季節の変わり目で肌の調子がイマイチ、暖かくなってきたのは嬉しいけれど化粧崩れが気になってきた、そろそろ紫外線も気になる……と肌にまつわる悩みは尽きないもの。
「20代の頃と比べて皮脂が減ってきたな」など、自分の肌の変化を感じている人も少なくないのではないでしょうか?
そこで、花王スキンケア研究所で上席主任研究員を務める次田哲也さんに「肌との付き合い方」について3回にわたってお話を聞きます。
最終回のテーマは、「紫外線との付き合い方」です。
【1回目】花粉と“ゆらぎ肌”の関係は? 気をつけたい春の肌ストレス
【2回目】朝のお湯だけ洗顔はNG?スキンケアの基本
紫外線は年中対策して
——スキンケアは「洗う」「補う」「守る」が基本というお話でした。今回は「守る」の部分を伺いたいです。
次田哲也さん(以下、次田):「守る」というのは紫外線対策なんですね。
紫外線って実は肌に直線的に入ってこないんですよ。実は散乱して乱れて入ってくる。紫外線は散乱光って言うんですね。
なので、日影にいても日に焼けちゃうというのは、紫外線は散乱光だから。日影にいたら当たらないだろうとか、曇りや雨の日だったら紫外線はないだろう、というのはすべて間違い。太陽が上がっていれば紫外線は必ず降り注いできます。
——ということは、1年中、紫外線対策は必要ということでしょうか?
次田:はい、もちろん。そういう意味でも肌を「守る」=紫外線対策なんです。
紫外線が降り注ぐピークはお昼頃なので、外に出るときは日焼け止めを塗ったり、長袖を着たり、帽子をかぶったりしてなるべく直射日光を避けてください。
日焼け止めの選び方
——これから夏に向けてSPFやPAが高い「日焼け止め」を使用するシーンが増えてくると思うのですが、どのように使い分ければいいのでしょうか?
次田:そもそも紫外線には、UVBとUVAの2種類があるんですが、SPFはUVBから、PAはUVAから肌を守る効果の目安になります。
UVBは、大部分が表皮で吸収され、繰り返し浴びるとしわやしみなどの皮膚老化を促進します。UVAは、肌の奥深く真皮まで届いて肌の弾力の低下や、しわ、たるみの原因になります。雲やガラスを透過するため、くもりの日や室内にいる場合でも肌に影響を与えるのがこのUVAですね。
ということを踏まえた上で、どう日焼け止めを選べばいいの? という話になると思うんですが、花王では生活のシチュエーションで使い分けてくださいという部分を大切にしています。
「とりあえず強い日焼け止めを塗っておく」はNG
——とりあえず「SPF50」を塗っておく、というのはダメなんですか?
次田:それはちょっと違うんですよ。
——やっぱり、肌トラブルの原因になるんでしょうか?
次田:それが、我々のメーカー側からすると値が高い=(イコール)肌トラブルが起きやすい、ではありません。技術は日々進歩し、安全性が高い製品が市販されています。安全性だけで語るのは時代遅れかな、と。
「じゃあ、何がいけないの?」と言ったら、化粧ノリが悪いとか、崩れやすいとかの問題になってくるんです。
SPFやPAが高くなればなるほど、紫外線散乱剤の配合の割合が多くなる傾向があるので、どうしても白浮きしやすくなってしまう。
そういう意味で、普段使いとレジャー使いで使い分けてくださいとお伝えしています。
——それは知らなかったです。メーカーさんの技術ってすごいんですね。
UVケアは朝のスキンケアで
——「紫外線対策は1年中必要」というお話でしたが、具体的にはどのようなケアをすればいいのでしょうか?
次田:まずは、毎日のスキンケアとして朝一番に紫外線カット効果もある乳液、日中用の乳液を使うというのがポイントだと思います。UVケアと言うと、外出しないと使わないという人も多いので、やっぱり朝一番にスキンケアで使うのがいいと思います。
——下地もUVカット効果があるものがいいですよね?
次田:そうですね。ただ、ここで間違えてほしくないのが、例えば下地でSPF20、乳液でSPF30のもの重ねたら単純にSPF50になるかと言ったらならないので、そこは注意してほしいですね。
——はい。
(取材・文:ウートピ編集部・堀池沙知子、写真:宇高尚弘/HEADS)