?

入澤:パッと見で違いがわかりますね。同じ人でも、体調とかストレスの度合いで、日によって数や運動率が変わるんですよ。

——へー!

入澤:ただ、何回測っても数値が低い人もいます。そういう人は、精子をつくる機能に問題がある可能性が高いので、病院に行ってきちんと検査を受けてほしいですね。サンプル画面を見てみますか?

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——はい。(画像を見せてもらいながら)確かに、正常値の人のサンプルは数も多くて元気そうに動いていますね。基準値に満たない人のものは……明らかに動いている精子が少ない。

入澤:動いている様子を見て感動したという人も多いです。社内の男性に使ってもらって意見を聞いたところ「この動きを見たことで、自分の精子に愛着を持てるようになって、パートナーにも優しく接するようになった」という人もいました。

女性の場合、生理が自分の体と向き合うきっかけになることも多いと思います。周期や生理中の出血量や色で体の変化に気づける。でも男性って、そういうきっかけがあまりないんですよね。若いうちは、風邪を引いて症状が出ている時くらいしか自分の体の変化に気づけない。そのあたりの意識の差は大きいと思います。

知識不足だと都市伝説に振り回される

——精子の数や動きにこんなに差があるとは……。実際に見て驚きました。

入澤:一番悪影響が大きいのはタバコと言われています。それから、精子は熱やストレスにも弱いんです。妊活中の女性は温めたほうがいいってよく言われますけど、男性の場合、妊活中は睾丸を温めすぎないほうがいいそうです。

——それも初めて聞きました。そういうメカニズムを知らずに、噂話や都市伝説に振り回されてしまう人も多そうですね。

入澤:まさにそうなんです。「妊活中はなるべく男性の精液をためたほうがいい」「濃い状態にしたほうが妊娠しやすくなる」みたいな話をよく聞くんですけど、それは完全に間違い。精子は1日おきくらいの間隔で、ちゃんと出したほうがいいそうです。

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——本当に知らないことだらけです……。次回は入澤さんがヘルスケアサービスに携わったきっかけについてお聞きします。

(取材・文:東谷好依、写真:大澤妹)

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