ウートピ・ワインラボ所長の浮田です。
「飲みたいワインは自分で選べるようになりたい」というオトナの女性に向けて日々ワイン情報を発信しています。
桜の開花直前、前回に引き続き、ウートピ編集部のスタッフにして、当ワインラボの所員でもあるアラサー女性2名と「花見ロゼ」の世界を探求していきます。
今回、ご紹介したいロゼワインはこちらの3本。
左から
・ロシュ・マゼ メルロー ロゼ2015
・ジャン・ヴァレストレル コート・ド・プロヴァンス ロゼ2014
・ベルグァルド ロゼ マッツェイ2015
です。
そして今回も、「未知のマリアージュ」を探求するウートピ・ワインラボの“実験”におつきあいしてくれるのは、ウートピ編集部の海野プロデューサー(以下、海野P)と、編集スタッフの北村さん。ふたりとも「ワインの知識は限りなくゼロに近いけど、ワイン大好き♡」というアラサー女性です。
男女一緒のお花見にはヨーロッパのワイン
所長:前回は女子同士のお花見で飲みたいロゼをご紹介しましたが、今回は男女混合のお花見で飲んでもらいたいロゼ、3本を選びました。
北村:男子ごとセッティングしてほしいです。
所長:えっと、そこはスルーして……まずはワインを、ね。
海野P:男女そろって飲む時の「ワイン選びのポイント」ってあるんですか?
所長:いい質問です。男女一緒の会というだけで、そこには恋の予感が含まれているものです。違いますか?
海野P&北村:えー?
所長:違うかな。でも、まあ、仮にそうだとして、そういう場で飲むワインは“色っぽい”ものがいいと思うんです。数々のワインを飲んでいると、「これは優等生っぽいな」とか、「これはセクシーだな」とか、それぞれのキャラが感じられるようになるもの。
ちょっと乱暴な線引きをあえてすると、ヨーロッパ産のワインには“色っぽい”ものが多いと言えます。というわけで、今回の3本はフランス産2本、イタリア産1本と、すべてヨーロッパ産のものにしてみました。
大人の女性を連想させるロゼ
所長:本日最初のロゼは、ベルグァルド ロゼ マッツェイ2015です。

ベルグァルド ロゼ マッツェイ2015/花びらを思わせるうっとりとするような慈悲深い色合いはアプリコットアゲート(瑪瑙の一種)。プラム、甘いショ糖の香りにゴマのような風味が混じる。口の中では中程度の飲みごたえでバランスが秀逸。2670円(ファインズ/tel. 03-6732-8600)
所長:まずは一口飲んでみてください。
海野P:包み込まれるようなやさしい香りがしますね。
所長:大人の女性の包容力と色香を感じませんか?
海野P:ああ、わかるかも。キャピキャピした20代の女の子じゃない(笑)。
所長:でしょ? テイスティングした時の印象をそうやって人物にたとえていくのもワインを楽しむ方法の一つ。落ち着いた「包容力」も「色香」も、どちらも男子がコロリといく要素です。適度な果実味と、煎りゴマを思わせるような香ばしいトーンがあるので、中華料理や寿司との相性がいいはず。
太巻きとの奇跡のマリアージュ
所長:実はこのロゼで“実験”した結果、思いもよらないものと相性抜群であることが判明したんです。海野さんにぜひ試してもらいたいのが、太巻きとのマリアージュ。
海野P:ロゼと太巻き!? まあ、確かに太巻きはお花見フードの定番ですけど……。
所長:まあ、騙されたと思って。このロゼの味わいはかんぴょうの甘みや酢飯の酸味と相性がいいんです。
海野P:あっ!所長! 美味しいです。
所長:でしょう? 事前にこのワインを試飲したとき、頭の中に太巻きの中の具がひとつ、ひとつ浮かんできましたからね。
焼き鳥と引き立て合うドライなロゼ
所長:次に飲んでもらいたいのが、ジャン・ヴァレストレル コート・ド・プロヴァンス ロゼ2014。

ジャン・ヴァレストレル コート・ド・プロヴァンス ロゼ2014/テラコッタの屋根瓦やタマネギの皮を思わせる落ち着いた色合い。抜栓後すぐは木や土のトーンが優勢だが、時間とともにスモモやみかんの、親しみやすい香りが出てくる。口の中ではドライだが旨みがしっかりとある。
1800円(国分/tel. 03-3276-4125)
所長:まずは一口。どんな人を思い浮かべますか?
北村:あ、すごく男っぽい。キリッとドライで、力仕事してそう(笑)。
所長:鋭いですね。今回のセレクションの中では一番ドライなワインです。最初はどちらかというとそっけない印象。でも、時間が経つにつれ味わいが増していきます。こういうワインは食事全体を通じて飲み飽きないんです。
所長:ペアリングの可能性を探求していくウートピ・ワインラボが、このロゼと合わせてみたいおつまみは、ズバリ焼き鳥です。
北村:えーっ、焼き鳥と合わせちゃうんですか? なんか、ちょっともったいないかも。
所長:でも、いけるでしょ?
北村:おお、これはいいですね。最初、ちょっとドライすぎるかもと感じていた乾いた味が、焼き鳥と出会って魅力に変わりました!
所長:もちろん王道としては、生ハムやコンテなどの熟成ハードチーズが合います。ラタトゥイユなどの野菜の煮込み料理もOKですね。
唐揚げとの組み合わせがやみつき
所長:最後の一本は、ロシュ・マゼ メルロー ロゼ2015です。

ロシュ・マゼ メルロー ロゼ2015/オレンジ色を帯びたサーモンピンクの色合い。洋ナシ、塩っぽいミネラル、張り。うまみが香りにも出ている。口の中ではクリスプで、トマトのような風味が後口に残る。1200円(国分/tel. 03-3276-4125)
海野P:洋ナシみたいな香りにうっとりしますね。
所長:そうそう、なんだか恋の季節って感じでしょ(笑)。マジメな話、口に含むとちょっとトマトの風味がしませんか?
海野P:確かにしますね、かすかに。
所長:口の中で感じるトマトの風味がオリーブオイルを使った料理とマッチするんです。あと、揚げ物全般にも合うはず。ラボの“研究結果”によると、特に鶏肉の唐揚げとの相性は抜群でした。ワイン→唐揚げ→ワイン……のローテーションが止まらなくなります。
海野P:男女一緒のお花見だと、唐揚げは誰かが必ず持ってきますよね。
所長:唐揚げってたいていの男子の大好物ですからね(笑)。このロゼは喜ばれるはず。
前後編でお届けした「ウートピ・ワインラボ」の花見ロゼ特集、いかがでしたか? 今年のお花見に持っていきたいワインは決まりましたか?
「未知のマリアージュ」を探求しながら、自分だけのワインを見つける本連載、これからも不定期で続けていきます。
写真=竹内洋平