恋愛経験をある程度積み重ねてきて、酸いも甘いも知っているオトナだからこそ、パートナーにあえて「言わない」ことをあえて拾って、恋愛コラムニストの桐谷ヨウさんにアドバイスをいただく連載「◯◯って言わない女子」。
ヨウさーん! 今回はこんなつぶやきを発見しましたよーー!!
【今回のつぶやき】
「はっきりもっとうまくやって」
私自身、束縛されるのが好きではないので相手が浮気をしていたとしても私が知らなければいいかなと思っています。最近付き合い始めた彼も(きっと)仕事もできるのだから、付き合いで飲みに行ったり合コンに行ったりして、他の女子と遊びたくなることもあるだろうなと思い、うるさいことは言いません。というか、あまり興味がありません。しかし、それに乗じてなのか、他の女子と遊んでいることを隠さなくなってきました。いや、隠したつもりになっているのですが、脇が甘いというかちょっとしたところで「証拠」を見つけてしまいます。
「彼女ができて他の女とも遊んでいる俺」という気分に浸りたいのかなと思っています。浮気云々はどうでもいいんですが、彼の器の小ささというか浅はかさを感じてしまい、残念なことこの上ないです。「もう少しうまくやってくれよ」と言いたいですが、彼のことだからそんなこと言ったら拡大解釈をしてさらに調子にお乗り遊ばすこと間違いないでしょう。今まであまりモテてこなかったのかな……。
浮気はツメが甘くなるもの
こんばんは!すべての女性は女優で、すべての男性は大根役者説に首をブンブン振って頷いてしまうヨウさんです。なんでだいたいの男ってウソが下手なん?(自分も含む)
ハイハイ、「うまくやってくれれば浮気しててもかまわない」ですね。もちろん多数派ではないですが、そこそこ聞く言説です。これさ、「なんて器の広い女性だ!」と思わせがちですが、大体は成立してないよね(笑)。
今回のお悩み相談は、俺が男であるとか、特定の男女は浮気をしがち……みたいな話に合流しないように進めていきます。話がややこしくなりすぎて、まとまるものもまとまらなくなるから。
このシチュエーションにおける考え方……ということを書いていこうと思う。
まず彼が残念かどうか?を取っ掛かりにしていきましょう。
「脇が甘い」というのは、ハンドクリームの匂いが残っているとか、部屋でコロコロやってないから髪の毛が落ちてるとか、まぁベタなものからレアなものまでいろいろおありなんでしょう。
浮気をしたことがある男性は、ラブホテルのソープの香りの強さに怒りを持ったり、ファンデーション以上に厄介なラメの怖さに気づいたり、汗拭きシートの万能さに感謝したり、なんで人の体毛はこんなに抜けるんだ……と宇宙に思いを馳せたことがある人たちです。と、俺は「推測」してます(笑)。
まぁ、いわゆる「ツメが甘い男」ということなんでしょうが、浮気って普通にやってるとツメが甘くなるんですよ。「徹底的な後始末」をやらないと、絶対に痕跡が残ってしまう。徹底的にやっても自分の目では気づかなかったリスクは残る──そういう性質のものだと思います。
それゆえに徹底的にできる人は、なんらかしらの自分への使命感を持っているようです。先日、友人から聞いた話では、床へのコロコロと浴室の手入れを徹底するだけではなく、コンドームの箱をお相手ごとに準備していたとのことでした。
「あんた、徹底しすぎでしょ……」と思ったのですが、彼は「自分といるときに他の女の影を匂わせたくない。お互いにとって唯一の存在である『かのように』したい」というポリシーがあったみたいなんてすね。それはそれで本気にさせやすい分、厄介な男ですが、脇がピッタンコに締まったナイスガイです。
これくらい徹底して準備・後処理をしている=うまくやっている男性であれば、ご相談者様から見ても間違いなく残念な男ではないでしょうね。そういう意味では、改善の余地がある遊び方をしちゃってるんでしょう。
本当に「うまくやってくれるならOK」と思ってる?
そして「うるさいことを言わない」ことを、彼がどう認識しているか?という点がポイントです。
①うるさいことを言われないし、彼女がまったく気にしていない
②うるさいことを言われないが、彼女は不満を持っている
つまり、ご相談者様は、彼氏が自発的な努力で①の状態に持っていくことを前提としているのに対し、彼氏からすると①は努力目標で良いと考えている(それすら考えていないかもしれない)という認識の乖離が発生しています。それゆえに②の状態でヘラヘラやっている彼氏にイライラする、という構図のようです。
ここまで見えてきたら、道はふたつです。彼氏に「脇がピッタンコに締まったナイスガイにならないのならば、殺す」とスタンスを提示するか、「今の彼氏にそこまで求められないから、不本意だが自分の希望を下方修正しよう」と諦める二択。
まぁどちらを選択するかはご相談者様次第なのですが、今回のケースではもちろん前者であるべきですよね。(それ以外ならば、そもそも浮気をさせないコースもあるわけですが)
その話し合いのために……というか、今後の彼氏への向き合い方の際に、これだけは自覚してほしいのです。
ご相談者様の言葉を拾います。
・たとえ浮気をしていたとしても私が知らなければいいかなと思っている
・時には他の女子と遊びたくなることもあるだろうなと思い、うるさいことは言わない
・というか、あまり興味がない
・浮気云々はどうでもいいが、彼の器の小ささ・浅はかさを感じてしまい、残念
・今まであまりモテてこなかったのかな
浮気はどうでもいい、他の女の人のことは興味がないと主張している点は一貫していますが、彼の落ち度を取っ掛かりに展開している部分が急に感情的で飛躍した内容になっています。
このノリだと、浮気相手の写真がぶっさいくだったときに「どうせ浮気するなら可愛い子にしてくれよ!」という新しい主張が出てきそうな気がします(笑)。
感情的なことが悪いわけではありません。ロジックで割り切れない部分に、私たちの日常の心の機微・楽しさ・悲しさが詰まっているのだから。
要は、マジで「上手くやってくれるならOK」と思ってらっしゃいますか? という点になります。ご相談者様が感じてらっしゃる不愉快さの根源が、彼氏の脇の甘さからきていると、俺には感じられないのです。
それはおかしいことではありません。むしろ恋人に浮気してほしくないという考え方をするほうがマトモなのだから。
自分の「気持ち」を冷静に見つめてみよう
ご相談者様が、今後の彼氏との関係でどんな道を選択してもかまいません。ただし、それは自分の感情をできるだけバイアスなしに自分自身で認識していることが大前提となります。それには客観的に見てくれる友人の力を借りてもかまいません。それによって浮気で傷ついている自分を自覚することが重要です。
まぁ、実際のところご相談者様がどのように彼氏の脇甘行動(勝手に四字熟語にしたった)を本音で感じているかは俺にはわかりません。誰にもわかりません。それを追求できるのは、ご相談者様に他なりません。
結果、やっぱ「傷ついてないわ」という結論になるのであれば、それに越したことはありません。いまの恋愛観のまま突き進んでいくべきだと思います。
応援しています。