「子どもができたら女優として“終わり”だと思っていた」田中美佐子さんインタビュー

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「子どもができたら女優として“終わり”だと思っていた」田中美佐子さんインタビュー

荻上直子監督の最新作『彼らが本気で編むときは、』(全国公開中)で16年ぶりにスクリーンに“復帰”した女優の田中美佐子さん。数多くのテレビドラマや映画で様々な役を演じてきました。女優として脂の乗った30代半ばでお笑いコンビ「Take2」の深沢邦之さんと結婚し、42歳で高齢出産を経験します。キャリアの途中で一時現場を離れることへの不安は、どんな仕事を持つ女性も同じなのではないでしょうか。前編に続き、田中さんに仕事や結婚、出産について聞きました。

子どもができたら「終わり」だと思っていた

——30代半ばでご結婚されましたが、がんばって築いてきたものが変わってしまうという不安はなかったのでしょうか?

すっごくありましたよ。今は自分が高齢出産を経験したから、早く子どもを産むことが大事だったんだなって思うんですが、当時は女優さん同士で「結婚して仕事がなくなったらどうしよう」という会話をよくしていましたね。結婚したい人や彼がいたりする人もいっぱいいましたし、早く子ども産みたいねっていう話もするんですけど、「でも、今はこのレギュラーをやってるし、子どもができたら女優終わりだよね……」って。なんだか「終わり」な気がしてたんですよ。二度と復活できないんじゃないかって。だから「もうちょっと、もうちょっと……」って先延ばしにしてしまった。

——仕事が面白くなる30代だからこその悩みでもありますよね。

そうなんですよ。30代って自信もついてくるし、仕事もノリに乗ってきて、ここではちょっと辞められない! って思うんですよね。自分のこともよく分かってくるし、コントロールできるようになったら仕事も面白くなるし。そういうときに結婚・出産するとなると、「どうなるんだろう?」っていう不安は常にありました。

「女はやらなきゃいけないことがありすぎる」

——仕事と結婚・出産のタイミングなどいろんな迷いがあるなかで、深沢さんにはご自分からプロポーズされたとうかがっています。

異常に結婚したい時期があって、もうこの先絶対に自分で相手を選ぶのは無理! と思ったから深沢クンにしたんですけどね(笑)。それから、40歳の時にも、すごく子どもが欲しくなった時期があったんです。

今、私は結婚された若い女優さんに会ったりすると、「産め産め!」って言ってるんです(笑)。早く産んだら、早く回復してすぐ戻ってこられるから。子育てには、やっぱり母親は必要だと思うんですね。子育てもしたいし、仕事もしたい。女ってやらなきゃいけないことがたくさんありすぎる。でも、母っていうのは、それを背負わなきゃいけないものかなとも思うんです。

「結婚は3回、4回してもいいと思ってます」

田中2

——最近は未婚の男女も増えています。

私はそれも悪くないと思いますよ。結婚だって、社会との約束で「結婚」「離婚」というだけのことだし、そんな責任がないなかで生活するっていうことも、あっておかしくないと思います。ただ、互いに縛り付けたければ、紙切れにサインすると“特約”で別れるときに慰謝料がもらえたりすることもあるっていうだけで(笑)。

昔は離婚したら社会を裏切ることになるっていう責任が重すぎて、嫌でも最後まで添い遂げたということがあったかもしれませんが、最近はそうでもない。だから、逆に結婚を負担に思わずに、私は3回、4回してもいいと思ってます。……って、ダメですか?(笑)

——田中さんのような“素敵な先輩”にそう言ってもらえると気が楽になります。もし30代の頃の自分に何かアドバイスできるとしたら、何と声をかけたいですか?

30代ってものすごく必死に生きていたので、ほとんど悔いがないんです。過去に関してはまったく悔いがないんですけど、メッセージを残すとしたら、「あなたは高齢出産で、素敵な子どもを産みますよ」と声をかけてあげたい。そのためにもがんばってね!って。

孤独な「女優」という職業

30代は不安がいっぱい。夜眠れなくなるくらい不安になったり、くたくたに疲れてひとり暮らしのマンションに帰ってきて、私はずっと独りなんだろうか? って怖くなったり。仕事をどんなに一生懸命やっても埋められない寂しさっていうのがあった。でも、女優同士で話したりすると、みんなが同じような気持ちを抱えているとわかって、すごく慰められたりしました。

——スクリーンやテレビで見てる女優さんの世界って、自分たちとは別世界の人というイメージを勝手に抱いていましたが、悩みは同じなんですね。

幸せそうに見えるでしょ?(笑) 私は友だちをつくるのが苦手だったということもあるんですけど、女優さん相手だと「お忙しいでしょうから……」って気を遣って「今度映画を見に行こうよ」と気軽に誘えない。みんな孤独なのかなって思ってます。でも夢を見せる職業なので、めいっぱい明るくしてるんだと思う。とはいえ同じ人間ですから。

それでも女優を辞めない理由

田中6


——出産を経て、お仕事をセーブされていた時期もありましたが、現在は再びコンスタントに作品に出演され、バラエティー番組でもコミカルな一面を披露されています。田中さんが女優を辞めない理由は?

若い頃にお世話になったプロデューサーさんに「やろう」って言っていただけて、今でも誘っていただけることへの嬉しさや感謝の気持ちがありますね。

以前、娘に「もう一回仕事したい」って言ったら「さびしいからダメ」って言われたんです。けど、中学校にあがったら、「仕事、もっとしていいよ」って言ってくれるようになりました。私はどんなお仕事でもやりたいんですよ。でも、最近娘はバラエティー番組に出ている私を見て、なんかちょっと芸人だと思ってるような……(笑)。

——きっと『彼らが本気で編むときは、』をご覧になれば、娘さんも「すごい!」って再認識されるのではないかと(笑)。

そうですか? だと嬉しいですね。

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