『逃げ出す勇気』ゆうきゆう先生インタビュー最終回

「この人を逃したら最後」って思ってない? 不安ばかりの恋がうまくいかない理由

「この人を逃したら最後」って思ってない? 不安ばかりの恋がうまくいかない理由

「逃げる」というと「負け犬」「ダメな人」といったネガティブなイメージを持つ人は多いのではないでしょうか?

しかし、このたび『逃げ出す勇気〜自分で自分を傷つけてしまう前に〜』(角川新書)を上梓した精神科医で「ゆうメンタルクリニック」のゆうきゆう先生は「本書で言うところの『逃げ出す』は、自分の場所を見つけるための戦略的撤退」と話します。

ゆうき先生4回にわたって話を聞きます。最終回のテーマは「恋愛もリスク分散したほうがいい?」です。

【第1回】「逃げる」=「負け」ではない
【第2回】しんどい親子関係からは逃げてもいい?
【第3回】人間関係のリスクを分散 サードプレイスを作ったほうがいい理由

ゆうきゆう先生

ゆうきゆう先生

不安ばかりの恋愛はうまくいかない?

——学生時代の友だちと話していても、恋愛の話で盛り上がることが多いんですが、本にあった「不安性の人は恋人と長続きしない」というくだりが気になりました。

前回のお話で出てきた「分散する」というのともつながってくると思うんですが、「振られても次がある」って思ったほうが長続きしやすいというのは本当なのでしょうか?

ゆうきゆう先生(以下、ゆうき):「余裕がある」という意味ですね。境界密度の話にも関連するんですが、いろいろと分散するというか、ほかの異性の友だちもいるし、ほかの楽しみもあるという余裕があったほうがうまくいくというのはあると思います。

「あなたしかいない」「あなたがいなくなったらもう絶対ダメ」みたいなニュアンスを出しちゃうと、相手にも負担ですし、自分自身もちょっとうまくいかないだけで、「オールオアナッシング」で「ギャー!」となってしまうので、他のものを分散して持っておくのも手かなと。

——なるほど。自分を振り返ってみても、「この人しかいない!」という恋愛はことごとく失敗してきた気がします。必死さが相手にも伝わってしまうのでしょうね。ちなみに、本命もいてほかにも何人かお気に入りがいる、というのは?

ゆうき:それもいいと思いますよ。いろいろな人と知り合うというのもいいと思う。あまりがっちりし過ぎないほうがいいというか、曖昧でもいいと思うんです。

——よく言う「既婚者ほどモテる」っていうのも……。

ゆうき:家庭もあって仕事も確立しているという“分散した余裕”があるのかもしれないですね。

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うまくいくコツは自信と余裕をもつこと

——真面目な女子ほど「結婚に向かってまっしぐら!」と一点に向かってワーッとなってしまうと思うんですが、アドバイスをいただくとしたらどんなことでしょうか?

ゆうき:恋愛以外のものを確立して、自信と余裕を並行して持っていくべきだと思います。だからといって、「じゃあ確立させるために恋愛を封印して、がんばるぞ!」となってしまうと、結局「オンリーワン」思考になって疲れてしまうのでまずは分散すること。

全部いっぺんに我慢して、「仕事を諦めて恋愛だ!」「恋愛を諦めて仕事だ!」ではなくて、分散していろいろ手を出してみましょう、というところですかね。

仕事も「分散」して「集中」しよう

——やっぱり「分散」と「オールオアナッシングで考えない」いうのがキーワードなんですね。

ゆうき:そうですね。仕事でも説明ができて、本業のほかに副業を持っておく。提案をするときも一つの提案のほかに別案も用意しておく。

ただ、ここで注意してほしいのがマルチタスクはあまり勧められないと言われていて、例えば、仕事しながらメールチェック、メールチェックをしながらネットもチェック、のような感じでいっぺんにいろいろなことを並行してやって分散するのはよくない。

——はっ、私よくそれやっちゃってます。

ゆうき:笑。では、どうするかと言うと、ただこの瞬間は一つのことに集中して、10分間はこれをやる、10分後は別のBの仕事をする、さらに10分後にはCの仕事をしよう、というやり方での「分散」が理想的だと思います。

——なるほど、実践します!

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(取材・文:堀池沙知子)

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